“ひと”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:ヒト
語句割合
21.8%
18.3%
他人14.0%
12.2%
6.4%
5.6%
4.6%
1.8%
1.5%
1.0%
人間1.0%
0.9%
0.9%
0.7%
0.6%
人物0.5%
良人0.4%
0.3%
婦人0.3%
0.3%
0.3%
女性0.2%
0.2%
0.2%
衆人0.2%
0.2%
0.2%
匪徒0.2%
0.2%
夫人0.2%
性質0.1%
0.1%
0.1%
女人0.1%
0.1%
0.1%
情人0.1%
0.1%
老婆0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
青年0.1%
一人0.1%
0.1%
乗客0.1%
0.1%
個人0.1%
0.1%
少女0.1%
彼女0.1%
0.1%
死人0.1%
男女0.1%
男子0.1%
老女0.1%
0.1%
蒼生0.1%
費途0.1%
女子0.0%
0.0%
0.0%
独人0.0%
0.0%
丈夫0.0%
主家0.0%
亭主0.0%
人々0.0%
人士0.0%
人家0.0%
人柄0.0%
人格0.0%
人民0.0%
人種0.0%
人類0.0%
他女0.0%
他家0.0%
他所0.0%
住人0.0%
使者0.0%
0.0%
0.0%
俳優0.0%
傍人0.0%
公衆0.0%
凡夫0.0%
0.0%
女史0.0%
奴婢0.0%
奴隷0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
婢女0.0%
学生0.0%
実母0.0%
家人0.0%
家族0.0%
0.0%
常人0.0%
0.0%
役者0.0%
0.0%
0.0%
書家0.0%
0.0%
火取0.0%
火捕0.0%
灯取0.0%
0.0%
美女0.0%
群衆0.0%
義姉0.0%
菩薩0.0%
貴郎0.0%
0.0%
鄙徒0.0%
醜男0.0%
0.0%
0.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
そのは、のめずりれた老人死体を、つておろしているというで、いささかをぞつとさせるような妖気わしている。
金魚は死んでいた (新字新仮名) / 大下宇陀児(著)
その時の君は早や中学をえようとするほどの立派な青年であった。君は一夏はお父さんを伴って来られ、一夏は君りで来られた。
千曲川のスケッチ (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
他人のためには一挙手一投足の労を費やすことなくとも、天下の人々は、争うて彼に対しさらにさらに多くの親切を尽くしつつある。
貧乏物語 (新字新仮名) / 河上肇(著)
と、いうことは素気ないが、話を振切るつもりではなさそうで、肩をりながら、を返してについてこっちの顔を見た。
春昼 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
それに、あんたは、もう、あすこにや居らんなんだもの。そぎやんむつかしかこといはんてちやあ、一枚写しておきなはりまつせ。
牛山ホテル(五場) (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
のみならずついに何事をもなさず何をしでかすることなく一生しくの厄介で終わるということは彼にとって多少の苦痛であった。
河霧 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
派手の反対意味としては地味がある。渋味をも地味をもしく派手に対立させることによって、渋味と地味とを混同する結果を来たす。
「いき」の構造 (新字新仮名) / 九鬼周造(著)
冷静なる社会的れば、しく之れ土居して土食する一ツ蚯蚓蝤蠐なればれをしとしれをしとなさん。
為文学者経 (新字旧仮名) / 内田魯庵三文字屋金平(著)
昨夜としく、月は水の如く、大空に漂つて、山の影はくつきりと黒く、五六歩前のにはまだ虫の鳴く音が我は顔に聞えて居る。
重右衛門の最後 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
本當御天氣だわね」とひながら、障子けた裁縫めた。すると宗助んだげて
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
このごろは、金高のほうも相当莫大になりましてね、二十万ばかりのところへ行っているんです。……人間もだいぶ殺しましたねえ。
犂氏の友情 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
まがりなりにも城主であったものが、仮小屋のなかにりで起居している姿はしかった。もとの家臣にとっては気持の負担であった。
石狩川 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)
所詮、だらしのないぼくが、そんなにも女色がいだったというのはえに、あなたからの手紙の御返事を待っていたからです。
