“たいしょ”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
対蹠50.0%
大書22.7%
大処13.6%
太初9.1%
対処4.5%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
その点において、十一谷氏の擬古的な表現とは正に対蹠たいしょ的であり、私自身の好みから言えば、横光氏の努力の方が遥かに効果的だと思う。
昭和四年の文壇の概観 (新字新仮名) / 平林初之輔(著)
人はあるいは私を目して、ああいう虚栄の権化の性格のまったく対蹠たいしょ的な妻と結婚したばっかりに、私が自己の生涯を、自ら破滅させてしまったのだというかも知れぬ。
陰獣トリステサ (新字新仮名) / 橘外男(著)
人間として、どっちが上か、それはわからない。両方が必死に闘ったのだ。何から何まで対蹠たいしょ的な存在だからな。
(新字新仮名) / 太宰治(著)
保の部屋の入口の鴨居にあるメディテーションという貼紙は思い出すたびに伸子の心を暗くし、同時に、保と対蹠たいしょする存在として一家の中にある姉の自分を思わずにはいられなかった。
二つの庭 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
けれども比較に於ける関係からは、詩の主観的精神と対蹠たいしょさるべき、純の客観芸術が考え得られる。
詩の原理 (新字新仮名) / 萩原朔太郎(著)
示寂の前夜、侍僧に紙を求めて、筆を持ち添えさせながら、「即心即仏、非心非仏、不渉一途、阿弥陀仏」と大書たいしょしたと云うのである。
雪の宿り (新字新仮名) / 神西清(著)
示寂の前夜、侍僧に紙を求めて、筆を持ち添へさせながら、「即心即仏、非心非仏、不渉一途、阿弥陀仏」と大書たいしょしたと云ふのである。
雪の宿り (新字旧仮名) / 神西清(著)
子寧しねい手をもて舌血ぜっけつを探り、地上に、成王せいおう安在いずくにあるの四字を大書たいしょす。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
かれは名簿をなげすて、もう一度ふかい息をして、床の間のほうに眼を転じたが、そこには、「平常心」と大書たいしょした掛軸かけじくが、全く別の世界のもののように、しずかに明るくたれていた。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
その素晴らしく高くそびえている白色の円い壁体へきたいの上には、赤い垂れ幕が何本も下っていて、その上には「一代の舞姫まいひめ赤星ジュリア一座」とか「堂々続演ぞくえん十七週間——赤き苺の実!」などとあざやかな文字で大書たいしょしてあるのが見えた。
恐怖の口笛 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「たれが、そちの十手をはずかしめたか。わしは大処たいしょから考えてしておること。そちは、職分のてまえ、眼前の苦情をいうとるのじゃ。しかし将来になってみれば、そちの誠意も、わしの苦慮も、同じだったことが分ろう」
大岡越前 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「君の云うのは、人道論だ。もっと大処たいしょから視てやらねば」
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
些事さじ小事は、頭からぬぐい去って、大きく、大処たいしょからお考え下さい。——時に折もよしです。不肖藤吉郎は、この度、洲股すのまたの築城を仰せつかり、これを足がかりとして、美濃打ち入りの先陣を承ったのです。謀将勇将、織田家にも決して乏しくはありません。
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
太初たいしょ以来、個々の部曲家門に専属した神が、だんだんと共同の神に化し、いわゆる分霊思想を発達せしめた傾向は、今にたゆみもなく続いている。
年中行事覚書 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
太初たいしょ元年にようやくこれを仕上げると、すぐに彼は史記しき編纂へんさんに着手した。
李陵 (新字新仮名) / 中島敦(著)
とにかく何事も事上錬磨れんまだよ。その意味で、私は、今日はいい機会にめぐまれたとさえ思っている。こんなことを言うと、君はそれを私の負けしみだと思うかもしれんが、しかし、けがたいものは避けがたいものとして、平気でそれを受け取って、その上でそれに対処たいしょするのが、ほんとうの自由だよ。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)