“あわ”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:アワ
語句割合
16.6%
周章11.9%
11.6%
11.0%
7.0%
5.9%
5.8%
安房3.3%
3.3%
3.0%
(他:310)20.6%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
「ば、ば、馬鹿」と看守はあわてて呶鳴どなった。「おれが見ても判らん。上申じょうしんしてやるから一両日待っとれッ」
柿色の紙風船 (新字新仮名) / 海野十三(著)
おつたはすこあわてたやうしかるべく落附おちつかうとつとめつゝはなしそらした。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
チャンチャンチャンチャンと金具を響かせ二三十騎の騎馬武者がどうやらこっちへ来るらしい。にわかに老人は周章あわて出した。
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
と言ったら、周章あわててしまいこんでしまったけれど……寛子は思い出したように急に立ちあがると、泥いじりしている啓吉へ、
泣虫小僧 (新字新仮名) / 林芙美子(著)
六平はクウ、クウ、クウと鳴って、白いあわをはいて気絶しました。それからもうひどい熱病になって、二か月の間というもの、
とっこべとら子 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
「なんて、意気地がない。男ざかりが、あわアふっくらって可笑おかしくなるよ。おや、なんてえすべっこい肌だろう」
人外魔境:03 天母峰 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
のみならず数ある同級生のうちで、経済の点にかけては、決して人をうらやましがるあわれな境遇にいた訳ではないのです。
こころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
弁信が悄々しおしおとして、それにつづいて来たけれど、伊太夫は、それを叱ることも、あわれむことも、なすいとまがなく、
大菩薩峠:26 めいろの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
その音が寂寞せきばくを破ってざわざわと鳴ると、閭は髪の毛の根を締めつけられるように感じて、全身の肌にあわを生じた。
寒山拾得 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
その辺になお血痕けっこん斑々はんはんとして、滴り落ちているかと疑われんばかり、はだあわの生ずるのを覚ゆる。
墓が呼んでいる (新字新仮名) / 橘外男(著)
そして、正直しょうじきな、あわれなひとたちに、幸福こうふくあたえてやりたいとこたえたのであります。
海からきた使い (新字新仮名) / 小川未明(著)
しかし、年寄としよ夫婦ふうふはそれをても、いじらしいとも、あわれとも、おもわなかったのであります。
赤いろうそくと人魚 (新字新仮名) / 小川未明(著)
だんだん調べてみると、文字吉は小三津のほかに、囲い者やら後家さんやらあわせて八人の女に関係していることが判りました。
半七捕物帳:54 唐人飴 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
すけ。これならば僧侶が持ってもふしぎはない。また他人が見ても解読げどくはできぬ。あわせて、これを道誉へ渡せ」
私本太平記:10 風花帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
これはまた、昔源頼朝が、ここを通って安房あわの方へ行こうとする際に、村の人たちが出て来て、将軍に昼の飯をすすめました。
日本の伝説 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
越後へお帰りになったなどというのは、後に歴史の本を読んだ人の考えたことで、安房あわや上総で、源頼朝の旅行のことを
日本の伝説 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
どんなにあわくても、今、一人の輝くやうな女性の面影を心の奥に印象づけることができたら、もつて瞑すべしと思つてゐる。
髪の毛と花びら (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
……暁まではと、几帳きちょうの蔭にすすり泣く黒髪のひとの恨みが細い灯影をいとどあわくし、義貞の膝を濡らしていた。
私本太平記:11 筑紫帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
