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愁
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うれ
ふりがな文庫
“
愁
(
うれ
)” の例文
身も魂も投げ出して追憶の甘き
愁
(
うれ
)
いに
耽
(
ふけ
)
りたいというはかない
慰藉
(
なぐさめ
)
を
弄
(
もてあそ
)
ぶようになってから、私は私にいつもこう尋ねるのであった。
山の手の子
(新字新仮名)
/
水上滝太郎
(著)
わが
牀
(
とこ
)
は我を慰め、
休息
(
やすらい
)
はわが
愁
(
うれ
)
いを和らげんと、我思いおる時に、汝は夢をもて我を驚かし、
異象
(
まぼろし
)
をもて我を
懼
(
おそ
)
れしめたまう。……
ジャン・クリストフ:07 第五巻 広場の市
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
とにかく、彼の死後は、しばらくの間、天地も
寥々
(
りょうりょう
)
の感があった。ことに、蜀軍の上には、天
愁
(
うれ
)
い地悲しみ、日の色も光がなかった。
三国志:11 五丈原の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
すこしも行末のことに
愁
(
うれ
)
いをもたずにいることが甚だしい間ちがいではなかろうかと、そんなことを漠然と波を見入っては考えていた。
津の国人
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
陰※
(
いんえい
)
たる空に
覆
(
おおわ
)
れたる
万象
(
ばんしょう
)
はことごとく
愁
(
うれ
)
いを含みて、海辺の砂山に
著
(
いちじ
)
るき一点の
紅
(
くれない
)
は、早くも掲げられたる暴風
警戒
(
けいかい
)
の
球標
(
きゅうひょう
)
なり。
取舵
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
しかし実際は「大分好い」よりも
寧
(
むし
)
ろ大分悪かつたのであらう。現に先生の奥さんなどは
愁
(
うれ
)
はしい顔をしてゐられたものである。
二人の友
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
大柄な、髪のゆたかな、なんでも承知しているような、やさしい
愁
(
うれ
)
い顔の人なのです。僕はその人を「おばさん。」と呼びます。
わが師への書
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
かの藍玉屋の金蔵の如きは、
執心
(
しゅうしん
)
の第一で、何かの時に
愁
(
うれ
)
いを帯びたお豊の姿を一目見て、それ以来、
無性
(
むしょう
)
に
上
(
のぼ
)
りつめてしまったものです。
大菩薩峠:04 三輪の神杉の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
二人は
愁
(
うれ
)
いを打ち消そうとして杯を重ねた。三月も半ばを過ぎて、浪華の花を散らす春雨は夜の更けるまでしめやかに聞えた。
心中浪華の春雨
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
感心の薄らぐと共に却て又一種の疑いを生じたり、此女
愁
(
うれ
)
いに沈めるには相違なきも真実愁いに沈みし人が衣類に斯くも注意する暇あるや
血の文字
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
二十一といふにしては、少し
初々
(
うひ/\
)
しく、健康で明るくて、心配も
愁
(
うれ
)
ひも利かない姿ですが、それだけ愛嬌者で、誰にでも好かれさうな女です。
銭形平次捕物控:155 仏像の膝
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
やがて彼は病室へ戻って来た。すると、妻はいままで閉じていた眼をパッと見ひらいた。「行ってみる時刻でしょう」と妻は
愁
(
うれ
)
わしげに云う。
秋日記
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
愁
(
うれ
)
ひつゝ丑松は小山の間の細道を歩いた。父を
斯
(
こ
)
の牧場に訪れたは、丁度足掛三年前の五月の下旬であつたことを思出した。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
家長の心配ないし
愁
(
うれ
)
い、つまり自分の地上の家に対する責任というものを課せられている人間の不安な気持というものは
「世界文学大系58 カフカ」解説
(新字新仮名)
/
原田義人
(著)
恐入
(
おそれいら
)
せしからは近日事の成就せんと皆々悦ぶ其中に
貴殿
(
きでん
)
一人
愁
(
うれ
)
ひ給ふは如何成仔細に候やと
尋
(
たづ
)
ねければ山内は
成程
(
なるほど
)
各々方には今日越前が恐入しを
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
若き
愁
(
うれ
)
いある人にした上でなければ、その感じが当時の詩の調子に合わず、また自分でも満足することができなかった。
弓町より
(新字新仮名)
/
石川啄木
(著)
微笑したり澄ましたり
愁
(
うれ
)
わしげに眉をひそめたりあらゆる身振りと表情を四方の鏡に写して見る、飽きるまでこのナルシス流派を繰り返してから
艶妖記:忍術千一夜 第一話
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
