“をかし”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:ヲカシ
語句割合
可笑67.6%
可怪10.3%
7.4%
滑稽4.4%
2.9%
1.5%
侵入1.5%
怪㤉1.5%
笑止1.5%
1.5%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
『馬鹿なことを言ひたまへ。』と丑松は反返そりかへつて笑つた。笑ふには笑つたが、然しそれは可笑をかしくて笑つたやうにも聞えなかつたのである。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
可怪をかしいなア。婆さん、役場から眞箇ほんとに通知書が行つたのかい? 子供を學校に出せといふ書附が?』
足跡 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
世に大なるをかしがある、極めて大なるをかしがある。吾等は之を赦免し得る。世に大なる異端がある、極めて大なる異端がある。吾等は仮借せずに之を罰せねばならぬ。
法王の祈祷 (新字旧仮名) / マルセル・シュウォッブ(著)
かくて渠は、一滴の汁も残さず柏二杯を平らげたが、するとモウ心にも身体にも坐りがついて、先刻の事を考へると、我ながら滑稽をかしくなつて遂口に出して笑つて見る。
病院の窓 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
をかしな事には、少許すこし離れて写すと、顔が長くなつたり、ひらたくなつたり、目も鼻も歪んで見えるのであつたが、お定は幼心に、これは鏡が余り大き過ぎるからだと考へてゐたものだ。
天鵞絨 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
「どうも私はこの間からをかしいわいと思つてゐたのですが、どうも様子がね、内のひとがあの別品さんに係合かかりあひを付けてゐやしないかと思ふの——どうもそれに違無いの!」
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
今朝出掛けたのもどうもをかしいの、確に氷川へ行つたんぢやないらしい。だから御覧なさい。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
我国の雪意ゆきもよひ暖国だんこくひとしからず。およそ九月のなかばより霜をおきて寒気次第しだいはげしく、九月の末にいたれ殺風さつふうはだへ侵入をかし冬枯ふゆがれ諸木しよぼくおとし、天色てんしよくせふ/\として日のひかりざる事連日れんじつ是雪のもよほし也。
怪㤉をかしことには、まゆう、う、とおぼえはねえだが、なんともはれねえ、をんな容色きりやうだで……いろこひけれども、るやうで、なんともの、うつくしさがわすれられぬ。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
此時龍馬は創を負て居るからと籠にのり、私は男粧して兵隊の中にまじつて行きました……、笑止をかしかつたですよ。
千里駒後日譚 (新字旧仮名) / 川田瑞穂楢崎竜川田雪山(著)
そんぢやお内儀かみさん他人ひとぜになくしたのなんぞ發見めつけてもらねえ容子ふりなんぞして、あとんなつたてえでをかしとき
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)