だがしかし、これから先は、阿波という大きな謎のかぎを握るために、どこまで、お互に力をあわせてやろうではないか。
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
備中びっちゅうから引っ返した秀吉を待って、心をあわせ、力を合して、主君のとむら合戦がっせんを遂行した。
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「はッ」曹長は、一礼してそれを受けとると、機上から上半身を乗りだして、遥かの下界を向いて双眼鏡のピントをあわせた。
空襲葬送曲 (新字新仮名) / 海野十三(著)
その度に彼等は立止って、そのむっちりと張切った白い太股ふともものあたりをあわせてやらねばならなかった。
白蛇の死 (新字新仮名) / 海野十三(著)
我と底抜けの生活から意味もなく翻弄ほんろうされて、悲観煩悶なぞと言っている自分のあわれな姿も、かえりみられた。
贋物 (新字新仮名) / 葛西善蔵(著)
人間は、一度は光輝こうきな世界を有していたことがあったのをあわれむべくもみずから知らない不明なやからです。
『小さな草と太陽』序 (新字新仮名) / 小川未明(著)
れいの「川那子丹造の真相をあばく」が出たのは、それから間もなくだ。その時のお前の狼狽あわて方については、もう言った。
勧善懲悪 (新字新仮名) / 織田作之助(著)
彼はこの言葉で狼狽あわてながらも、懐中から先刻貰ったプログラムと真新らしいハンカチとを一束いっそくたにつかみ出した。
あめんちあ (新字新仮名) / 富ノ沢麟太郎(著)
これ以外に特に注意するのは、阿波あわの山村や伊予・土佐の各地に、これをイタンポまたはイタンボという例の多いことである。
周防国すおうのくに美濃みの近江おうみ加賀かが能登のと越前えちぜん肥後ひごの熊本、阿波あわの徳島。
春昼 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「軍師――」と、急に彼のまえに迫って、膝を曲げないばかりにあわれみを仰いだのは、当の関羽ではなくて、玄徳であった。
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「あわてないでよい。まだ若いおぬしを、不具者にしてはあわれ。怪我せぬように仕合うてやる。落着いてかかれ。落着いて」
剣の四君子:05 小野忠明 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
早々蚊帳に逃げ込むと、夜半に雨が降り出して、頭の上に漏つて來るので、あわてゝ床を移すなど、わびしい旅の第一夜であつた。
熊の足跡 (旧字旧仮名) / 徳冨蘆花(著)
高慢な心のつのを折り、騒がしい気のあわたゞしさをおさえて、心静こころしずかに〓の声低く語る教訓を聴かねばならぬ。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
そうしては時時かれの方を眺めながら、かれの視線に出会すとあわてて視線を外らし、いくらかあわてて声をへどもどさせるのである。
幻影の都市 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
「何だか渓まで温かそうに見えますね」と年若い友は云いながら手をさし延ばしたが、あわてて引っ込めて「氷の様だ」と云って笑った。
みなかみ紀行 (新字新仮名) / 若山牧水(著)
またゝくひまに街の兩側に避けたる人の黒山の如くなる間を、兩脇より血を流し、たてがみそよぎ、口よりあわ出でたる馬は馳せ來たり。
或は激湍げきたんあわを吹いて盛夏なほ寒しといふ白玉はくぎよくたにがは、或は白簾はくれんにじを掛けて全山皆動くがごとき飛瀑ひばくの響
重右衛門の最後 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
この管から彼は速に、二十乃至三十の泡沫あわを吹き出すのだが、それが空中を漂って行く有様は、管から紙片を吹き出すようである。
願はくは恩惠めぐみ速かに汝等の良心の泡沫あわを消し、記憶の流れこれを傳ひて清く下るにいたらむことを 八八―九〇
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
こんな事を言わして置くと、折角澄みかかった心も、又曇って来そうな気がする。家持はあわてて、資人の口をめた。
死者の書 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
さてその金の催促に来るごとに、役人を近村の料理屋へ連れ行き乱酔せしめ、日程尽き、役人あわて去ること毎度なり。
神社合祀に関する意見 (新字新仮名) / 南方熊楠(著)
「うん。一しょに往くよ。」坊ちゃんはあわてて格子戸から降りて、下駄を穿いて、よしやのあとを追うようにして、走って出掛ける。
おや落したかとすこしあわてて見直したらね、小さく畳んだ十円が入っているの。
