“あはれ”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:アハレ
語句割合
30.2%
25.0%
12.1%
10.3%
可哀7.8%
可憐4.3%
憫然2.6%
可憫1.7%
悲哀1.7%
可傷0.9%
憐然0.9%
可愍0.9%
0.9%
薄命0.9%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
つけるに外見みえを捨てその蝙蝠傘かうもりがさを借り遂に兩杖となりたるぞあはれなる道は捗取はかどらねど時が經てば腹は减りてまた苦を重ぬるを道人勇みを
木曽道中記 (旧字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
周三はまた、「何點どこか俺の生母せいぼに似たとこがある。」と思ツた。で何となく懐慕なつかしいやうにも思はれ、また其のさびしい末路まつろあはれになツて
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
同じ國の村よりも、他國の村に近く住んでゐる彼等は、互に一種の誇りを持ちながら、互にあはれみ合ひ、助け合つて生活をしてゐる。
霧の旅 (旧字旧仮名) / 吉江喬松(著)
あはれむやうな千種の眼が、ちらりとこつちを見た。と、同時に彼女は、袂で顔をおほつた。肩が大きく揺れてゐるだけである。
双面神 (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
かくして得送らぬ文は写せしも灰となり、反古ほごとなりて、彼の帯揚にめられては、いつまで草の可哀あはれや用らるる果も知らず、宮が手習はひさしうなりぬ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
光景ありさまを眺めて居た丑松は、可憐あはれな小作人の境涯きやうがいを思ひやつて——仮令たとひ音作が正直な百姓気質かたぎから、いつまでも昔の恩義を忘れないで
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
たかへる小鳥の如く身動みうごき得為えせで押付けられたる貫一を、風早はさすがに憫然あはれと見遣りて
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
奉公大事ゆゑにうらみを結びて、憂き目にひし貫一は、夫のわざはひを転じて身のあだとせし可憫あはれさを、日頃の手柄に増して浸々しみじみ難有ありがたく、かれをおもひ、これを思ひて、したたかに心弱くのみ成行くほどに
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
じつ物淋ものさびしい景色けしき※ わたくし何故なにゆゑともなく悲哀あはれかんじてた。
ゆびさし乍ら熟柿じゆくしくさ呼吸いきを吹いた。敬之進は何処かで飲んで来たものと見える。指された少年の群は一度にどつと声を揚げて、自分達の可傷あはれな先生を笑つた。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
大丼が出たり、小皿が出たりするところを見ると、何が無くとも有合ありあはせのもので一杯出して、地主に飲んで貰ふといふ積りらしい。思へば小作人の心根こゝろね可傷あはれなものである。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
取りあげ如何にも痩衰やせおとろへたる其體そのてい千辛萬苦の容子ようす自然と面に顯はれたり正直しやうぢきかうべやどり給ふ天神地祇云ずかたら神明しんめい加護かごにや大岡殿夫婦のていいと憐然あはれに思されコリヤ九助其の方は如何なる意趣いしゆ有て親類縁者えんじやたる惣内夫婦を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
無理無體むりむたいに引立て柴屋寺しばやでら畑屋はたやから茲迄連て來ましたゆゑ勾引かどはかしと存じ小杉の伯父樣と申ましたので御座いますと云ひけるにぞ九助は扨々さて/\子供に似合にあは利發者りはつもの家は何處どこぞと尋ぬるに阿部川宿あべがはじゆくてうといふ者の娘せつと申者なりと申せば九助は憐然あはれに思ひサア/\宅迄うちまで送つてらんと手を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
雨戸の横柄子よこざる緊乎しつかと挿せ、辛張棒を強く張れと家〻ごとに狼狽うろたゆるを、可愍あはれとも見ぬ飛天夜叉王、怒号の声音たけ/″\しく、汝等人を憚るな、汝等人間ひとに憚られよ、人間は我等を軽んじたり
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
〔譯〕智仁勇は、人皆大徳たいとくくはだて難しと謂ふ。然れども凡そ邑宰いふさいたる者は、固と親民しんみんしよくたり。其の奸慝かんとくを察し、孤寡こくわあはれみ、強梗きやうかうくじくは、即ち是れ三徳の實事なり。
うす暗ひランプの光…………彼女のすゝり泣く声………………何と云ふ薄命あはれな女であるかとわれをもはず溜息ためいきをついた、やがて汽車はとまつた
夜汽車 (新字旧仮名) / 尾崎放哉(著)