とこんな
噂
(
うわさ
)
を内大臣に伝えた者のあった時に、内大臣の心は
愁
(
うれ
)
いにふさがれた。大臣はそうした噂の耳にはいったことを雲井の雁にそっと告げた。
源氏物語:32 梅が枝
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
木
(
き
)
は、
深
(
ふか
)
い、
深
(
ふか
)
い、
愁
(
うれ
)
いに
沈
(
しず
)
みました。
毎日
(
まいにち
)
、
山
(
やま
)
の
頂
(
いただき
)
を
通
(
とお
)
る
雲
(
くも
)
は、
灰色
(
はいいろ
)
の
物悲
(
ものがな
)
しいものばかりでありました。
山の上の木と雲の話
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
お前も、お父さんに似てまつげが長いから、うつむいた時の顔に
愁
(
うれ
)
えがあって、きっと女には好かれますよ。
新釈諸国噺
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
少し眼尻が下り、
媚
(
こ
)
びて居るのか
嘲
(
あざけ
)
って居るのか
愁
(
うれ
)
えて居るのか判らない大きな眼、丸味を帯びて小さい権威を
揮
(
ふる
)
って居る鼻、
括
(
くび
)
れた余りが
綻
(
ほころ
)
びかけて居る唇。
ドーヴィル物語
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
『和漢三才図会』に、猴、
触穢
(
しょくえ
)
を忌む。血を見ればすなわち
愁
(
うれ
)
うとあるが、糞をやり散らすので誠に閉口だ。果して触穢を忌むにや。次に〈念珠を見るを
悪
(
にく
)
む。
十二支考:07 猴に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
この青く清らにて物問いたげに
愁
(
うれ
)
いを含める
目
(
まみ
)
の、半ば露を宿せる長き
睫毛
(
まつげ
)
に
掩
(
おお
)
われたるは、
何故
(
なにゆえ
)
に一顧したるのみにて、用心深きわが心の底までは徹したるか。
舞姫
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
それはちょうど、遠い流れの向うから聞えて来る草笛の音のような、甘酸っぱい感傷の情のおもむきで、ひたひたと身に迫って来る水に似た
愁
(
うれ
)
いさえ伴うのだった。
罌粟の中
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
「浪人好み、世の建て直し……天下を
愁
(
うれ
)
うる志士的行動! などと思うてわしのやって来た、これまでの仕事などもいって見れば、玩具いじりに過ぎなかっただろうよ」
血煙天明陣
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
何にしろ菊の井は大損であらう、かの子には
結搆
(
けつこう
)
な旦那がついた
筈
(
はづ
)
、取にがしては残念であらうと人の
愁
(
うれ
)
ひを
串談
(
じようだん
)
に思ふものもあり、諸説みだれて取止めたる事なけれど
にごりえ
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
燕楽軒の広い土間のホールヘ入ってみると、洋装の葉子が右側の窓下のところにいて、近づいて行く彼に気づくと、かつて見たこともないような
愁
(
うれ
)
いに
充
(
み
)
ちた顔をあげた。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
彼旗を
撤
(
てっ
)
し、此望台を
毀
(
こぼ
)
ち、今自然も
愁
(
うれ
)
うる秋暮の物悲しきが上に憂愁不安の気雲の如く
覆
(
おお
)
うて居る斯千歳村に、雲霽れてうら/\と日の
光
(
ひかり
)
射
(
さ
)
す復活の春を
齎
(
もた
)
らすを得ば
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
春前
(
しゅんぜん
)
に雨あつて花の開くる事早し。
秋後
(
しゅうご
)
に雲
無
(
の
)
うして落葉遅し。山外に山あつて山尽きず。路中に道多うして道極まりなし「山青く山白くして雲来去す。」人楽しみ人
愁
(
うれ
)
ふ。
一世お鯉
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
云ったのやら
娘気
(
むすめぎ
)
というものはたわいのないものと
愁
(
うれ
)
いのうちにも
安堵
(
あんど
)
の胸をさすり
春琴抄
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
旧識同伴の
間闊
(
とおどおしき
)
を恨み、生前には
名聞
(
みょうもん
)
の遂げざるを
愁
(
うれ
)
え、死後は
長夜
(
ちょうや
)
の
苦患
(
くげん
)
を恐れ、目を
塞
(
ふさ
)
ぎて
打臥
(
うちふ
)
し居たるは、
殊勝
(
しゅしょう
)
に物静かなれども、胸中騒がしく、心上苦しく、三合の病いに
般若心経講義
(新字新仮名)
/
高神覚昇
(著)
その頃、私が
愁
(
うれ
)
はしげな顏をすることは譯もないことであつたのだ。心に喰ひ入る病が、私の心に巣食つてゐて、私の幸福を源まで
涸
(
か
)
らして了ふのであつた——あの不安といふ病氣が。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
