“泣音”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
なくね83.3%
きふおん16.7%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
その時男の声音こわねは全く聞えずして、唯ひとり女のほしいままに泣音なくねもらすのみなる。寤めたる貫一はいやが上に寤めて、自らゆゑを知らざる胸をとどろかせり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
蒸々むしむしと悪気の籠った暑さは、そこらの田舎屋を圧するようで、空気は大磐石に化したるごとく、嬰児みどりご泣音なくねも沈み、鶏のさえ羽叩くにものうげで、庇間ひあわいにかけた階子はしごに留まって
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
予はそれを聞くとひとしく口をつぐみて悄気返しよげかへれば、春雨しゆんうあたかも窓外に囁き至る、瀟々せう/\の音に和し、長吁ちようう短歎たんたん絶えてまた続く、婦人の泣音きふおんあやしむに堪へたり。
妖怪年代記 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)