霧の旅きりのたび
北國街道の上には夏草がのびてゐた。 柏原から野尻湖まで一里ばかりの間、朝霧が深くかゝつてゐて、路上の草には露が重かつた。汽車をおりて初めて大地を踏んで行く草鞋の心持、久振で旅を味ふ心には、總てが鮮かに感じられた。 柏原には一茶の俳諧寺の在る …