“対岸(むかう)” の例文
旧字:對岸
旧(もと)は渡(わたし)で対岸(むかう)に大きな柳の樹(き)が有(あ)つて、其処(そこ)に脱衣婆(ばあさん)が居(ゐ)て、亡者(まうじや)の衣服(きもの)をふん奪(ばい)て、六道銭(だうせん)を取つて居(ゐ)ましたが、渡(わた)しはいけないといふ議論(ぎろん)がありました
明治の地獄 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
縫直(なほ)して着よと下されたのとは汝の眼には暎(うつ)らぬか、一方ならぬ御恩を受けて居ながら親方様の対岸(むかう)へ廻るさへあるに、それを小癪なとも恩知らずなとも仰やらず
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
今度此方の棟梁の対岸(むかう)に立つてのつそりの癖に及びも無い望みをかけ、大丈夫ではあるものゝ幾干か棟梁にも姉御にも心配をさせる其面が憎くつて面が憎くつて堪りませねば
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
我も汝が慾かなんぞで対岸(むかう)にまはる奴ならば、我(ひと)の仕事に邪魔を入れる猪口才な死節野郎と一釿(ひとてうな)に脳天打欠(ぶつか)かずには置かぬが、つく/″\汝の身を察すれば寧(いつそ)仕事も呉れたいやうな気のするほど
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)