“わず”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
81.9%
10.8%
3.4%
1.7%
1.1%
0.4%
0.4%
0.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
『鶯邨画譜』の方に枝垂しだざくらの画があつてその木の枝をわずかに二、三本画いたばかりで枝全体にはことごとく小さな薄赤いつぼみが附いて居る。
病牀六尺 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
蝋燭やカンテラでわずかに照らしていた時代の歌舞伎劇は、その時分の女形は、或はもう少し実際に近かったのではないであろうか。
陰翳礼讃 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
眼をわずらって入院している人に何か適当な見舞の品はないかと考えてみた。両眼に繃帯をしているのだから、視覚に訴えるものは慰みにはならない。
断片(Ⅰ) (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
二人とも日常ひごろ非常に壮健じょうぶなので——わずらっても須磨子が頑健がんけんだと、驚いているといっていたという、看病人の抱月氏の方がはかばかしくないようだった。
松井須磨子 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
さて洛中らくちゅう洛外らくがいの非人乞食で大病難病をわずらふ者を集め、風呂に入れて五体をきよめ、暖衣を与へて養生をさするに、癩瘡らいそうなんどの業病ごうびょうたちまちに全快せぬはない。
ハビアン説法 (新字旧仮名) / 神西清(著)
三、四十間行くと果して道は失せている。雑木や根曲り笹の茂った小高い所を越して、背のひくい笹原をふみにじりながら狭い山稜を東に行くと、わずかな窪地に水の溜っている草原に出た。所謂いわゆる餓鬼の田だ。
黒部川奥の山旅 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
私とて是迄彼等の遣口やりくちには疑い乍らも十度に一度は⦅真物⦆に出喰わさない事も無かろうとわずかな希望を抱き、従って随分屡々其の方面の経験は有りましたが
陳情書 (新字新仮名) / 西尾正(著)
其処そこにはなつかしき母上の飛び出で給いて、やれ無事に帰りしか、大病をわずらいしというに、かくすこやかなる顔を見ることの嬉しさよと涙片手に取りすがられ
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)