滑稽おど)” の例文
「あ、じゃでの、」などと役人口調で、眼鏡の下に、一杯のしわを寄せて、髯の上をで下げ撫で下げ、滑稽おどけた話をして喜ばせる。その小父おじさんが
露肆 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
その度にきやつきやと笑ふので小犬等もまた食卓をにぎはす一つに成つて居る。楽天的な滑稽おどけた家庭だ。これが純巴里パリイ人の性格の一種を示して居るのであらう。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
ちらと滑稽おどけた骸骨がいこつ
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
野山のやまに、によき/\、とつて、あのかたちおもふと、なんとなく滑稽おどけてきこえて、大分だいぶ安直あんちよくあつかふやうだけれども、んでもないこと、あれでなか/\凄味すごみがある。
くさびら (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
一株のはぎを、五、六羽で、ゆさゆさゆすって、さかりの時は花もこぼさず、はしくわえたり、尾で跳ねたり、横顔でのぞいたり、かくして、裏おもて、虫をあさりつつ、滑稽おどけてはずんで
二、三羽――十二、三羽 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
年紀としは源助より大分わかいが、仔細しさいも無かろう、けれども発心をしたように頭髪をすっぺりと剃附そりつけた青道心あおどうしんの、いつも莞爾々々にこにこした滑稽おどけた男で、やっぱり学校に居る、もう一人の小使である。
朱日記 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)