オリンポスの果実 (新字新仮名) / 田中英光(著)
噂によれば葉之助というは、内藤殿のご家中でも昼行灯と異名を取った迂濶者だということであるが、それが正しく事実ならさような人間を
八ヶ嶽の魔神 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
そも/\これらの靈體は、我をして彼等に請ふの願ひを起さしめんとて皆しくしゝなれば、いかで正しきに耳を傾けざらんや 七—九
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
美満寿屋というのは表通の上町に出来ている飲食店であったが、主人というのが元を正せば洋服を着た方の種類の人物
温室の恋 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
たとえば、亡妻の黒髪を形見として肌身に附けている良人が、いつまでも亡妻の思い出から遁がれることが出来ず、日に日に憂欝になり衰弱して行くように。
血曼陀羅紙帳武士 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
外には何物をもれる余地のつたことを——皆さんが各々理想のを描いて泣いたり笑つたり、したりして騒いで居なさる時にでも
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
「何だエ」と伯母は眼をくし「其様婦人で、其様になるまで、一度もお嫁にならんのかよ——異人てものは妙なことするものだの」
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
当時、戯作者といえば一括して軽薄放漫なる聵々者流として顰蹙された中にり馬琴が重視されたは学問淵源があるを信ぜられていたからである。
八犬伝談余 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
やがて重き物など引くらんやうに彼のせし時には、推重るまでに柵際ひしど散果てて、駅夫の三四人がを執りて場内を掃除せるのみ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
あの女性が——と、聴くものも、いうものも、ただ顔を見合った。また、その次だった。もうその時分には、練馬の新築に越していたのだが
江木欣々女史 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
前に囲ってくれた旦那と二人して妨害運動をしたりしたが、律気な——鉢植えのみたいな生れつきのにも芽が出て、だんだんに繁昌して来た。
あのを買うようなもんじゃありませんか? あのからあんなにつけつけと輕蔑の色を見せつけられたんだから
ベンヺ こゝは往來ぢゃ、どうぞ閑寂冷靜談判をするか、さもなくばれたがよい。衆人るわ。
孝孺に至りて此詩を録して人にすの時、書して曰く、前輩後学めしむ、惓惓り文辞のみにらず、望むらくはに之を勉めんと。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
横にならんで行く、浅黄のぶっ裂き羽織を着た四十あまりのと、しきりに話しこんでゆく。
丹下左膳:03 日光の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
それ等の絵には義和団匪徒英吉利兵などはれてゐても、日本兵は一人も斃れてゐなかつた。僕はもうその時にも矢張り日本兵も一人位は死んでゐるのに違ひないと思つたりした。
本所両国 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
惟うに、新主義の学を講ずる、りその通般の事を知るに止るべからず、必らずやその蘊奥を極め、た事に触れ、に応じてこれが細故を講究すべきの事多うし。
祝東京専門学校之開校 (新字新仮名) / 小野梓(著)
五等官夫人チェフタリョワだの、佐官夫人ポドトチナだの……もっともこの夫人は、こんな酷い仕打をなされたかぎり、今後交渉をもつとすれば警察沙汰以外にはありませんがね。
(新字新仮名) / ニコライ・ゴーゴリ(著)
知らぬ顔して鼻高々とその日その日を送りくさるか、あまりに性質のよ過ぎたる良人も良人なら面憎きのっそりめもまたのっそりめと、折にふれては八重縦横に癇癪の虫ね廻らし
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
あの、幻の道具屋の、綺麗なのようでもあったし、裲襠姿振袖の額の押絵の一体のようにも思う。……
夫人利生記 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
義雄が銘仙のへをせにすることを頼みに、近處の仕立物をする婆アさんの家へ行く時、お綱が門そとで百姓馬子から青物を買つてゐるのに注意すると、馬の背の荷には、もう、茄子
泡鳴五部作:04 断橋 (旧字旧仮名) / 岩野泡鳴(著)
言って見ればある時、年長者や、年下の者や、とにかく浜子の箏に心酔する、友達であり門弟である女人たちが集められた会食の席で、わたしに
