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愍
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あはれ
ふりがな文庫
“
愍
(
あはれ
)” の例文
重役の顔にちらと
愍
(
あはれ
)
みの色が見えたが、すぐまた相手が
蹴爪
(
けづめ
)
でももつてゐはしないか、と気づかふやうな不安さうな顔つきに変つた。
茶話:07 大正十四(一九二五)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
同じ國の村よりも、他國の村に近く住んでゐる彼等は、互に一種の誇りを持ちながら、互に
愍
(
あはれ
)
み合ひ、助け合つて生活をしてゐる。
霧の旅
(旧字旧仮名)
/
吉江喬松
(著)
ゆき子を
愍
(
あはれ
)
むよりも、まづ、自分を、富岡はもてあましてゐるのだ。それにしても、夕方までも雨はやまなかつた。
浮雲
(新字旧仮名)
/
林芙美子
(著)
愍
(
あはれ
)
み給ふ故ならん
爰
(
こゝ
)
は一番二人が力を
盡
(
つく
)
して
働
(
はた
)
らかにやならぬ
其方
(
そなた
)
何
(
なん
)
と思ふと問けるに助十も
素
(
もと
)
より
正直者
(
しやうぢきもの
)
にて勘太とは
大
(
だい
)
の不和なれば
云
(
いふ
)
にや及ぶ力を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
是れまことに天、朕が
不叡
(
をさなく
)
、且つ国の
不平
(
みだれ
)
たるを
愍
(
あはれ
)
みたまひて、
天業
(
あまつひつぎ
)
を
経綸
(
をさ
)
め
宗廟
(
くにいへ
)
を絶たざらしめたまふか
二千六百年史抄
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
▼ もっと見る
聖母は我が慾海の波に沈み果てんを
愍
(
あはれ
)
みて、ことさらに我を喚び
醒
(
さま
)
し給ひしなり。否〻と叫びて、我は起ち上りぬ。我渾身の血は涌き返る熔巖にも比べつべし。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
世の誚と云ふのは、多くは
嫉
(
そねみ
)
、その証拠は、働の無い奴が貧乏しとれば
愍
(
あはれ
)
まるるじや。何家業に限らず、
財
(
かね
)
を
拵
(
こしら
)
へる奴は必ず世間から何とか攻撃を受くる、さうぢやらう。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
忠孝仁愛の心より
鰥寡
(
かんくわ
)
孤獨を
愍
(
あはれ
)
み、人の罪に陷るを
恤
(
うれ
)
ひ給ひしは深けれ共、實地手の屆きたる今の西洋の如く有しにや、書籍の上には見え渡らず、實に文明ぢやと感ずる也。
遺訓
(旧字旧仮名)
/
西郷隆盛
(著)
略
(
ほゞ
)
これと前後して故郷の妻は子供を残して里方に復籍してしまつた。それまでは
同棲
(
どうせい
)
の女の頼りない将来の運命を
愍
(
あはれ
)
み気兼ねしてゐた私は、今度はあべこべに女が憎くなつた。
途上
(新字旧仮名)
/
嘉村礒多
(著)
妙に母を
愍
(
あはれ
)
む様な気持になつて、若し
那麽
(
あんな
)
事を叔父の顔を見る度に言つて、万一叔父が怒る様な事があつたら、母は
奈何
(
どう
)
する積りだらうと、何だか母の思慮の足らないのが歯痒くて
刑余の叔父
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
余に
計画
(
けいくわく
)
なる者あることなし、何と
愍
(
あはれ
)
むべき(羨むべき)
生涯
(
しやうがい
)
ならずや。
問答二三
(新字旧仮名)
/
内村鑑三
(著)
マア此様な意味合もあつて、骨董は誠に貴ぶべし、骨董好きになるのは寧ろ誇るべし、骨董を捻くる
度
(
ど
)
にも至らぬ人間は犬猫牛豚同様、誠にハヤ未発達の
愍
(
あはれ
)
むべきものであると云つても可いのである。
骨董
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
錢形平次は八五郎の
鈍骨
(
どんこつ
)
を
愍
(
あはれ
)
むともなく、かう言ふのでした。
銭形平次捕物控:083 鉄砲汁
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
歌ふ僧の「ミゼレエレ」(「ミゼレエレ、メイ、ドミネ」、主よ、我を
愍
(
あはれ
)
み給へ、と唱へ出す
加特力
(
カトリコオ
)
教の歌をいふ)唱へはじむるとき、人々は膝を
屈
(
かゞ
)
めて拜したり。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
元より
御憎悪強
(
おんにくしみつよ
)
き
私
(
わたくし
)
には
候
(
さふら
)
へども、
何卒
(
なにとぞ
)
是
(
これ
)
は前非を悔いて自害いたし候
一箇
(
ひとり
)
の
愍
(
あはれ
)
なる女の、
御前様
(
おんまへさま
)
を
見懸
(
みか
)
けての
遺言
(
ゆいごん
)
とも
思召
(
おぼしめ
)
し、せめて
一通
(
ひととほ
)
り
御判読
(
ごはんどく
)
被下候
(
くだされさふら
)
はば、未来までの
御情
(
おんなさけ
)
と
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
おのれより富める友に
愍
(
あはれ
)
まれて
心の姿の研究
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
僕は
寧
(
むし
)
ろ富山を
不憫
(
ふびん
)
に思ふです、貴方のやうな不貞不義の妻を有つた富山その人の不幸を
愍
(
あはれ
)
まんけりやならん、いや、愍む、貴方よりは富山に僕は同情を表する、
愈
(
いよい
)
よ憎むべきは貴方じや
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
愍
漢検1級
部首:⼼
13画
“愍”を含む語句
愍然
憐愍
御憐愍
不愍
可愍
慈愍
愍笑
御不愍
悲愍
愍情
皇愍
生類御憐愍
擁護愛愍
憐愍令
愍然想
愍殺
愍憐
愍念
御憐愍令
御憐愍々々
...