“我(ひと)” の例文
我(ひと)の折角洗つたものに何する、馬鹿めと突然(だしぬけ)に噛つく如く罵られ、癇張声に胆を冷してハッと思へば瓦落離(ぐわらり)顛倒、手桶枕に立てかけありし張物板に
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
糸で曳(ひ)かるる木偶(でく)のように我を忘れて行く途中、この馬鹿野郎発狂漢(きちがい)め、我(ひと)のせっかく洗ったものに何する、馬鹿めとだしぬけに噛(か)みつくごとく罵(ののし)られ
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
のつそりめと三度めには傍へ行つて大声で怒鳴つて遣りましたれば漸く吃驚して梟(ふくろ)に似た眼で我(ひと)の顔を見詰め、あゝ清吉あーにーいかと寝惚声の挨拶、やい、汝(きさま)は大分好い男児(をとこ)になつたの
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
我も汝が慾かなんぞで対岸(むかう)にまはる奴ならば、我(ひと)の仕事に邪魔を入れる猪口才な死節野郎と一釿(ひとてうな)に脳天打欠(ぶつか)かずには置かぬが、つく/″\汝の身を察すれば寧(いつそ)仕事も呉れたいやうな気のするほど
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
のっそりめと三度めには傍へ行って大声で怒鳴ってやりましたればようやくびっくりして梟(ふくろ)に似た眼で我(ひと)の顔を見つめ、ああ清吉あーにーいかと寝惚声(ねぼけごえ)の挨拶(あいさつ)、やい、汝(きさま)は大分好い男児(おとこ)になったの
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
我も汝が欲かなんぞで対岸(むこう)にまわる奴ならば、我(ひと)の仕事に邪魔を入れる猪口才(ちょこざい)な死節野郎(しにぶしやろう)と一釿(ひとちょうな)に脳天打(ぶ)っ欠かずにはおかぬが、つくづく汝の身を察すればいっそ仕事もくれたいような気のするほど
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)