“憫”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
あわ41.0%
あわれ35.9%
あはれ10.3%
あは8.5%
びん1.7%
いじ0.9%
いぢ0.9%
いとお0.9%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
そうだ! 田舎へ帰ると、ああした事件やああしたあわれな人々もたくさんいるだろう。そうした処にも自分の歩むべき新しい道がある。
贋物 (新字新仮名) / 葛西善蔵(著)
世界の何人なんぴとにも認められている事実を、自分の意地から反駁している相手のばかばかしさを、にくむよりもむしろあわれむ方が多くなった。
ゼラール中尉 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
貫一は知らざる如く、彼方あなたを向きて答へず。仔細しさいこそあれとは覚ゆれど、例のこの人の無愛想よ、と満枝はよそに見つつもあはれ可笑をかしかりき。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
手柄を友次郎に奪はれて、さすがの平次も少し何うかしたのかとでも思ふ樣子で、凝と見詰める眼には、何となくあはれむやうな色があります。
「しかし、しかしだね、(雪見と志した処が、まだしも)……何とかいったっけ、そうだ(……まだしも、ふびんだ。)」
薄紅梅 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
情ない心持がした。が、或る尊さも感じていた。体の隅から隅まで、いじらしさで一杯になっているように見える彼女の、たださえよくはなかった健康状態が、このごろはかなり悪い。
日は輝けり (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
さもしく或は軽浮であらうとも俺にはまた却てその無邪気と痴態とがしほらしくも亦いぢらしく思はれたのだつた……そればかりか俺も亦釣られて栗鼠のやうに飛びあるいた……而しておしまひには二人とも監獄に堕ちて了つた……兎に角……と又右の眼がぢつ霊魂たましひに喰ひ入るやうに覗き込む……汝達おまへたちはあまりに夢想家だつた
桐の花 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
彼は肥って色が白かった、それが黒眼鏡を掛けだしてから、いっそう静な清浄な感じのする子供になった。彼をいとおしむ言葉が、弟らの前で、しばしば周囲の人々の口に上った。
青草 (新字新仮名) / 十一谷義三郎(著)