みかどから「俊基、琵琶せよ」との御諚ごじょうに、他の人々も「それなん聞きもの。そのうえ小右京ノ君に、琴を合奏あわさせなば、なお、おもしろからんに」と、言いはやした。
私本太平記:02 婆娑羅帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「左様でございます。佐渡平さんが来ると、いつも夜遅くまで笛の音がして、時には、笛と三味線を合奏あわせて、むつまじくお酒でも飲んでいるかと思われることも度々ございました」
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
花「憫然かわいそうに、坊様だが泥坊に縛られて災難にあわしゃッたと見え素裸体だ」
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
貴方はわたしを非道ひどい目におあわせなさいました。
されば帝政論派は議院尚早論を紹述して当時に起こり、その父祖の系統において親戚たるにもかかわらず、痛く自由論派に反対し、あわせてこの点についての付和論派たる改進論派に反対したり。
近時政論考 (新字新仮名) / 陸羯南(著)
今の計を為さんには、和親して以て二虜を制し、間に乗じて国を富まし兵を強くし、蝦夷えぞひらき満洲を奪い、朝鮮を来たし南地をあわせ、然るのち米をひしぎ欧をくじかば、則ち事たざるは無し。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
老人はなるほど床に就いていたが、意外なのは暫時しばらあわぬ中に全然すっかり元気が衰えたことである、元気が衰えたと云うよりか殆ど我が折れて了って貴所の所謂いわゆる富岡氏
富岡先生 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
かくすにゃあたらないから、有様ありようにいってな、こと次第しだいったら、堺屋さかいやは、このままおまえにはあわせずに、かえってもらうことにする」
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
と例の大風呂敷を小腋こわきに抱え、あわてて戸外そとへ飛出したり。
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
妻君その様子のあわてたるを笑い「ハイ来ておいでです、モシお登和さん」と振返りて呼びけるにお登和も詮方せんかたなく座敷へ入りしが心にはばかる事ありけん、余所余所よそよそしく大原に黙礼せしのみ。
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
その夕べ、師輔に会い、書の手本を、渡した。そして、いつものごとく、和琴を合調あわせ、灯を見てから、帰ろうとすると、ここに仕えている弟の繁盛が、
平の将門 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
じっとまなこをとじて、聞き惚れているうちに、沢庵は、昔三位博雅卿さんみひろまさきょうが、朱雀門すじゃくもんの月の夜に、笛をふいて歩いていたところ、楼門の上で同じように笛を合調あわす者があったので
宮本武蔵:02 地の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
玉乗娘たまのりむすめの二三が、ふざけた声で、それにあわした。
踊る一寸法師 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
ええと、何だって?――木地を塗りて玳瑁たいまいあるいは大理石マルメルの観をなさしむる法、とくらあ。まず材をよく磨きてのち、鉛丹たん膠水にかわ、または尋常よのつね荏油えのゆ仮漆かしつあわせたる、黄赤にしてたいまい色をなすところの元料もとを塗る。
元禄十三年 (新字新仮名) / 林不忘(著)
声色こわいろ知ったるおなみ早くもそれと悟って、恩あるその人のむこうに今は立ち居る十兵衛に連れ添える身のおもてあわすこと辛く、女気の繊弱かよわくも胸をどきつかせながら
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
「我等今(現世に於て)鏡をもて見る如く昏然おぼろなり、然れど彼の時(キリストの国のあらわれん時)にはかおあわせて相見ん、我れ今知ること全からず、然れど彼の時には我れ知らるる如く我れ知らん」とパウロは曰うた(哥林多コリント前書十三の十二)
かつて大阪府の薄給官吏が血書してこの意を述べ、空しく予の志をあわれむと匿名書を贈られたが最上の出来じゃ。
荘内に在るに及んで左右その人をそしるを見、詩を賦して以て自ら悲しむ、三十一年一夢のごとく、醒め来る荘内破簾の中の句あり、聞く者これをあわれむ
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