“むかひ”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
38.1%
23.8%
14.3%
對面9.5%
前面4.8%
4.8%
對坐4.8%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
三人のむかひてゐたが、代助はついくるまあつらへて置くのを忘れた。面倒だと思つて、あによめすゝめしりぞけて、茶屋の前から電車に乗つた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
乞としばしえんもとやすらひぬ餠屋もちやの店には亭主ていしゆと思しき男の居たりしかば寶澤其男にむかひ申けるは私しは腹痛ふくつう致し甚だ難澁なんじふ致せばくすり
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
京都へ程近ければ勿々なか/\危し何れにも片田舍かたゐなか引込ひつこんで外は工夫せんと思ひしが兎角とかく心落付ず彼是と考へ居たる中主も歸り來りければ靱負は主にむかひ當地は斯土地がらも能事ゆゑ上手なる易者えきしやあらずやと云ひければ主は點頭うなづき當所には名高なだか易者えきしやにて白水翁はくすゐおうと申ありまことに名人なりと云ひければ靱負ゆきへは大きに悦び然らば今日は
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
若しこの堤の一側かたがは對面むかひかはより短かゝらずば、彼のことはしらねど、我は全く力盡くるにいたれるなるべし 三四—三六
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
みちすがら前面むかひがけ処々ところどころ躑躅つつじの残り、山藤の懸れるが、はなはだ興有りと目留まれば、又このあたりこと谿浅たにあさく、水澄みて、大いなる古鏡こきようの沈める如く、深くおほへる岸樹がんじゆは陰々として眠るに似たり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
又その前面むかひには一人の女に内を守らしめて、屈強の男四人左右に遠征軍を組織し、左翼を狼藉組ろうぜきぐみと称し、右翼を蹂躙隊じゆうりんたいと称するも、実は金剛石の鼻柱をくじかんと大童おほわらはになれるにほかならざるなり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
坦々たる古道の尽くるあたり、荊棘けいきよく路をふさぎたる原野にむかひて、これが開拓を勤むる勇猛の徒をけなす者はきようらずむば惰なり。
海潮音 (新字旧仮名) / 上田敏(著)
訳者は今の日本詩壇にむかひて、もつぱらこれにのつとれと云ふ者にあらず、素性の然らしむる処か、訳者の同情はむしろ高踏派の上に在り、はたまたダンヌンチオ、オオバネルの詩に注げり。
海潮音 (新字旧仮名) / 上田敏(著)
よし人目ひとめにはこひともこヽろくるはねばと燈下とうか對坐むかひて、るまじきこひおもひをるしさ、さとしはじめよりの一ねんかたり、めてはあはれとのたまへとうらむに、勿体もつたいなきことヽて令孃ひめ
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)