“むこうがわ”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
向側94.7%
向前2.6%
対岸2.6%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
しかし、彼女と並んで向側むこうがわを歩いている女が、赤い日傘をさした十五六歳の少女だと気がつくと、声をかけるのが妙にためらわれた。
次郎物語:02 第二部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
お杉はじぶんさかずきへ酒をぎながら、汚い食卓ちゃぶだい向前むこうがわにいる長吉の方を見た。眼の不自由な長吉は、空になった盃を前へ出していた。
春心 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
お鶴は不快そうな顔をして飯をいだした。お鶴の向前むこうがわにいた音蔵は、何時いつの間にかはしをやめていたが、お杉が長吉の盃へ酒を注いだのを見ると、ほっとしたように箸を動かした。
春心 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
可成り広い池の対岸むこうがわに、自然石じねんせきを畳んで、幅二間、高さ四間ほどの岩組とし、そこへ、幅さだけの滝を落としているのであって、滝壺たきつぼからは、霧のような飛沫しぶきが立っていたが、池の水は平坦たいらに澄返り
甲州鎮撫隊 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)