“崖”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
がけ95.9%
ぎし0.8%
ナギ0.8%
がい0.5%
なぎ0.5%
たに0.3%
かげ0.3%
きし0.3%
きりぎし0.3%
そば0.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
あのまっ赤な火のやうながけだったのです。私はまるで頭がしいんとなるやうに思ひました。そんなにその崖が恐ろしく見えたのです。
(新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
どこも七、八百尺の切りぎし急峻きゅうしゅんをなしており、上の台地は、さらに三段階となって、根小屋、高やぐら、一から四までの土塁曲輪どるいぐるわを形成している。
私本太平記:07 千早帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
近々と、谷を隔てゝ、端山の林や、ナギの幾重も重つた上に、二上フタカミ男嶽ヲノカミの頂が、赤い日に染つて立つてゐる。
死者の書 (旧字旧仮名) / 折口信夫釈迢空(著)
がいには幹の白い枝から数尺すうしやくひげを垂れた榕樹ようじゆや、紅蜀葵こうしよくきに似た花を一年ぢゆうつけて居ると云ふや、紫色ししよくをした昼顔の一種五瓜竜ごくわりようなどが目にる。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
近々と、谷を隔てて、端山の林や、なぎの幾重も重った上に、二上の男岳おのかみの頂が、赤い日に染って立っている。
死者の書 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
今朝、野部のべを立った信玄の大兵は、天龍川をわたり大菩薩だいぼさつを経て、なおその行軍態勢をつづけながら、午下ひるさがりの頃、さいたにの前面へかかって来た。
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
御堂の両側は鎌倉時代につぎ足した礼堂になっており、北面は壁、東側は手向山のかげに接しているので、堂内は非常に暗い。西方からの光りだけがわずかに群像を照らし出す。
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
奇樹きじゆきしよこたはりてりようねふるがごとく、怪岩くわいがんみちふさぎてとらすにたり。山林さんりんとほそめにしきき、礀水かんすゐふかげきしてあゐながせり。金壁きんへきなら緑山りよくざんつらなりたるさま画にもおよばざる光景くわうけい也。
博士が「手術をしよう」と沈着おちついた小声で言はれた時、わたしは真白な死のきりぎしに棒立になつた感がした。
産褥の記 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
はた永の徒歩かちに疲れしにや、二人とも弱り果てし如く、踏み締むる足に力なく青竹あをだけの杖に身を持たせて、主從相扶け、あへぎ/\のぼり行く高野かうやの山路、早や夕陽も名殘を山の巓に留めて、そばの陰、森の下
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)