“滑稽”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
こっけい82.0%
こつけい8.2%
おどけ4.8%
おど1.6%
をかし0.8%
ちょか0.5%
をかしな0.5%
おかし0.3%
おちょけ0.3%
しやれ0.3%
とぼけ0.3%
バロク0.3%
ユーモア0.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
そこで、私が最初に言いたいことは、特に日本の古典には、Cに該当がいとうする勝れた滑稽こっけい文学が存外多く残されている、このことである。
FARCE に就て (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
紋服を着た西洋人は滑稽こつけいに見えるものである。或は滑稽に見える余り、西洋人自身の男振をとこぶりなどは滅多めつたに問題にならないものである。
続野人生計事 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
「いや、まじめだよ。この擂粉木と杓子しゃもじの恩を忘れてどうする。おかめひょっとこのように滑稽おどけもの扱いにするのは不届き千万さ。」
貝の穴に河童の居る事 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「あ、じゃでの、」などと役人口調で、眼鏡の下に、一杯のしわを寄せて、髯の上をで下げ撫で下げ、滑稽おどけた話をして喜ばせる。その小父おじさんが
露肆 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
うさ、だけどわたしおほきくなりかたほふかなつてる』とつて福鼠ふくねずみは、『そんな滑稽をかしふうぢやない』そこ忌々いま/\しさうにあがり、法廷ほふていかはえてきました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
「おまはん、今日はただの晩やあらへんさかい、あんまり滑稽ちょかなこと言いなはんなや」
わが町 (新字新仮名) / 織田作之助(著)
うなると滑稽をかしなもので、さらでだに私は編輯局で一番年が若いのに、人一倍大事がられて居たのを、同僚に對して氣耻かしい位、社長や理事の態度が變つて來る。
菊池君 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
金石かないわみなと、宮の腰の浜へ上って、北海のたこ烏賊いかはまぐりが、開帳まいりに、ここへ出て来たという、滑稽おかしな昔話がある——
瓜の涙 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
滑稽おちょけ話の積りであった叔母はあっ気にとられ、そんな順平が血のつながるだけにいっそいじらしく、また不気味でもあったので、何してんねんや、えらいかしこまって。
放浪 (新字新仮名) / 織田作之助(著)
それが、怎して村一番の乱暴者あばれものかといふに、根が軽口の滑稽しやれに快く飲む方だつたけれど、誰かしら酔ひに乗じて小生意気な事でも言出すと、座がしらけるのを怒るのか
刑余の叔父 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
であるから、独りの時には、矢張やっぱり元の無邪気な人懐こい犬で、滑稽とぼけかおをして他愛のない事ばかりして遊んでいる。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
自分の作風は、太い線をもつて滑稽バロクの段階に鮮明でありたいものだ! と夜空へ向つて眼を据えた。
病状 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
山の手ウエストエンドのエハガキ店頭の滑稽ユーモアは大体犬と猫とが独占している——。
ロンドン一九二九年 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)