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泡
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あわ
ふりがな文庫
“
泡
(
あわ
)” の例文
また世の笑いぐさだ。かつは
野州
(
やしゅう
)
足利ノ庄から志を立ててここまで来ながら、きょうまでの苦心功業もすべて水の
泡
(
あわ
)
でしかあるまいが
私本太平記:13 黒白帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
うれしかった事も、悲しかった事も、悲しんだ事も、苦しんだ事も、
畢竟
(
ひっきょう
)
は水の上に浮いた
泡
(
あわ
)
がまたはじけて水に帰るようなものだ。
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
憂鬱
(
メランコリック
)
な、利口そうな顔だちで、左手を長椅子の肘に掛け、右手は、
泡
(
あわ
)
のように盛りあがった広い
裳裾
(
もすそ
)
のほうへすんなりと垂らしている。
キャラコさん:09 雁来紅の家
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
きつとその辺の
隅
(
すみ
)
つこにうち倒れて、口から
泡
(
あわ
)
を吹いてゐるのだらう。ひよつとすると、もう死んじまつてゐるかも知れない……。
良寛物語 手毬と鉢の子
(新字旧仮名)
/
新美南吉
(著)
市
(
まち
)
の人々は、涙ながらに少年たちの
追善
(
ついぜん
)
をやっているとき、富士男はサクラ号のふなばたに立って、きっと
泡
(
あわ
)
だつ
怒濤
(
どとう
)
をみつめていた。
少年連盟
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
▼ もっと見る
並んだ、
剣橋
(
ケンブリッジ
)
クルウのオォルの
泡
(
あわ
)
が、スタアト・ダッシュ、
力漕
(
りきそう
)
三十本の終らないうちに、段々、小さくなり、はては消えてゆく。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
マリユスは役人のようなその微笑のうちに、一瞬間前まで
泡
(
あわ
)
を吹いてどなっていたほとんど獣のような口を認めかねるほどだった。
レ・ミゼラブル:06 第三部 マリユス
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
七兵衛は少しばかり
泡
(
あわ
)
を食って、再び眼を拭って見たけれど、それっきり人影が庭から姿をかき消すようになってしまったから
大菩薩峠:16 道庵と鯔八の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
古新聞を焚いて茶をわかしていると、
暗澹
(
あんたん
)
とした気持ちになってきて、一切合切が、うたかたの
泡
(
あわ
)
より
儚
(
はか
)
なく、めんどくさく思えて来る。
新版 放浪記
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
川をはさんだ山は紅葉と黄葉とにすきまなくおおわれて、その間をほとんど純粋に近い
藍色
(
あいいろ
)
の水が白い
泡
(
あわ
)
を
噴
(
ふ
)
いて流れてゆく。
日光小品
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
六平はクウ、クウ、クウと鳴って、白い
泡
(
あわ
)
をはいて気絶しました。それからもうひどい熱病になって、二か月の間というもの
とっこべとら子
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
その
泡
(
あわ
)
はすぐきえてしまいます。と、また、あとは死んだも同様の動かない姿がいつまでもそこにながく止っているのでした。
寂しき魚
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
「これは
樽麦酒
(
たるビール
)
だね。おい君樽麦酒の祝杯を一つ
挙
(
あ
)
げようじゃないか」と青年は
琥珀色
(
こはくいろ
)
の底から
湧
(
わ
)
き上がる
泡
(
あわ
)
をぐいと飲む。
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
扉の向うは恐ろしく広いホールで、天井一面に五色の
泡
(
あわ
)
みたようなものがユラユラと霞んでいるのは、会員の手から逃出した風船玉であった。
少女地獄
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
野獣は口から
泡
(
あわ
)
を吹いて怒り狂っていた。
物凄
(
ものすご
)
い
唸
(
うな
)
り声さえも聞こえてきた。彼は
餌食
(
えじき
)
をズタズタにしないではおかぬのだ。
人間豹
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
吾等
(
われら
)
が
幾年月
(
いくねんげつ
)
の
苦心慘憺
(
くしんさんたん
)
も
水
(
みづ
)
の
泡
(
あわ
)
、
否
(
いや
)
、
我
(
わ
)
が
親愛
(
しんあい
)
なる
日本帝國
(
につぽんていこく
)
の
爲
(
ため
)
に、
計畫
(
けいくわく
)
した
事
(
こと
)
が、
却
(
かへつ
)
て
敵
(
てき
)
に
利刀
(
りたう
)
を
與
(
あた
)
へる
事
(
こと
)
になります。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
「そうだ、その船につんでいる貨物が、明日中にこっちへ到着しないと、せっかく二年間を準備に費した大計画が、水の
泡
(
あわ
)
になってしまうのだ」
地底戦車の怪人
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「お父上のここまで仕上げた御苦労が、このままでは水の
