可怪をかし)” の例文
「眼ばかりぢやねえ、寶冠の瓔珞やうらくから、襟も肩もぐつしよりだ。頭の上から涙を流すのは、佛樣にしても可怪をかしくはないか、八」
可怪をかしいなア。婆さん、役場から眞箇ほんとに通知書が行つたのかい? 子供を學校に出せといふ書附が?』
足跡 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
可怪をかしいなア。婆さん、役場から真箇ほんとに通知書が行つたのかい? 子供を学校に出せといふ書付が?』
足跡 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
言ふんだい、彦兄イ。向島だの、三百八十兩だのと——俺はもう惡事とは縁切りさ。三年前から堅氣になつて、近頃では左官の彦兵衞と同じやうに通用する經師屋きやうじやの東作だ。可怪をかしな事を
『私此の家にた事、貴女可怪をかしいと思つたでせう?』と、稍あつて清子は極悪相きまりわるさうに言つた。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
可怪をかしなことがあるよ。新しい齒こぼれのあるところを見ると、剃刀かみそりで切つたには相違ないが、一度血を拭いて、仕舞ひ込んで、又落したのはどう言ふわけだ。——餘程あわてたのかな」
灰吹はひふきふただ。——流れないのが可怪をかしいな」