合奏あわ)” の例文
琵琶と琴の合奏あわせはむずかしい。——が、御諚なればと、二人は懸命に、そのとき“熊野ゆや”のふしかなでて歌った。
私本太平記:02 婆娑羅帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
が今、武蔵の耳をいたく刺戟したのは、その風の間に流れて来た——しょう篳篥ひちりきと笛とを合奏あわせた古楽の調べであった。
宮本武蔵:04 火の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
二人は、笛と胡弓を合奏あわせて、ひとしきり他愛もなく陶酔とうすいしていた。婆惜が愉しそうであれば宋江の心も愉しむ。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
みかどから「俊基、琵琶せよ」との御諚ごじょうに、他の人々も「それなん聞きもの。そのうえ小右京ノ君に、琴を合奏あわさせなば、なお、おもしろからんに」と、言いはやした。
私本太平記:02 婆娑羅帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「左様でございます。佐渡平さんが来ると、いつも夜遅くまで笛の音がして、時には、笛と三味線を合奏あわせて、むつまじくお酒でも飲んでいるかと思われることも度々ございました」
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しかも父娘はこうして夜な夜な渭州いしゅうの紅燈街に、はかない四ツ竹と胡弓こきゅう合奏あわせて、露命もほそぼそしのいでいるありさまなのに、ねぐらに帰れば、かせぎの七分は、まず鬼の手に搾取さくしゅされてしまう始末。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
抱いて合奏あわせてみようよ。さ。……顔を直せ。気を取り直せ
私本太平記:02 婆娑羅帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)