衆人ひと)” の例文
何うも身装みなりが悪いと衆人ひとの用いが悪いから、羽織だけはわきで才覚したが、短かい脇差を一本お父さんに内証で持って来てくれねえか
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
ベンヺ こゝは往來わうらいぢゃ、どうぞ閑寂ひそかところ冷靜しづか談判だんぱんをするか、さもなくばわかれたがよい。衆人ひとるわ。
一人の知らるべき事は百人に、百人に知らるべき事は萬人の目の前に顯はして、不出來も失敗しつぱいも功名も手柄も、對手あいて多數おほくに取りて晴れの塲所にて爲すぞよき、衆人ひとの讀むべき書物ほんをよみ
花ごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
成程なるほどと思つて当日たうじつつて見ると、幟等のぼりなどさかんに落語はなしくわいがあつたといふ。して見ると無理に衆人ひとかせよう、とわけでもなんでもなかつたのでござります。
落語の濫觴 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
衆人ひとのいふべき事をいひ、衆人の行ひたるあとを踏んで、糸もて繰らるゝ木偶のやうに、我が心といふものなく、意氣地なくつまらなく、過失あやまちもなく誹りもなきは男の身として本意にては有るまじ
花ごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
何時までも此処に芸者をして居ても堅くして居ちゃア衆人ひとの用いが悪うございます、此の節は厭な官員さんが這入って来て御冗談を仰しゃる事が有るから困ります
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
あまはげしい往来中わうらいなかではいかず、とつて衆人ひとに立たぬければ不可いかぬから、入口はいりぐち横町よこちやうけ、おもてはうは三四けんの所をこまかい格子作かうしづくりこしらへ、往来おもてはう看板かんばんけました。
世辞屋 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
其の折に貴方を頼んでお国へかれるようだと私も安心をします、私は坊主の身の上で、婦人と一緒に歩くのは誠に困る、衆人ひとにも見られて、いやな事でも云われると困る
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
私の家名を汚さんよう、衆人ひとに代って斬られようという其の志、実に此の上もない感服のことだ、あゝ恥入った、実に我が先祖は白痴たわけだ、斯様な事を書遺すというは、許せ/\
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
たけえ給金も戴きました、お側にいて見れば、誠にどうも旦那さまは衆人ひとにも目をかけ行届きも能く、どうも結構な旦那さまだが、此の二十枚の皿が此処こゝうちげえだ、いや腹アお立ちなさるな
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)