“うれ”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:ウレ
語句割合
54.8%
12.6%
12.5%
5.8%
5.8%
2.7%
1.4%
0.8%
0.4%
0.4%
(他:23)2.8%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
それを俳句の好きなある男がうれしがって、わざわざ私に頼んで、短冊に書かせて持って行ったのも、もう昔になってしまった。
硝子戸の中 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
帽も着物も黄色なを浴びて、宿の玄関へ下りた時は、ようやく残酷な支那人と縁を切ったような心持がしてうれしかった。
満韓ところどころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「なんで、あなたは、そんなにうれわしいかおつきをしているのじゃ。」と、老人ろうじんは、むすめにききました。
笑わない娘 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ゆっくりと、うらさびしく歌い出しました。これならどこからも干渉のきたうれいはあるまい、と安んじたのでしょう。
大菩薩峠:28 Oceanの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
二人はうれいを打ち消そうとして杯を重ねた。三月も半ばを過ぎて、浪華の花を散らす春雨は夜の更けるまでしめやかに聞えた。
心中浪華の春雨 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
叔父と豊世とはこんな言葉をかわしながら、薄く緑色に濁った水の流れて行くのを望んだ。豊世はうれわしげに立っていた。
家:02 (下) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
あなたが弓矢を善くするのを存じて居りますので、どうぞ毒矢をもってかれを射殺して、われわれのうれいを除いて下されば
玄碩の遺したむすめ鉄は重い痘瘡とうそううれえて、瘢痕はんこん満面、人の見るをいとう醜貌であった。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
「そろうたな、よう見えたな。日ごろはみな少将(当主綱条つなえだのこと)へ忠勤のこと、陰ながらうれしくぞんじておる」
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
彼は、それがうれしいのだ。炭薪の消費も、一年間のたか、半分以下に減って来たが——そんな数字よりは欣しいのである。
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「ほう、——そいつはうれしいね、君と僕とは、して見ると趣味の上で、一脈の相通ずるものがあるのかも知れないね。ははは!」
露路の友 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
あたり前ならば大学生になれたうれしさに角帽をかぶって歩いてもいい時であるが、私はんだか世の中が面白くなくって困った。
可愛い山 (新字新仮名) / 石川欣一(著)
短夜みじかよはいまだ暗きに小嵐さあらしほほの木のうれを搖りぬまさしく
白南風 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
短夜みじかよはいまだ暗きに小嵐さあらしほほの木のうれを揺りぬまさしく
白南風 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
おもはぬにいたらばいもうれしみとまむ眉引まよびきおもほゆるかも 〔巻十一・二五四六〕 作者不詳
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
ウレシという語も、「何すとか君をいとはむ秋萩のその初花のうれしきものを」(同・二二七三)などの用法と殆ど同じである。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
骨董屋は損をしたが苦にもせず結局うれしがつて、私は土州の吉村に百両の鎧をやつたなどと、近処隣に吹聴して居ましたそうな。
真女児が出て来て、酒や菓子を出してもてなしてくれたので、うれしき酔ごこちに歓会を共にした。
蛇性の婬 :雷峰怪蹟 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
喬家きょうか生きてお悟らず、死すとも何ぞうれえん。
牡丹灯籠 牡丹灯記 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
喬家の子生きて猶お悟らず、死すとも何ぞうれえん。
牡丹灯記 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
「恐入りましたね。うれはそれでなくっちゃいけません。」
つゆのあとさき (新字新仮名) / 永井荷風(著)