朱絃舎浜子 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
日光を遮断する鉄塀はしく彼女をも我より離隔して、の通ふべき空もなし、夢てふもの世にたのむべきものならば、我は彼女と相談る時なきにあらず、然れどもその夢もはかなや
我牢獄 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
あんな者に係合つてゐた日には、末始終どんな事になるか知れやしない、それが私は苦労でね。内のもあのくらゐ利巧で居ながらどうしたと云ふのでせう。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
「何うしたい!」四度目には気軽く訊ねた。「散々を待たして置いて来る早々沈んで了って。何で其様な気の揉めることがあるの? 好い情人でも何うかしたの?」
別れたる妻に送る手紙 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
「何うしたい!」四度目には気軽く訊ねた。「散々を待たして置いて来る早々沈んで了って。何で其様な気の揉めることがあるの? 好い情人でも何うかしたの?」
別れたる妻に送る手紙 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
大人三人前を一手に引うけて鼻唄交り遣つて退ける腕を見るもの、流石に眼鏡と亡き老婆をほめける。
わかれ道 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
糸でかるる木偶のように我を忘れて行く途中、この馬鹿野郎発狂漢め、のせっかく洗ったものに何する、馬鹿めとだしぬけにみつくごとくられ
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
十二月庚午、皇太子片岡に遊行ます。時に飢ゑたる道のせり。りて姓名を問ひたまふ。而してさず。皇太子飲食を与へたまふ。
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
「ええ、古市一番の旧家で、第一等の宿屋でござります。それでも、今夜あたりは大層なおでござりましょ。あれこれとおっしゃっても、まず古市では三由屋で、その上に講元のことでござりまするから、お客は上中下とも一杯でござります。」
伊勢之巻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
掘立小屋のやうな茶店には繪描きのやうな青年がひとりで雨宿りして牛乳を飮んでゐました。
大島行 (旧字旧仮名) / 林芙美子(著)
「何だか君一人りで登るようだぜ」
二百十日 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
姉娘をのないには困りました。源之助で不可、門之助で不可、何分にも適当のが見当らないので、結局寿美蔵に廻りましたが、本来は宗之助か秀調という所でしょう。
そしたら次の駅につくと、すぐあたいのそばにまた寄って来て、たくさん乗客のいる中でも平気でいうんです。
蜜のあわれ (新字新仮名) / 室生犀星(著)
竹槍席旗は、昔から土にしい無抵抗主義の農が最後の手段であった。露西亜の強味は、農の強味である。莫斯科まで攻め入られて、初めて彼等の勇気は出て来る。農の怒は最後まで耐えられる。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
それは違うわ、はああしたでしょう。
マダム貞奴 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
先ず同級か下級の生徒の中で、好ましい付きと性質の少女を見付け出して同性愛関係を結ぶ。二人切りで秘密の名前をつける。手紙のやり取りをする。持物や服装を人知れずお揃いにする。
東京人の堕落時代 (新字新仮名) / 夢野久作杉山萠円(著)
しろき花の手と白鳥の胸毛のむね持てる彼女はすむや
(新字新仮名) / フィオナ・マクラウド(著)
支倉の奴は木で鼻をったような挨拶をしやがったが、おかみさんが分ったでねえ、病気の方は医者にかけて治療させると云う事になって姪の奴は一先ず世話した人の宅へ引取って
支倉事件 (新字新仮名) / 甲賀三郎(著)
聲なき死人は墓にかくれぬ
花守 (旧字旧仮名) / 横瀬夜雨(著)
またあちらの松林には茸狩男女が、白地の手拭を被って、話し合いながらその姿が見えたり、隠れたりしています。
嵐の夜 (新字新仮名) / 小川未明(著)
私は断然之を打ち消したのです、梅子さんも御自分で是れならばと信じなさる男子を得なすツたならば、で御約束もなさらうし、又たひても御勧め申すけれど
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
と、ある時、紅葉館で、一番古参だったおやすさんという老女が、わたしにしみじみ話してくれたことがある。
モルガンお雪 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
