“対岸”のいろいろな読み方と例文
旧字:對岸
読み方割合
むこう29.0%
たいがん25.8%
むこうぎし19.4%
むかう6.5%
むかうぎし6.5%
むかい3.2%
あちら3.2%
むかふぎし3.2%
むこうがわ3.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
喜「対岸むこうくぐらいは知ってるだが、一人で往くのも勿体もってえねえと思って人の来るのを待っていた処だ、丁度いからお乗んなせえな」
よほどふかいものとえまして、たたえたみずあいながしたように蒼味あおみび、水面すいめんには対岸たいがん鬱蒼うっそうたる森林しんりんかげが、くろぐろとうつってました。
昨夕もよ、空腹を抱えて対岸むこうぎしのアレシキに行って見るとダビドカの野郎に遇った。懐をあたるとあるから貸せと云ったら渋ってけっかる。
かんかん虫 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
もとわたし対岸むかうに大きな柳のつて、其処そこ脱衣婆ばあさんて、亡者まうじや衣服きものをふんばいて、六道銭だうせんを取つてましたが、わたしはいけないといふ議論ぎろんがありました
明治の地獄 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
雇女が一人三畳へ入つて来て、濡れ縁へ出て対岸むかうぎしの紅い灯を眺めながら、欄干を叩いて低く喇叭節らつぱぶしを唄つてゐたが、藪から棒に
鱧の皮 (新字旧仮名) / 上司小剣(著)
「いいえ、あのだけは二た月ばかり前から、この対岸むかいにいるんです。あなたでもおんなじですけれど、こんなになると、情合はまったく本当の親子と変りませんわ」
千鳥 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
「どうも御苦労さまでした……失礼ながら、あなたは何とおっしゃいますか、そうして何の目的で対岸あちらへお渡りになるのですか」
大菩薩峠:23 他生の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
ひたひに少し皺をせて、対岸むかふぎしから生ひかぶさりさうに、たかく池のおもてに枝をのばした古木の奥を眺めてゐた。団扇を持つた女は少し前へ出てゐる。白い方は一歩ひとあし土堤どてふちから退がつてゐる。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
可成り広い池の対岸むこうがわに、自然石じねんせきを畳んで、幅二間、高さ四間ほどの岩組とし、そこへ、幅さだけの滝を落としているのであって、滝壺たきつぼからは、霧のような飛沫しぶきが立っていたが、池の水は平坦たいらに澄返り
甲州鎮撫隊 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)