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ふりがな文庫
“
人物
(
ひと
)” の例文
『なりませんとも。』と白髯の議員も笑つて、『どうして、
彼丈
(
あれだけ
)
の決心をするといふのは容易ぢや無い。しかし猪子のやうな
人物
(
ひと
)
は特別だ。』
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
美満寿屋というのは表通の
上町
(
かみまち
)
に出来ている飲食店であったが、主人というのが元を正せば洋服を着た方の種類の
人物
(
ひと
)
で
温室の恋
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
朕薄徳を以て、恭しく大位を承け、志は
兼済
(
あはせすくふ
)
に在りて、
勤
(
いそし
)
みて
人物
(
ひと
)
を
撫
(
な
)
づ。率土の浜は已に仁恕に
霑
(
うるほ
)
ふと雖も、而も
普天之下
(
あめのした
)
は未だ法恩を浴びず。
君臣相念
(新字旧仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
……今日では、もはや、武家、町人と
区別
(
けじめ
)
を立てる時節でもなく、町家でも手堅い家であり、また気立ての好い
人物
(
ひと
)
ならば、綾を
何処
(
どこ
)
へでもお世話をお願いしたい。
幕末維新懐古談:51 大隈綾子刀自の思い出
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
お
志
(
こヽろざ
)
しの
文
(
ふみ
)
封
(
ふう
)
は
切
(
き
)
らねど
御覽
(
ごらん
)
ぜよ
此通
(
このとほ
)
りと、
手文庫
(
てぶんこ
)
に
誠
(
まこと
)
を
見
(
み
)
せしが、
扨
(
さて
)
も
我
(
われ
)
故
(
ゆゑ
)
と
聞
(
き
)
けば
嬉
(
うれ
)
しきか
悲
(
かな
)
しきか、
行末
(
ゆくすゑ
)
いかに
御立身
(
ごりつしん
)
なされて
如何樣
(
どのやう
)
なお
人物
(
ひと
)
に
成
(
な
)
り
給
(
たま
)
ふお
身
(
み
)
にや
暁月夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
▼ もっと見る
私はおまえさんはきっとりっぱな
人物
(
ひと
)
になれると
想
(
おも
)
うから、ぜひりっぱな人物にしてみたくってたまらないんだもの。後生だから早く勉強して、りっぱな人物になってくださいよう
義血侠血
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
叔母を送つて好摩の
停車場
(
ステイシヨン
)
に行つた下男と下女は、新しい一人の
人物
(
ひと
)
を小川家に導いて帰つた。それは外ではない、信之の次男、静子とは
一歳劣
(
ひとつおと
)
りの弟の、志郎といふ士官候補生だ。
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
木魚
(
もくぎょ
)
の顔の
老爺
(
おじい
)
さんが、あの額の上に
丁字髷
(
ちょんまげ
)
をのせて、短い体に黒ちりめんの羽織を着て、大小をさしていた姿も
滑稽
(
こっけい
)
であったろうが、そういうまた
老妻
(
おばあ
)
さんも美事な
出来栄
(
できばえ
)
の
人物
(
ひと
)
だった。
旧聞日本橋:09 木魚の配偶
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
和尚さんもね、彼病気さへ無ければ、実に気分の優しい、好い
人物
(
ひと
)
なんです——申分の無い人物なんです——いえ、私は今だつても和尚さんを信じて居るんですよ。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
和泉守の狂歌であるがこんな
洒落気
(
しゃれけ
)
もあった
人物
(
ひと
)
で、そうかと思うと何かの都合で林大学頭が休講した際には代わって経書を講じたというから学問の深さも推察される。
大鵬のゆくえ
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
榎本武揚や勝安房のやうな
勝
(
すぐ
)
れた
人物
(
ひと
)
でもなかつた彼等は、すつかり打ちのめされて、消耗しきつてしまつた維新後の廿七年を、今こそと腕をまくりあげて來は來ても、窮乏陋巷にある彼等は
日本橋あたり
(旧字旧仮名)
/
長谷川時雨
(著)
旦那もね、お前さんの知ってる通り、好い
人物
(
ひと
)
なんですよ。気分は
温厚
(
すなお
)
ですし、奉公人にまで優しくて……それにお前さん、この節は非常な勉強で、人望はますます集って来ましたサ。
家:01 (上)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
いやいや
私
(
わし
)
は偉い人でも
勝
(
すぐ
)
れた人間でもありませんよ。
俺
(
わし
)
は平凡な人間です。しかし俺は
真実
(
ほんと
)
を語りそして
真実
(
ほんと
)
を行っています。あるいはこの点が普通の
人物
(
ひと
)
と違っている点かもしれませんな。
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
あの
人物
(
ひと
)
が赤面するなぞとは、ちよつと思へないであらうが、あんなに顏を赤らめる人はなかつた。だが、顎をささへて、輕く首を左右へ動かすか、または輕くうなづく時は機嫌がいいのらしかつた。
三十五氏
(旧字旧仮名)
/
長谷川時雨
(著)
こう思いながら見やるのであったが、それぞと思われる
人物
(
ひと
)
はいない。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
人
常用漢字
小1
部首:⼈
2画
物
常用漢字
小3
部首:⽜
8画
“人物”で始まる語句
人物評
人物画
人物才幹