ましてや苦悩のは、鶏がるがごとく、りでには割れない。
剣の四君子:04 高橋泥舟 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
人間は死ねば奈何なるとか、天理教を信ずるとお寺詣りが出来ないとか、天理王のも魚籃観音の様に、仮に人間の形に現れて蒼生を済度する事があるかとか、概して教理に関する問題を
赤痢 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
国民の最大多数の食事を制限している高率の租税費途なども目撃している。
「あれは美人じゃからなあ——石河の夕千鳥には、彼女の趣味から来る風情が添うが——わしが、今感心しておる女子は、のこととなると、横浜から、箏を抱いてくる。小いさなをして。」
朱絃舎浜子 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
「なんじゃ、あんた、知っとるのか? その女子。」
朱絃舎浜子 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
つの 木に
秋の瞳 (新字旧仮名) / 八木重吉(著)
つの 影
秋の瞳 (新字旧仮名) / 八木重吉(著)
其味なるにかはる事なく、母もよろこび大方ならず、いか人のここに落せしや、是又つのふしぎ也。
案頭の書 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
積る朽葉につもる雪、かきのけ/\さがせども、(中略)ああ天我をほろぼすかとと雪にをぬらし、是非なく/\も帰る道筋、からげの小桶つ、何ならんと取上げ見れば
案頭の書 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
「何アに、さんは一人寝せときゃええさ、なア米さん、独人り寝てるわのう。」と男は顔を少し突き出した。
(新字新仮名) / 横光利一(著)
それでそこの魚屋の主人は米は障子を開ける前に、きっと叔父さんは常日ものように笑っているだろうと思って覗いて見たが、独人りで恐い顔をして庭の同じ処を見詰めていた。
(新字新仮名) / 横光利一(著)
あとで、このきいたたちは、猟師をほめれば、また薬屋さんを感心な人といって、ほめたのであります。
猟師と薬屋の話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
僕は貴嬢の理想の丈夫を知つて居ます、貴嬢の理想の丈夫はち僕の崇拝して居る所の丈夫です、僕は実に嬉しくてまらんのです、——僕が此の父の罪悪の家に在りながら
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
主家のものをうっかり粗末にしていた人が、自分の世帯になったから、これから倹約にしようと思っても、なかなかそうはいかなくなって、ついつい一生むだをすることになります。
女中訓 (新字新仮名) / 羽仁もと子(著)
うちの亭主は酔っ払っていたので、あんな安値で引受けたのだといってぐちをこぼすが、しかし十カペイカ銀貨の一枚も増してやれば、それで事なく納まるのであった。
外套 (新字新仮名) / ニコライ・ゴーゴリ(著)
ある時はフィリップのごとさき町にさき人々を愛せむと思ふ
和歌でない歌 (旧字旧仮名) / 中島敦(著)
金沢の人士は一分時のにとて、渠に二三厘を払うなり。
化銀杏 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
お手前様から宜しくお詫びを願いたい、し寺へまいるような子供でもあれば、四書五経ぐらいは教えましてもし、何うしても困る時には御厄介にならんよう、人家に立ち、を唄い
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
彼家じゃ奥様も好いだし御隠居様も小まめにちょこまかなさるが人柄は極く好い方だし、お清は出戻りだけに何処執拗れてるが
竹の木戸 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
……千二百万、すなわち、四千万円を、この席におられる方でこれを最も有意義にお使いくださるであろうと思われる人格に御相続願うことにしました
キャラコさん:01 社交室 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
ったな、貴方なんで打った、無暗に打って済むか、お役人が人民打殴って済むか、貴方では分らねえから、もっと鼻の下に髯の沢山生えた方にお目にかゝり、掛合いいたしやす
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
あれは、一体何をして生きている人種ですか。
貞操問答 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
この地球人類の文化の明るさよ背後の闇に浮出て美し
和歌でない歌 (旧字旧仮名) / 中島敦(著)
自分の好きな男は、他女も好きなのだ——そんなふうに簡単に錦子に考えられたろうか?