泡
(
あわ
)
になってしまうぞ」と十兵衛はひらき直った、「あんなことがそれほど重大なのか」
あだこ
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「なぜかと申しますと、わたくしはもう間もなく、
泡
(
あわ
)
となつて消えてしまはなければならない身の上でございますから。」
シャボン玉
(新字旧仮名)
/
豊島与志雄
(著)
妙にぐしゃぐしゃという音をたてて口の中を
泡
(
あわ
)
だらけにして、そうしてあの
板塀
(
いたべい
)
や下見などに塗る渋のような臭気を
部屋
(
へや
)
じゅうに発散しながら
自由画稿
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
いまはかえって、このような
巷間
(
こうかん
)
無名の民衆たちが、正論を吐いている時代である。指導者たちは、ただ
泡
(
あわ
)
を食って右往左往しているばかりだ。
パンドラの匣
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
そこまで運ぶのに全力を尽した彼の計画が一時に水の
泡
(
あわ
)
となってしまった。その電報を受け取った時、彼はフジヤ・ホテルで卒倒してしまった。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
どういうわけか、二匹とも、大きな
鋏
(
はさみ
)
を片方だけもぎとられたあわれな姿で、残った片方の鋏を上に向け、よらばはさむ構えで
泡
(
あわ
)
をふいている。
二十四の瞳
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
湯水に浸された
荒藁
(
あらわら
)
の束で洗われるたびに、馬の背中からにじみ出る汗は半蔵の見ている前で白い
泡
(
あわ
)
のように流れ落ちた。
夜明け前:03 第二部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
此
(
この
)
至情
(
しゞやう
)
をあざける
人
(
ひと
)
は、百
萬年
(
まんねん
)
も千
萬年
(
まんねん
)
も
生
(
い
)
きるが
可
(
よ
)
い、
御氣
(
おき
)
の
毒
(
どく
)
ながら
地球
(
ちきう
)
の
皮
(
かは
)
は
忽
(
たちま
)
ち
諸君
(
しよくん
)
を
吸
(
す
)
ひ
込
(
こ
)
むべく
待
(
ま
)
つて
居
(
ゐ
)
る、
泡
(
あわ
)
のかたまり
先生
(
せんせい
)
諸君
(
しよくん
)
湯ヶ原より
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
すると
宿主
(
やどぬし
)
の
珊瑚虫
(
さんごちゅう
)
はブツブツ言いながら身をちぢめますが、蟹は
大悦
(
おおよろこ
)
びで外へ出ます。青い青い広い海は、ところどころ白い
泡
(
あわ
)
を立てております。
椰子蟹
(新字新仮名)
/
宮原晃一郎
(著)
遠方から見ると小さな
泡
(
あわ
)
が
渠
(
かれ
)
の口から出ているにすぎないようなときでも、実は彼が
微
(
かす
)
かな声で
呟
(
つぶや
)
いているのである。
悟浄出世
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
あいつは名もない馬の骨だ、ゼロだ! シャボンの
泡
(
あわ
)
だ! おれはまんまと
騙
(
だま
)
されたんだ……今こそわかった——きれいさっぱり騙されたんだ。……
ワーニャ伯父さん:――田園生活の情景 四幕――
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
かれ、水底に沈み居たまふ時の名を
底
(
そこ
)
ドク
御魂
(
みたま
)
といひつ。その海水のツブ立つ時の名をツブ立つ御魂といひつ、その
泡
(
あわ
)
さく時の名を泡サク御魂といひき
十二支考:07 猴に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
水の
泡
(
あわ
)
と成ましたと語るに一座の者共夫は
何
(
どう
)
か
詮議
(
せんぎ
)
の
爲樣
(
しやう
)
は無事哉と云ば九助はイヱ夫に就て御話が御座ります
天道
(
てんだう
)
と云者は
爭
(
あらそ
)
はれぬもので
正直
(
しやうぢき
)
の
頭
(
かうべ
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
暑い日がやや沈みかけて、涼風立つ頃、今まで只一色大海の様に白い
泡
(
あわ
)
をたぎらせて居た空はにわかに一変する。
農村
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
浪打際
(
なみうちぎは
)
は
綿
(
わた
)
をば
束
(
つか
)
ねたやうな
白
(
しろ
)
い
波
(
なみ
)
、
波頭
(
なみがしら
)
に
泡
(
あわ
)
を
立
(
た
)
てて、どうと
寄
(
よ
)
せては、ざつと、おうやうに、
重々
(
おも/\
)
しう、
飜
(
ひるがへ
)
ると、ひた/\と
押寄
(
おしよ
)
せるが
如
(
ごと
)
くに
來
(
く
)
る。
星あかり
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
「やっぱりがまんしてつづけよう。ここで
投
(
な
)
げだしては、いままでの
苦心
(
くしん
)
も水の
泡
(
あわ
)
だ。それにしても、こんど、あいつに会ったら、ただではすまさんぞ」
透明人間
(新字新仮名)
/
ハーバート・ジョージ・ウェルズ
(著)
何と思ったか庄造は、いきなり勝手口へ行って、流し元にしゃがんでいる母親の、シャボンの
泡
(
あわ
)
だらけな
手頸
(
てくび
)
を掴むと、無理に奥の間へ引き立てて来た。
猫と庄造と二人のおんな
