“ひと”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:ヒト
語句割合
19.4%
18.7%
他人14.8%
12.2%
6.8%
5.8%
5.0%
1.9%
1.6%
人間1.1%
(他:314)12.7%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
「このかねがなしになると、これから報恩講ほうおんこうのときなんかに、ひとあつめるのにこまるわなア。」
ごんごろ鐘 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
人をつたものゝ受くるばつは、られたひとにくからる血潮であるとかたしんじてゐた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
あるうららかな春の日暮、彼は弓矢をたばさみながら、部落の後に拡がっている草山くさやまひとくだって来た。
素戔嗚尊 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
灯籠の前後には、こけ深き地をいて、名も知らぬ春の草が、浮世の風を知らぬ顔に、ひとり匂うて独り楽しんでいる。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
それらを綜合して考えると、主人は他人ひとに絞められて、その絞め縄を取りのけようとして藻掻もがきながら死んだのである。
半七捕物帳:50 正雪の絵馬 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
それお内儀かみさんわしあね他人ひと死骸しげえ見付めつけて大騷おほさわぎしてらせにたら
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
それがために、いとゞつたなくちの、せんひとつも、なんにも、ものがはれなかつたのであります。
雪霊記事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
其内そのうち山田やまだしばからひとばしまで通学つうがくするのはあまとほいとふので
硯友社の沿革 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
傍らの美しいひとも、何か言おうとして二人の顔を見くらべたまま、胸のあたりまで挙げた手を、又だらんとおろしてしまった。
地図にない島 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
美しいひとから、七八人小児こどもを離れて、二人並んでいた子守の娘が、これを聞くと真先まっさきにあとじさりをした。
陽炎座 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
だからひとから見ると変なものでも、また自分で考えてみて、矛盾したものでも、私の胸のなかでは平気で両立していたのです。
こころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
ひとに対して男らしく無遠慮にふるまっている夫人が、自分にだけは、まるで別な人間として出てくるのではないかと思われた。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
そはたゞ芸妓げいぎといひ、娼妓しやうぎといひ、矢場女やばをんなといふとひとしく、一個任意の職業たるに過ぎずして
醜婦を呵す (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
と、ひとしく深くした帽子を脱いで、お町に礼して、見た顔の、蝋燭ろうそくに二人のまぶたが露に濡れていた。
白金之絵図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
沈まば諸共もろともと、彼は宮がかばねを引起してうしろに負へば、そのかろきこと一片ひとひらの紙にひとし。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
いさましき水兵すいへい一團いちだんは、ひとしくぼうたかとばして、萬歳ばんざいさけんだ
おお神はほめられよ。実におんからみそなわすならば勲章やエボレットなどは瓦礫がれきにもひとしいじゃ。
饑餓陣営:一幕 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
近き年の破裂の時も、我等拿破里人は傘さして行きしが、ひとしく灰降るといふも、拿破里に降るとコンスタンチノポリスに降るとは殊なり。
「神様にはおしかりを受けるかも知れませんが、人間ひとが困つた時には覿面てきめん効力ききめがある事なんです。」
何故といつて、聖書で見ると、どんな人間ひとだつて乗合馬車位の「罪」は、各自てんでにみんな背負しよつてるのだから。
然し少年の胸には異常の不安があつた。彼はやや青白い美しい顏色に沈鬱の影を見せて、ひとへに下界の一方を見つめてゐる。
少年の死 (旧字旧仮名) / 木下杢太郎(著)
そしてもし、そのやうな影がほの見えることがあつたとしても、それはひとへに私の筆のたどたどしさに帰して戴きたい。
垂水 (新字旧仮名) / 神西清(著)
ひとり謫天情仙じやうせんのみ舊にりて、言ふことまれなれども、あたること多からむことを求むるに似たり。
柵草紙の山房論文 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
れと同年齡おねえどしだよ」ひとりぼつちにつて勘次かんじよこからくちはさんだ。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
粥河圖書は年齢としごろ二十六七で、色の白い人品じんぴんひとで、尤も大禄を取った方は自然品格が違います。
もしえ、あのれさッしゃるおひとは、澤山々々たんと/\貨幣ちんからにありつきますぞや。
「大いにあるのよ。母様には、恋愛なんかから超越して、ひとり高く浄しというような、私を見ているのが趣味なようなところがあるのよ」
伸子 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
ただ向うに見える一点の灯火ともしびが、今夜の運命を決するひとであると覚悟して、寂寞せきばくたる原を真直まっすぐに横切った。
満韓ところどころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
われ目とあゆみひとしく移して聖達ひじりたちに從ひ、その語ることを聞きつゝ行けども疲れをおぼえざりしに 七―九
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
地震なゐつてうごき、まち此方こちらかたむいたやうに、わツとおここゑひとしく
祭のこと (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