田沢稲船 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
「ぬかしてよ。や汝で、何ぜ俺とこを母屋やなんてたれるのや。どこで聞いて来た。他家んとこへ来るなら来るで、ちゃんとして来い。」
南北 (新字新仮名) / 横光利一(著)
其中に乃公は喉がいた。水を持って来いといえば係りの男が持って来るだろうけれど、人を呼んだりしては他所の安眠の妨害になると思って、乃公はそっと起きて水を飲みに行った。
いたずら小僧日記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
たとえ身元をくらませようとしても、東京の住人なら間もなく身元が分かるから、犯人は危険を冒して、裸にしてゆく道理がありません。
墓地の殺人 (新字新仮名) / 小酒井不木(著)
一昨日の晩も『浪の家』から、電話ぢやく解らないツてんで態々使者まで来たぢやないか、何が面白くて湖月などにグヅついてたんだ、帰つたともや
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
「ほんとに女のようなお若い、お美しいおでいらっしゃるのに、お足を、あんなにお痛めなすっては、おかわいそうでございます」
大菩薩峠:15 慢心和尚の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
二氣の正しきに乘り、五行のへ、しき理をけてめ、れたるを敷きて國を弘めたまひき。
ところが、この半四郎という俳優は、鐘入りの場合に、決して、奈落へ抜けなかったのでございます。
京鹿子娘道成寺 (新字新仮名) / 酒井嘉七(著)
あの隻眼隻手のどこがいいのかと傍人もわらえば自らもふしぎに耐えないくらい思いをよせているのに、針の先ほども通じないばかりか、先夜来すこしのことを根に持ってあの責め折檻が続いたのも
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
「僕は自分の妻を、公衆に見せるのはだな。」
遠藤(岩野)清子 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
煩悩を断じて菩提を得ることです。つまり凡夫仏陀になることです。にもかかわらず、迷いもない、悟りもない、煩悩もなければ、菩提もない。
般若心経講義 (新字新仮名) / 高神覚昇(著)
「何をおっしゃるンです。失敬な。も一度武男の目前で言ってごらんなさい。失敬な。男らしく父に相談もせずに、無礼千万な艶書にやったりなンぞ……もうこれから決して容赦はしませぬ」
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
微妙な心の動きは、わが心の姿さえ、動揺のしやすくて、信実は書きにくいのに、今日の問題の女史をどうして書けよう。
柳原燁子(白蓮) (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
いまだにせで、金齒れたる口元い、い、子細らしく數多奴婢をも使へども、旦那さまめて十人形ひにくなど、一のやうには
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
れの体は、いまの乞食尼から、おれが買ってやったぞ。てめえは、倖せなやつだよ。おれが買ってやらなければ、いずれは遠国の奴隷買いに渡されるにきまっている。
平の将門 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その人の上に二人の姉があって生存しているが、どういう訳でか、そのたちは生家へ帰っていて別に再婚しようともしない。
芳川鎌子 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
あのは、丁度お前のお母さんと違って口の上手な人でもあるし、また若い時から随分種々な目にも会っている女だから
別れたる妻に送る手紙 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
寸の間もはなれざりしものを、今さら一人はやりともなきに、我まゝなれども此處より一人手廻りのをつれたく、お新さまを宜き口あらばとお頼みなりしが、あのやうに可愛くしかも柔順しき娘を
花ごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
になりてのお指圖古參婢女どらず明日れしになりたるはさまの御情なり此御恩としてるべきさまにはゞ二人共々
五月雨 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「以前から? じゃ法科大学の学生の処に行っていたというのはあれは譃?」
別れたる妻に送る手紙 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
物心づいてからは、他人に育てられましたのよ、だから、の母にも逢わずに死なせ、その実母の父親——おじいさんですわねえ、その人は、あたしが見たい、一目逢いたいと
江木欣々女史 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
されども家人は知らでありき
枯草 (新字旧仮名) / 野口雨情(著)