「叔父さん、こうして名刺を一枚出しさえすれば、何処どこへ行っても通ります——塩瀬の店は今兜町でもうれッ子なんですからネ」と正太は、紙入から自分の名刺を取出して、食卓の上に置いて見せた。
家:02 (下) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
「マルヒユスですか。目の光る、日に焼けた、髪の黒い男ぢやありませんか。」名を聞いて耳をそばだてたフロルスは、うれしげな声でかう云つた。
されど老たる人々の、待てど/\来給はねば、心おちゐで、などかくは遅き、心もとなきことかなと繰返し/\云へば、さおもひ給はば迎へに人遣らばやとて、人など呼ぶ程に、二人の老人おいびと娘と共に恙もあらで到り着きぬれば、うれしさ譬へむに物なかりき。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
だれでも左樣さうだが、非常ひじやううれしいときにはとても睡眠すいみんなどの出來できるものでない。
いとけなこゝろにもなつかしとか、うれしとかおもつたのであらう、そのすゞしい
吾背子わがせこ二人ふたりませば幾許いくばくかこのゆきうれしからまし 〔巻八・一六五八〕 光明皇后
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
この美しく降った雪を、若しお二人で眺めることがかないましたならば、どんなにかおうれしいことでございましょう、というのである。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
この歌と一しょに、「うちなびく春立ちぬらし吾が門の柳のうれに鶯鳴きつ」(巻十・一八一九)があるが、平凡で取れない。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
巻向まきむく檜原ひはらもいまだくもゐねば子松こまつうれ沫雪あわゆき流る 〔巻十・二三一四〕 柿本人麿歌集
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
雪どの、わたしの言葉が、真実であるか無いか、もうじきに、そなたは思いあたりなされますぞえ——この生家さとに、いつまでも日を消していたなれば、御殿から、かえれ、もどれと、申して来るは知れたこと——現に今日も、重役の老女が見舞に見えられて、今はやつうれえも見えずなったゆえ、一日も早う、大奥へ上るように——と、くりかえしていってでありました。
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
雪の深い冬の間、たてきってあったような、その新建しんだちの二階の板戸を開けると、直ぐ目の前にみえる山の傾斜面にひらいた畑には、麦が青々と伸びて、蔵の瓦屋根かわらやねのうえに、小禽ことりうれしげな声をたてていていた。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
かれ天皇かむあがりまして後に、その庶兄まませ當藝志美美たぎしみみの命、その嫡后おほぎさき伊須氣余理比賣にへる時に、その三柱のおとみこたちをせむとして、謀るほどに、その御祖みおや伊須氣余理比賣、患苦うれへまして、歌もちてその御子たちに知らしめむとして歌よみしたまひしく、
裸体はだか武兵衛は落胆きおちした声で情なさそうに呟いた、数馬もうれいを含んだ声で、
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
ここに天皇愁歎うれへたまひて、神牀かむとこにましましける夜に、大物主おほものぬし大神おほかみ、御夢に顯はれてのりたまひしく、「こはが御心なり。かれ意富多多泥古おほたたねこをもちて、我が御前に祭らしめたまはば、神の起らず、國も安平やすらかならむ」とのりたまひき。
おもむろに庭樹をながめて奇句を吐かんとするものは此家の老畸人、剣をなでし時事をうれふるものは蒼海、天を仰ぎ流星を数ふるものは我れ、この三箇みたり一室に同臥同起して、玉兎ぎよくと幾度いくたびけ、幾度か満ちし。
三日幻境 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
時時一群の雀等が一つの大きなさんざめきとなつて、塊まりながら奥の繁みへ転がり落ち、高い羽搏きをあげながら孟宗の末枝うれを劇しく鳴らし騒いでゐる。
竹藪の家 (新字旧仮名) / 坂口安吾(著)
きっとこれは彼自身に喜びがあって、彼の仇の家にうれいごとがあるのだ。
風波 (新字新仮名) / 魯迅(著)
これが彼女の皮膚の明晢めいせきさに或るうれひを与へる様に思はれた。
青いポアン (新字旧仮名) / 神西清(著)
かたじけなさのおさへあへざると、且つは世の、心洵に神にあこがれていまだその声を聴かざるもの、人知れず心の悩みに泣くもの、迷ふもの、うれふるもの
予が見神の実験 (新字旧仮名) / 綱島梁川(著)
今にうれたら、たんとし上がれと云ったから、毎日少しずつ食ってやろう。
坊っちゃん (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
『こう爛熟うれきった文化というものが、いつ迄、この儘で栄えてゆきましょうか』
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)