対岸たいがん)” の例文
旧字:對岸
よほどふかいものとえまして、たたえたみずあいながしたように蒼味あおみび、水面すいめんには対岸たいがん鬱蒼うっそうたる森林しんりんかげが、くろぐろとうつってました。
河面かはづら対岸たいがんそらかゞや朝日あさひビールの広告くわうこくと、東武電車とうぶでんしや鉄橋てつけううへえず徃復わうふくする電車でんしや燈影ほかげてらされ、かしボートをわか男女だんぢよ姿すがたのみならず
吾妻橋 (新字旧仮名) / 永井荷風永井壮吉(著)
平和な海面なら、綱を持って対岸たいがんまで泳ぎつくことは、至難しなんでない、だがあらしのあとの海は、まだ獰悪どうあくである。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
そんな気持の動いているときに、対岸たいがんの海ぞい道にバスが走っているのが見えたからたまらない。小さく小さくみえるバスは、まったく、あっというほどのまに走って林の中へ姿を消した。
二十四の瞳 (新字新仮名) / 壺井栄(著)
りてみると燕作はもう渓流けいりゅういわをとんで、ひらりと対岸たいがんへあがっている。小文治がかわの向こうへわたりついた時には、やはり同じ距離きょりだけをさきへのばして、こんどはスタスタとのぼりにかかった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その結果、この汽船は、対岸たいがんのバリ港へ入るのだと分った。
霊魂第十号の秘密 (新字新仮名) / 海野十三(著)
対岸たいがん造船所ざうせんじよより聞こえくるてつひびきとほあらしのごとし
つゆじも (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
しかもその神社じんじゃ所在地しょざいちは、あの油壺あぶらつぼ対岸たいがんかくあととやら、このうえともしっかりやってもらいますぞ……。
まどしたはすぐかはながれ駒形橋こまがたばし橋影はしかげ対岸たいがんまちえる。
吾妻橋 (新字旧仮名) / 永井荷風永井壮吉(著)
有半日本にとどまり、淡路島あわじしまとその対岸たいがん
少年探偵長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
只今ただいまわたくしまつられているあの小桜神社こざくらじんじゃ所在地しょざいち——すこ地形ちけいちがいましたが、大体だいたいあのあたりだったのでございます。わたくしはそこで対岸たいがんのおしろ最後さいごあがるのをながめたのでございます。