“纔”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
わずか32.3%
わず31.1%
わづか19.3%
わづ13.0%
ワヅ1.9%
ワズカニ1.2%
ともづな0.6%
もや0.6%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
纔(わずか)に一草一木を画きしかも出来得るだけ筆画を省略す。略画中の略画なり。而してこのうちいくばくの趣味あり、いくばくの趣向あり。
病牀六尺 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
そう真正面(まとも)にいわれた川島は、又あわてて笑いを浮べたのだが、それは片頬が纔(わず)かに顫えただけの、我れながら卑屈なものであった。
植物人間 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
纔(わづか)に六畳と二畳とに過ぎない部屋は三面の鏡、二脚の椅子、芝居の衣裳、鬘(かつら)、小道具、其(それ)から青枯(が)れた沢山(たくさん)の花環(はなわ)とで埋(うづ)まつて居る。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛、与謝野晶子(著)
路は絶えずすさまじく鳴り轟く水量の多い谷に添つて、纔(わづ)かに崖を削り取つてこしらへたといふやうなところを掠めて通つて行つた。
山間の旅舎 (新字旧仮名) / 田山花袋、田山録弥(著)
纔(ワヅ)かに百年、其短いと言へる時間も、文字に縁遠い生活には、さながら太古を考へると、同じ昔となつてしまつた。
死者の書 (旧字旧仮名) / 折口信夫、釈迢空(著)
御句に「都府楼ハ纔(ワズカニ)看(ミ)二瓦ノ色ヲ一 観音寺ハ只(タヾ)聴ク二鐘ノ声ヲ一」
纔(ともづな)を解きてカプリに向ふ程に、天を覆ひたりし紗は次第に斷(ちぎ)れて輕雲となり、大氣は見渡す限澄み透りて、水面には一波の起るをだに認めず。美しきアマルフイイは巖のあなたに隱れぬ。
海には無数の船舶が、態々(さまざま)の姿で纔(もや)っている。穏かな波は戯れるようにその船腹をピチャピチャ嘗(な)め、浮標(ブイ)や短艇(ボート)や荷足舟(にたり)などをさも軽々と浮かべている。
死の航海 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)