女性ひと)” の例文
何しろあの人たちは本当の女性ひとなんだからね……ただ整形外科の医学の方は人の顔の美醜を自由に造りかえる位にはいっている。
地図にない島 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
あの女性ひとが——と、聴くものも、いうものも、ただ顔を見合った。また、その次だった。もうその時分には、練馬の新築に越していたのだが
江木欣々女史 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
この辺にこんな上品な美しい女性ひとが住んでいたら、いままでにその評判を聞かないわけはないから、これはおそらく都の人がやまもうでをしたついでに
「伯母さん、かねてお話した通り、偉い女性ひとに相違ありませぬがネ、——伯母さんより十歳とをも上のお姿さんですよ」
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
……あなた以外の女性ひとが私の心を占めることは絶対に、絶対に、絶対に有り得ない。
そうした、おなじ国の、おなじ年頃の、フランスの人になっている、おなじ京都の女性ひとにさえお雪は往来ゆききがなかったのだ。
モルガンお雪 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
左様さやう、余程意思の強い女性ひとらしいです——何でも亡母おつかさんが偉かつたと云ふことだから」と篠田は言ふ
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
中野は、実際のところ一と眼慶子を見た時から、理想の女性にぶつかったような、自分の一生には、もう二度とこれ以上の女性ひとには逢うまいと思うような感激を覚えていた。
地図にない島 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
大そうあでやかな女性ひとが、遠山ずりの色美しい衣服を着て、召使らしい十四五歳のきれいな少女に包みをもたせ、ぐっしょりと濡れて、いかにも困った様子をしていたが、豊雄と視線があうと
伝右衛門氏は、それほどの女性ひとを、金でつかんでいるというふうに、好意をよせられないのもしかたがなかった。
柳原燁子(白蓮) (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
長二、お前、亜米利加アメリカとかで大層お世話になつた婦人かたがあるぢや無いか、偉い女性ひとだとお前が言ふのだから、大した人に相違なかろが、一つ其婦人かたを貰ふわけにやなるまいか
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
切子きりこつぼのような女性ひとだ、いろんな面を見せてふくざつにキラキラしている。
江木欣々女史 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
そつくりそのまま似て生れてしまつてゐる果敢はかない女性ひとだつた。
日本橋あたり (旧字旧仮名) / 長谷川時雨(著)