“むかい”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
31.4%
28.6%
向家17.1%
前面5.7%
5.7%
対岸2.9%
対門2.9%
対向2.9%
迎人2.9%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
とばかりはたと扇子落して見返りし、凄艶せいえんなる目のうちに、一滴の涙宿したり。皆泣伏しぬ。むかいくるま来たれば乗りて出でき。
照葉狂言 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
と小突いて、入交いりかわって、むかいの生垣に押つけたが、蒼ざめたやっこの顔が、かッと燃えて見えたのは、咽喉のんどを絞められたものである。
式部小路 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
向家むかいの御門の暗い軒燈けんとうの陰から、真白な、怖い顔をさし出して、こちらを見ている母親の顔が見つかった。
人の顔 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
後押あとおしを加えたれども、なおいまだおよばざるより、車夫らはますます発憤して、もだゆる折から松並み木の中ほどにて、前面むかいより空車からぐるまき来たる二人の車夫に出会いぬ。
義血侠血 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
水神の森のむかいの方に
水の東京 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
「いいえ、あのだけは二た月ばかり前から、この対岸むかいにいるんです。あなたでもおんなじですけれど、こんなになると、情合はまったく本当の親子と変りませんわ」
千鳥 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
この対岸むかいのどんな人のところにいるのであろう。
千鳥 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
園部が、その対門むかいにいるみどりを頓狂とんきょうな声で呼ぶのをきいて、帆村は何とは知らずハッとした。顔をあげてみると、どうしたというのだろう、川丘みどりの顔色が真蒼まっさおだった。
麻雀殺人事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「太陽の黒点なんか蹴っとばせ、てえんだ。——やあ、いいものを引っぱってきた」と機嫌のよいのは、仲間の一人で、星尾助教授の対門むかいにいる慶応ボーイで水泳選手をやっている松山虎夫だった。
麻雀殺人事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)
さるも老木おいきの春寒しとや、枝も幹もただ日南ひなたに向いて、戸の外にばかり茂りたれば、広からざる小路の中を横ぎりて、枝さきは伸びて、やがて対向むかいなる、二階家の窓にとどかんとす。
照葉狂言 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「どう遊ばしたんだろうね?」と障子をあけてうちに入りながら「なんなら帳場したへそう言って、お迎人むかいをね」
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)