行末ゆくすゑいかに御立身ごりつしんなされて如何樣どのやうなお人物ひとたまふおにや
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
『なりませんとも。』と白髯の議員も笑つて、『どうして、彼丈あれだけの決心をするといふのは容易ぢや無い。しかし猪子のやうな人物ひとは特別だ。』
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
ただ生来の不文のために我学界に礼を失するがごとき点があるかもしれないが、これについてはひとえに読者の寛容を祈る次第である。
学位について (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
イヤこれはこれは、今日は全家うちじゅうが出払って余り徒然つれづれなので、番茶をれてひとりでうかれていた処サ。
それどころか、まるでこの婦人ひとの助言でも当てにしているように、自分から進んで、彼女のもとをさして急ぐのであった。
現今いま婦人ひとは、かなり個性に生きてゐるといふが、そのくせ流行はやりものに安くコビリつく。
下町娘 (旧字旧仮名) / 長谷川時雨(著)
門を出て右へ曲ると、智恵子はちよつと学校を振返つて見て、『気障きざひとだ。』と心に言つた。故もない微笑ほほゑみがチラリと口元に漂ふ。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
「あのひと、あんなに急いで帰って、どうするつもりなんでしょう。変ですわネ」
月世界探険記 (新字新仮名) / 海野十三(著)
生憎あいにく、うちの良人ひとも、小荷駄衆のお侍から出頭しろといわれて、夕方、酒匂のお役所まで行きましたが、もう間もなく戻りましょう』
篝火の女 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
『はい、きょうもうちの良人ひとと、噂をしていた所でございますよ。さあ、ばたへお寄んなすって』
篝火の女 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「伯母さん、かねてお話した通り、偉い女性ひとに相違ありませぬがネ、――伯母さんより十歳とをも上のお姿さんですよ」
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
左様さやう、余程意思の強い女性ひとらしいです――何でも亡母おつかさんが偉かつたと云ふことだから」と篠田は言ふ、
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
そのひとは、用たしの帰りにでもこの騒擾そうじょうにまきこまれたらしく、かえりを急ぐとみえて、いらいらしていた。
巷説享保図絵 (新字新仮名) / 林不忘(著)
と同僚の噂話であろう。横にならんで行く、浅黄のぶっ裂き羽織を着た四十あまりのひとと、しきりに話しこんでゆく。
丹下左膳:03 日光の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
何もな、何も知らんのえ、あて路之助はんのは、あんたはん、ようお馴染なじみの――源太はん、帯がゆるむ――いわはったひとどすの。
白花の朝顔 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
家庭には荒くれた男の人たちも多くいるし、廃娼はいしょうしたいひとたちも飛込んできた。
柳原燁子(白蓮) (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
台所へ廻ろうか、足をいてと、そこに居るひとの、呼吸いき気勢けはいを、伺い伺い、縁端えんばなへ。
薄紅梅 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「ええ。それがね。あの人は地道に行きたい行きたい。みんなに信用されていたいいたいと、思い詰めているのがあのひとの虚栄なんですからね。そのために虚構うそくんですよ」
少女地獄 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
アイモニエー曰く、猫往昔むかし虎に黠智かつちと躍越法を教えたがひとり糞を埋むる秘訣のみは伝えず、これをうらんで虎今に猫を嫉むとカンボジアの俗信ずと。
国家の運命を懸念するものひとり日本国民にのみ限れるの事なるか、之れを以て日本国民の特質となすは余りに漠たるの感なきを得るか、道義的情緒に富めりといふを以て之れに答へんか
国民性と文学 (新字旧仮名) / 綱島梁川(著)
一人やなんぞ、気にもしないで、父子おやこは澄まして、ひとの我に対する表敬の動揺どよめきを待って、傲然ごうぜんとしていた。
ひとの忌む処、かえって、底の見えない、霊験ある趣を添えて、誰もその易者が榎の下に居るのを怪しまぬけれども
黒百合 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
つて衆人ひとに立たぬければ不可いかぬから、入口はいりぐち横町よこちやう
世辞屋 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
して見ると無理に衆人ひとかせよう、とわけでもなんでもなかつたのでござります。
落語の濫觴 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
それ等の絵には義和団ぎわだん匪徒ひと英吉利イギリス兵などはたふれてゐても、日本兵は一人も斃れてゐなかつた。
本所両国 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
それ等の絵には義和団の匪徒ひとやイギリス兵などはたおれていても、日本兵は一人も、斃れていなかった。
本所両国 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
「お察しの通り、あの老婦人、マッケイのお母さんです。僕をきらった夫人ひとです。」
モルガンお雪 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
「まあ、」と飛んだ顔をして、斜めに取って見透みすかした風情は、この夫人ひとえんなるだけ、中指なかざし鼈甲べっこうを、日影に透かした趣だったが、
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
古くなったタオルの手拭てぬぐいが、日当りの縁に幾本か干してあるのが、妙にこの女人ひとにそぐわない感じだ。
柳原燁子(白蓮) (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
言って見ればある時、年長者や、年下の者や、とにかく浜子の箏に心酔する、友達であり門弟である女人ひとたちが集められた会食の席で、わたしに、
朱絃舎浜子 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)