お浪の家は村で指折財産よしであるが、不幸家族が少くって今ではお浪とその母とばかりになっているので、召使も居れば男女出入りするから朝夕などはかであるが
雁坂越 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
どのくらいか臆病づらを下げて、の悪いをしたか知れやしねえ、畜生め、が臆病だと思いやあがって
註文帳 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
黒吉は、既にこの常人の窺ってはならぬ「白日の妖夢」の俘囚となってしまったのであった。
夢鬼 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
凡夫を捨つべく、聖道は取るべしと存せば、則ち分別をず。ぞ宴と為すことを得ん。この句は凡聖の二境をしくすることはざるをするなり。
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
妾はあの役者達を連れて、どこか誰にもわからない処へ行って、妾が取っときの本読みをさせるの
二重心臓 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
して地球に生息する一切の有機体をや、細は細菌より大は大象に至るまでの運命である、これ天文・地質・生物の諸科学が吾等に教ゆる所である、吾等人間り此鈎束を免るることが出来よう
死生 (新字新仮名) / 幸徳秋水(著)
予はを聞くとしく口をつぐみて悄気返れば、春雨も窓外に囁き至る、瀟々の音に和し、長吁短歎絶えてまた続く、婦人の泣音むに堪へたり。
妖怪年代記 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
その時分東両国に、万八という料理やがあって、書画の会があると亀田鵬斎という書家や有名な絵かきたちが来てな、を弟子にしようとみんなが可愛がってくれた。
も知っとるはずじゃが、あの知事の東郷、な、がよくけんかをしたあの母御な、どうかい、あのが肺病で死んでの、一昨年の四月じゃったが、その年の暮れに、どうかい
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
私の熱いには、彼等の眼が火取りレンズのやうに燒きつくのが感じられた。
と、どこから来たものか、四方雨戸をとざしてあるのに、一匹の火捕り虫が飛んで来た。バタバタバタバタと雪洞へる。
神秘昆虫館 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
妖異だ。夏なら知らず十二月、蛾が生きているはずがない——と思うと灯取り虫、一つ一つのをはたきまわって、殿中にわかにボーッと暗くなってきた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
まあ、ほんとに ma chère(いとしいかた)、そのの好いたらしい顏つきといつたら!
狂人日記 (旧字旧仮名) / ニコライ・ゴーゴリ(著)
本願寺からはなすのはいやだと騒がれた美女なのに——
九条武子 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
しかしこの、おっそろしい群衆では、あたしのような年寄はとても乗れませんですよ。どうしたら、ようございましょうね
空襲下の日本 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「——本当よ、あの義姉の鼻をあかしてやりたいのさ、威張りかへつて胸くそが悪いつたらありやしない、お客と云ふお客はみんな自分の器量にひかされて来ると自惚れてるんだものねえ」
一の酉 (新字旧仮名) / 武田麟太郎(著)
れた智慧をもっている菩薩は、し生死をつくすに至るまで、に衆生の利益をなして、しかも涅槃にかず」
般若心経講義 (新字新仮名) / 高神覚昇(著)
五年前の郡上様といえば、名与力としてわれたものだ。その貴郎の手に余ったといえば、いよいよもって偉い奴でござるな。……おや、駕籠が行くそうな。提灯の火が飛んで行く
名人地獄 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
はあるまいとてねばおもしろに女房したてる白痴もあり、豆腐かふとて岡持さげてれば、りすがりのかへられて
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
わたくしは、漢室の鄙徒涿郡の愚夫。まあ、そんな者でしかありません。先生の大名は、耳に久しく、先生の神韻縹渺たるおすがたには、今日、初めて接する者です。
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「ご冗談でしょう。まさか——、あんな醜男、妹が好くわけないじゃありませんか」
青い風呂敷包 (新字新仮名) / 大倉燁子(著)
容止音辞かなり。天命開別天皇(天智天皇)の為にまれたまふ。となるに及びてしくて才学有り、文筆む。詩賦、大津より始まれり……。
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
しかして我等をいと高うする眞理をば地にしゝ者の名を、はじめてかの山に傳へしものは即ち我なり 四〇—四二
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)