むかひ)” の例文
此樣こんな時に、もしうちから誰かむかひに來て呉れたら、自分は何樣どんなにうれしかツたか知れぬ。併し其樣そんな事を幾ら考へてゐたツて無駄だ。
水郷 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
三人のむかひてゐたが、代助はついくるまあつらへて置くのを忘れた。面倒だと思つて、あによめすゝめしりぞけて、茶屋の前から電車に乗つた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
よき事なりてやが三〇五ちなみをなしける。かくて都へもむかひの人をのぼせしかば、此の采女富子とみこなるもの、よろこびて帰り来る。
やが父親てゝおやむかひにござつた、因果いんぐわあきらめて、べつ不足ふそくはいはなんだが、何分なにぶん小児こどもむすめはなれようといはぬので、医者いしやさひはひ言訳いひわけかた/″\親兄おやあにこゝろもなだめるため
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
おもつて、自分じぶんして醫者いしやむかひかうとしたが、あと心配しんぱい一足ひとあしおもてにはなれなかつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
ゆきは、故郷ふるさとからわたしむかひたものを、……かへちつとしに、貴下あなたせなよりかゝつて、二階にかい部屋へやはいりしなに、——貴下あなたのお父様とうさま御覧ごらんには、……きふ貴下あなたおほきくつて
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「今迄つてゐたけれども、あんまおそいからむかひた」と美禰子の真前まんまへに立つた。見下みおろして笑つてゐる。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
一寸ちよいと菊屋きくやむかひかい。」
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「さあきて頂戴ちようだい」にかはだけであつた。しか今日けふ昨夕ゆうべことなんとなくにかゝるので、御米およねむかひないうち宗助そうすけとこはなれた。さうしてすぐ崖下がけした雨戸あまどつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
「御たくから御迎おむかひが参りました」と云つた。代助はうちからむかひを受けるおぼえがなかつた。聞きかへして見ても、門野かどの車夫しやふがとか何とか要領を得ない事を云ふので、代助はあたまを振り/\玄関へて見た。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
「奥様がくるまつて、むかひつていつて、御仰おつしやいました」
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)