“対蹠”のいろいろな読み方と例文
読み方(ふりがな)割合
たいしょ55.0%
たいせき40.0%
アンチホート5.0%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
その点において、十一谷氏の擬古的な表現とは正に対蹠たいしょ的であり、私自身の好みから言えば、横光氏の努力の方が遥かに効果的だと思う。
昭和四年の文壇の概観 (新字新仮名) / 平林初之輔(著)
人はあるいは私を目して、ああいう虚栄の権化の性格のまったく対蹠たいしょ的な妻と結婚したばっかりに、私が自己の生涯を、自ら破滅させてしまったのだというかも知れぬ。
陰獣トリステサ (新字新仮名) / 橘外男(著)
人間として、どっちが上か、それはわからない。両方が必死に闘ったのだ。何から何まで対蹠たいしょ的な存在だからな。
(新字新仮名) / 太宰治(著)
保の部屋の入口の鴨居にあるメディテーションという貼紙は思い出すたびに伸子の心を暗くし、同時に、保と対蹠たいしょする存在として一家の中にある姉の自分を思わずにはいられなかった。
二つの庭 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
けれども比較に於ける関係からは、詩の主観的精神と対蹠たいしょさるべき、純の客観芸術が考え得られる。
詩の原理 (新字新仮名) / 萩原朔太郎(著)
セレナ夫人は、毛並の優れたセントバーナードドッグの鎖を握っていて、すべてが身長と云い容貌と云い、クリヴォフ夫人とは全く対蹠たいせき的な観をなしていた。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
愛は具体的なものに対してのほか動かない。この点において愛は名誉心と対蹠たいせき的である。愛は謙虚であることを求め、そして名誉心は最もしばしば傲慢ごうまんである。
人生論ノート (新字新仮名) / 三木清(著)
およそ対蹠たいせき的なこの二人の間に、しかし、たった一つ共通点があることに、おれは気がついた。
けれども自分の本性は、そんなお茶目さんなどとは、およ対蹠たいせき的なものでした。
人間失格 (新字新仮名) / 太宰治(著)
ちょっと広間の周囲の空気からは、ここはエアポケットに陥ったように感ぜられつつある。数分間のうちにかの女は、この群の人々とむす子との間に対蹠たいせきし、或は交渉している無形な電気を感じ取った。
母子叙情 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
尤も彼と檀とでは本質的には対蹠アンチホートするものがあつて、そこが彼等の深い友情の成立した秘密かも知れない。
稀有の文才 (新字旧仮名) / 佐藤春夫(著)