“なぎ”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:ナギ
語句割合
56.4%
竹柏10.3%
9.0%
6.4%
5.1%
2.6%
水葱2.6%
1.3%
〽梛1.3%
刀柏1.3%
南木1.3%
平和1.3%
無風1.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
一方に高い土用波の立つ頃は、こゝには海のなぎの頃である。一方に自然の活動してゐる時は、こゝには自然の休息してゐる季節である。
山陰土産 (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
手水鉢ちょうずばちの向うの南天と竹柏なぎの木とにだいぶ積って、竹柏の木の方は飲み過ぎたお客のように、よろけて倒れそうになっていた。
心中 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
意表にでて後ろの源十郎へ一なぎくれたかと思うと、このときはもう慕いよる半月形の散刀に対して、無念無想むねんむそう、ふたたび静にした不破ふわの中青眼。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
むかしは熊野のなぎは全国に聞こえ渡れる名木で、その葉をいかに強くくも切れず、おっとに離れぬ守りに日本中の婦女が便宜してその葉を求め鏡の裏に保存し
神社合祀に関する意見 (新字新仮名) / 南方熊楠(著)
佛にはかかるなぎをとらせこそなどかかなしき光る若葉
白南風 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
一番近く谷を隔て、端山の林やなぎの幾重も重つた上に、二上の男嶽をのかみの頂が、赤い日に染つて立つてゐる。
死者の書:――初稿版―― (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
男は草の中にたたずんだ儘、茫然と庭の跡を眺めまはした。其処には半ば埋もれた池に、水葱なぎが少し作つてあつた。水葱はかすかな新月の光に、ひつそりと葉をむらがらせてゐた。
六の宮の姫君 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
おきのほうから潮風しおかぜに吹かれて木の葉が二枚ひらひらと飛んできて、わしのそでにかかりました。それを手に取ってみると御熊野みくまのの山にたくさんあるなぎの葉なのです。
俊寛 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
あゝありがたいと思ってそのなぎの葉をいただいて目がさめたのです。
俊寛 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
〽梛なぎの枯れ葉の名ばかりにさ。……殿様、今夜は帰しませんよ」
十二神貝十郎手柄話 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
長い廊下の一方は硝子障子ガラスしょうじで、庭の刀柏なぎ高野槙こうやまきにつもった雪がうす青く暮れた間から、暗い大川の流れをへだてて、対岸のともしびが黄いろく点々と数えられる。
老年 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
沖から吹いてきた風に、二枚の木の葉が舞い下りてきて、二人のたもとに吹きかけた。手にとってみると、熊野の南木なぎの葉である。
おお月よ、おとめアルダナの熱き胸の上に海のぎの平和なぎをあたえよ
(新字新仮名) / フィオナ・マクラウド(著)