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「さうだがね、
此處
(
ここ
)
まで
噺
(
はなし
)
がついて
居
(
ゐ
)
るんだから
此方
(
こつち
)
でそれだけのことは
仕
(
し
)
て
呉
(
く
)
れなくつちや
此
(
こ
)
れまでのことが
水
(
みづ
)
の
泡
(
あわ
)
なんだからね」と
道理
(
だうり
)
を
聞
(
き
)
かせても
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
「なんて、意気地がない。男ざかりが、
泡
(
あわ
)
アふっくらって
可笑
(
おか
)
しくなるよ。おや、なんてえ
滑
(
すべ
)
っこい肌だろう」
人外魔境:03 天母峰
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
泡
(
あわ
)
のように生じてはすぐ消えて行くこのはかない人間というもののいかにもつけそうな明りではありませんか。人間はほんとうにかわいそうなものですね。
青銅の基督:――一名南蛮鋳物師の死――
(新字新仮名)
/
長与善郎
(著)
恋しい紫の
女王
(
にょおう
)
がいるはずでいてその人の影すらもない。ただ目の前にあるのは
淡路
(
あわじ
)
の島であった。「
泡
(
あわ
)
とはるかに見し月の」などと源氏は口ずさんでいた。
源氏物語:13 明石
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
大工
(
だいく
)
が
驚
(
おどろ
)
いて、
見
(
み
)
まわすとたん、
水
(
みず
)
の上にぶく、ぶく、ぶくと大きな
泡
(
あわ
)
が
立
(
た
)
ったと
思
(
おも
)
うと、おそろしく大きな、
鬼
(
おに
)
のような
顔
(
かお
)
がそこにぽっかりあらわれました。
鬼六
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
ざわざわ鳴り続け出した蘆洲の、ところどころ幾筋も風筋に当る部分は吹き
倒
(
たお
)
れて
泡
(
あわ
)
をたくさん
浮
(
う
)
かした上げ潮が
凪
(
な
)
ぎあとの蘆洲の根方にだぶつくのが
覗
(
のぞ
)
ける。
渾沌未分
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
牛乳の代わりに
注
(
つ
)
いでくれる、
泡
(
あわ
)
だった
白葡萄酒
(
アスチ
)
を飲みながら、彼は酔って頭がふらふらするのだった。
ジャン・クリストフ:08 第六巻 アントアネット
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
前回参看※文三は既にお勢に
窘
(
たしな
)
められて、憤然として部屋へ
駈戻
(
かけもど
)
ッた。さてそれからは独り
演劇
(
しばい
)
、
泡
(
あわ
)
を
噛
(
かん
)
だり、
拳
(
こぶし
)
を握ッたり。どう考えて見ても心外でたまらぬ。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
越後の
蓮華寺
(
れんげじ
)
村の
姨
(
おば
)
が井という古井戸などもその一つで、そこでも人が井戸の
傍
(
そば
)
に近よって、大きな声でおばと呼ぶと、
忽
(
たちま
)
ち井戸の底からしきりに
泡
(
あわ
)
が浮んで来て
日本の伝説
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
そのため御者はめちゃめちゃに馬に
鞭
(
むち
)
をあてたり、
手綱
(
たづな
)
をぐっと引きしぼったりしました。それで、馬はふうふう
泡
(
あわ
)
をふきだしていました。馬は若くて元気でした。
絵のない絵本:01 絵のない絵本
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
おどろきと
喜悦
(
よろこび
)
、つぎにこわい表情が文次の顔に
三
(
み
)
つ
巴
(
どもえ
)
を巻いた。手早く金を袂へ返して、何思ったか走り出そうとしたが、よっぽど
泡
(
あわ
)
を食っていたものと見える。
つづれ烏羽玉
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
しばらくぶくぶく
泡
(
あわ
)
が立っているのを彦太郎はじっと見つめながら、卯平がなかなか上って来ないので少し不安になりはじめたが、すると、今まで騒いでいた水面が
糞尿譚
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
いわんや、その筆算の加減乗除も少しく怪しき者においてをや。学校の勉強はまったく水の
泡
(
あわ
)
なり。
小学教育の事
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
他のものはどうでもいいのだが、照彦様にゆかれてしまっては、せっかくの苦心が水の
泡
(
あわ
)
になる。
苦心の学友
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
単に
溺死
(
できし
)
した場合にあるような
泡
(
あわ
)
は出ていなかった。細胞組織の変色はなかった。
咽喉
(
のど
)
のあたりには
傷痕
(
きずあと
)
と指の痕とがあった。両腕は胸の上に曲げられ、硬くなっていた。
マリー・ロジェエの怪事件
(新字新仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
よしんば仮りにこれが事実であったとしても上野介はこれと鰹節とをくらべてみて、よろしい浅野の青二才にひと
泡
(
あわ
)
吹かせてやろうと思い立つほど思慮の浅い男ではない。
本所松坂町
(新字新仮名)
/
尾崎士郎
(著)
泡
常用漢字
中学
部首:⽔
8画
“泡”を含む語句
泡沫
水泡
泡立
白泡
泡盛
岩野泡鳴
泡雪
気泡
発泡膏
海泡石
泡斎
泡食
泡鳴
泡沫夢幻
一泡
血泡
潮泡
琉球泡盛
発泡
泡雪梨
...