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対蹠
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たいしょ
ふりがな文庫
“
対蹠
(
たいしょ
)” の例文
この和讃を読んでいると、人世を渡るに
拙
(
つたな
)
い人の深い苦悩が浮び上ってくるようである。僕は現代人を
対蹠
(
たいしょ
)
的に考えてみた。
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
その人の年中よっぱらっているような豪放
磊落
(
らいらく
)
らしい風と、きょう伸子の前に現れた藤原という少佐の人がらはひとめ見て
対蹠
(
たいしょ
)
的であり、普通そうであるように
道標
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
けれども比較に於ける関係からは、詩の主観的精神と
対蹠
(
たいしょ
)
さるべき、純の客観芸術が考え得られる。
詩の原理
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
人はあるいは私を目して、ああいう虚栄の権化の性格のまったく
対蹠
(
たいしょ
)
的な妻と結婚したばっかりに、私が自己の生涯を、自ら破滅させてしまったのだというかも知れぬ。
陰獣トリステサ
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
その点において、十一谷氏の擬古的な表現とは正に
対蹠
(
たいしょ
)
的であり、私自身の好みから言えば、横光氏の努力の方が遥かに効果的だと思う。だが氏の表現は、混沌としすぎている。
昭和四年の文壇の概観
(新字新仮名)
/
平林初之輔
(著)
▼ もっと見る
「そりゃ、太閤に魅力があったからさ。」といつのまにやら
機嫌
(
きげん
)
を直して、「人間として、どっちが上か、それはわからない。両方が必死に闘ったのだ。何から何まで
対蹠
(
たいしょ
)
的な存在だからな。 ...
庭
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
御主人の小島市太郎氏は、小母さんとは全然
対蹠
(
たいしょ
)
的な純官員さんであった。
忘れ残りの記:――四半自叙伝――
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
この点アミ族の場合とは
対蹠
(
たいしょ
)
的だ。寒渓は
理蕃
(
りばん
)
政策に一つの解答を与えている。及第点に達しているといってもいい。衣服なども
苧麻
(
ちょま
)
を染めて手織りで作っているが、非常にいいものが出来る。
台湾の民芸について
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
故に、一つの主義が勃興すれば、それと
対蹠
(
たいしょ
)
的な主義が生起する。かくして、その相剋の間に真理は見出されるのを常とします。しかし、真の殉教者は、そのいずれに於ても、狂信的なるものである。
文化線の低下
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
元来西洋人は、
極
(
きわ
)
めて主観性の強い国民であり、日本人と正に
対蹠
(
たいしょ
)
的な地位に立ってる。
詩の原理
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
保の部屋の入口の鴨居にあるメディテーションという貼紙は思い出すたびに伸子の心を暗くし、同時に、保と
対蹠
(
たいしょ
)
する存在として一家の中にある姉の自分を思わずにはいられなかった。
二つの庭
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
東洋藝術の
孕
(
はら
)
む未来の文化財は大きくまた拡い。欧米と
対蹠
(
たいしょ
)
的なものが沢山あるからである。例えばロダンの「考える人」と、
中宮寺
(
ちゅうぐうじ
)
や広隆寺の
弥勒菩薩
(
みろくぼさつ
)
像とを比べると東西の対比がよく分る。
民芸四十年
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
対
常用漢字
小3
部首:⼨
7画
蹠
漢検1級
部首:⾜
18画
“対蹠”で始まる語句
対蹠的
対蹠点