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押寄
丁ど
颶風でも來るやうな具合に、種々な考が種々の
象になつて、ごた/\と一時にどツと
押寄せて來る………周三は
面喰つて
嚇となつてしまふ。
浪打際は
綿をば
束ねたやうな
白い
波、
波頭に
泡を
立てて、どうと
寄せては、ざつと、おうやうに、
重々しう、
飜ると、ひた/\と
押寄せるが
如くに
來る。
かういふ
津浪は
沖合に
於ては
概して
數尺の
高さしか
持たないから、もしそれが
其まゝの
高さを
以て
海岸に
押寄せたならば、
大抵無難なるべきはずである。