ひと)” の例文
新字:
だがのいづれの相乘あひのりにも、ひとしくわたしくわんせざることふまでもない。とにかく、色氣いろけいさゝ自棄やけで、おだやかならぬものであつた。
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
そも/\これらの靈體は、我をして彼等に請ふの願ひを起さしめんとて皆ひとしくもだしゝなれば、いかで正しきこひに耳を傾けざらんや 七—九
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
農夫等は下なる一間にて飮み歌へり。二人代る/″\唱へ、末の句に至りて、坐客ひとしく和したり。
名所古蹟の中にも遊覽者の萬人ひとしくこれをおとなふものと又然らざるものとの二ツがある。
十年振:一名京都紀行 (旧字旧仮名) / 永井荷風(著)
彼等かれらとなり主人しゆじんたいして平素へいそむくいようとするよりも將來しやうらいおそれてる。彼等かれらみなひとしくしづかにおちついた白晝はくちうにはたつことが家族かぞくやすいことをつてるのである。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
てんくらい、くらい、うみおもて激浪げきらう逆卷さかまき、水煙すいゑんをどつて、咫尺しせきべんぜぬ有樣ありさまわたくしでなく、たゞちに球燈きゆうとうてんじてすと、日出雄少年ひでをせうねん水兵等すいへいらひとしくに/\松明たいまつをかざして
尋る中彌生やよひの空も十九日子待ねまちの月のやゝ出ておぼろながらに差かゝるつゝみやなぎ戰々そよ/\吹亂ふきみだれしも物寂寞さびしく水音みづおとたかき大井川の此方のをかへ來かゝるに何やらん二ひきの犬があらそひ居しが安五郎を見るとひとしくくはへし物を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
せば、滿座まんざひとしくいろうしなひ、やれ
鬼桃太郎 (旧字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
ふと、ひとしく、俄然がぜんとしてまた美少年びせうねんつて、婦人ふじん打背うちそむほゝてた。が、すらりといて、椅子いすつた。
みつ柏 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
されど汝若し知らば我等に告げよ、山今かの如くゆるげるは何故ぞや、またそのるゝ据に至るまで衆ひとしく叫ぶと見えしは何故ぞや。 三四—三六
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
怪むべし、われは足一たびヱネチアの地を踏むとひとしく、吾心の劇變せるを覺えき。
きくひとしく産後の血上り是もつゞきて翌朝よくあさ其若君の御跡したひ終にむなしく相果あひはてたりひとり殘りしばゝがかなしみ何にたとへん樣もなく扨も其後徳太郎樣には御運ごうん目出度めでたくましまし今の公方樣くばうさまとはならせ給ひたりされば娘のもち奉りて若君の今迄御無事にましまさば夫こそ天下樣の落胤おとしだねなれば此ばゝも綾錦あやにしき
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
地震なゐつてうごき、まち此方こちらかたむいたやうに、わツとおここゑひとしく、御神輿おみこし大波おほなみつて、どどどとつてかへして、づしんと其處そこ縁臺えんだいすわつた。
祭のこと (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
われ目とあゆみひとしく移して聖達ひじりたちに從ひ、その語ることを聞きつゝ行けども疲れをおぼえざりしに 七—九
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
わが渠等かれらを認めしとき、渠等も亦我を認めき。肥えたる二人はひとしく銃をりて立ち上りたり。客人は何の用ありてこゝに來しぞ。われ。舟をたづねて河をこさんとす。三人は目を合せたり。甲。
いへ土御門西つちみかどにし洞院とうゐんにありければで、むとひとしくたふれた、とふのが、今昔物語こんじやくものがたりにえる。
春着 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ラートナのふたりの子、白羊と天秤てんびんとに蔽はれて、ひとしく天涯を帶とする頃 一—三
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
つなとほつるや、筋斗もんどりち、飜然ひらりんで、つちてのひらをつくとひとしく、眞倒まつさかさまにひよい/\とくこと十餘歩じふよほにして、けろりとまる。るもの驚歎きやうたんせざるはなし。
唐模様 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ひとしくまたゝくに似たるを見たり
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
またそれがためにいきほひし、ちからることは、たゝかひ鯨波ときげるにひとしい、曳々えい/\!と一齊いつせいこゑはせるトタンに、故郷ふるさとも、妻子つまこも、も、時間じかんも、よくも、未練みれんわすれるのである。
三尺角 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
が、すさまじさとつたら、まるで眞白まつしろな、つめたい、こな大波おほなみおよぐやうで、かぜ荒海あらうみひとしく、ぐわう/\とうなつて、——とつても五六しやくつもつたゆきを、押搖おしゆすつてくるふのです。
雪霊記事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
板圍いたがこひをして、よこながい、屋根やねひくい、しめつたくらなかで、はたらいてるので、三にん石屋いしやひとしく南屋みなみややとはれてるのだけれども、渠等かれら與吉よきちのやうなのではない、大工だいく一所いつしよ
三尺角 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
ふまでもなく婦人ふじんにも、ひとしくをんなつたので、驚駭きやうがくへてまたあをつた。
みつ柏 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
いちたにたにさんたにたにかけて、山々やま/\峰々みね/\縱横じうわうに、れにるゝがるやう、大波おほなみせてはかへすにひとしく、一夜いちや北國空ほくこくぞらにあらゆるゆきを、ふるおとすこと、すさまじい。
雪の翼 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
おう」は普通ふつう乞食こつじきひとしく、かげもなき貧民ひんみんなり。頭髮とうはつ婦人をんなのごとくながびたるをむすばず、かたよりれてかゝといたる。跣足せんそくにて行歩かうほはなはけんなり。容顏ようがん隱險いんけんび、みゝさとく、するどし。
蛇くひ (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ふとひとしく、ひつくりかへつて、ねずみがころつとんだ。同時どうじに、づきんきものえてつた。襄邑じやういふちやう、そのとき思入おもいれがあつて、じつとると、つね貧弱ひんじやくねずみのみ。周南壽しうなんいのちながし。とふのである。
間引菜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
つねさんのも、ひとしくあふいで、つめたひかつた。
霰ふる (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)