愛人チキソン王ハロルトの
屍
(
しかばね
)
を探している世にも
愁
(
うれ
)
わしい図が描かれていた。
探偵小説アルセーヌ・ルパン
(新字新仮名)
/
モーリス・ルブラン
(著)
愁
(
うれ
)
いもない。
身体
(
からだ
)
にどこといって違和はないが、あの夜以来、気持にしまりがなくなった。寝るときのほか、ついぞ
袴
(
はかま
)
をはなしたことはなかったが、この頃は着流しで、帯も巻帯のままである。
鈴木主水
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
愁
(
うれ
)
いの糸のいとど払いがたかりしある日の事なり、八軒屋の旅宿にありて、ただ一人二階なる居間の
障子
(
しょうじ
)
を打ち開き、階下に
集
(
つど
)
える
塵取船
(
ちりとりぶね
)
を
眺
(
なが
)
めたりしに、女乞食の二、三歳なる小供を負いたるが
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
框に足を掛けると、
愁
(
うれ
)
いを含んだ女の眼にあざやかな
嬌笑
(
きょうしょう
)
が流れた。
つづれ烏羽玉
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
「嚢中
已
(
すで
)
に自ら有り、
漫
(
みだり
)
に
沽
(
か
)
うを
愁
(
うれ
)
うるなかれかね」
酒友
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
と、イワン、デミトリチは
愁
(
うれ
)
はしさうに
答
(
こた
)
へる。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
ほの
暗
(
くら
)
き
玻璃
(
はり
)
の窓ひややかに
愁
(
うれ
)
ひわななく。
邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
清光
(
せいこう
)
偏
(
ひと
)
えに照らす
善
(
はなは
)
だ
愁
(
うれ
)
うの人〕
夏の町
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
起きれば
愁
(
うれ
)
はしい
平常
(
いつも
)
のおもひ
山羊の歌
(新字旧仮名)
/
中原中也
(著)
愁
(
うれ
)
ひ
嘯
(
うそぶ
)
くをりしもあれ
牧羊神
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
新
(
あら
)
たなり流離の
愁
(
うれ
)
ひ
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
「
MISS
(
ミス
)
・キャゼリンはそう考えているでしょう……それは大使館があの人にそう思わせているからです。しかしもう私個人の意志ではどうすることもできないところまできているのです。私の乗る船も明後日のイキトス号と決まっているのです」と太子は
愁
(
うれ
)
わしげに
瞬
(
まばた
)
かれた。
ナリン殿下への回想
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
むしろ
愁
(
うれ
)
いの色すら濃い。血は同じでも、人生の
伴侶
(
はんりょ
)
を選ぶについては、
父娘
(
おやこ
)
でも見解の相違のぜひないことが、とたんにはっきり分った。
新書太閤記:02 第二分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
叔父と豊世とはこんな言葉を
替
(
かわ
)
しながら、薄く緑色に濁った水の流れて行くのを望んだ。豊世は
愁
(
うれ
)
わしげに立っていた。
家:02 (下)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
その沈んだ
愁
(
うれ
)
い顔を見るにつけて、半九郎もいよいよ物の哀れを誘い出された。彼はある夜しみじみとお染に話した。
鳥辺山心中
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
で、つまり情を動かされて、
悲
(
かなし
)
む、
愁
(
うれ
)
うる、
楽
(
たのし
)
む、喜ぶなどいうことは、時に因り場合においての
母様
(
おっかさん
)
ばかりなので。
化鳥
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
以て願ひますと差出するに
駕籠脇
(
かごわき
)
の
士
(
さむらひ
)
請取駕籠の中に
差出
(
さしいだ
)
せば酒井侯中より
彼
(
か
)
の女の樣子を
倩々
(
つく/″\
)
見らるゝに如何にも
痩衰
(
やせおとろ
)
へ
愁
(
うれ
)
ひに沈みし有樣なれば駕籠を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
多少
愁
(
うれ
)
いの曇りがないでもなかったが、とにかく幸福な日々を、彼らはそこで過ごした。信頼と勉励との日々。
ジャン・クリストフ:10 第八巻 女友達
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
“愁”の解説
「愁」 (うれい) は、日本のロックバンド、Kagrra,の12枚目のシングル。2004年1月1日にコロムビアミュージックエンタテインメントから販売。
(出典:Wikipedia)
愁
常用漢字
中学
部首:⼼
13画
“愁”を含む語句
郷愁
憂愁
悲愁
愁然
哀愁
御愁傷
愁傷
愁歎
愁訴
旅愁
愁眉
愁嘆場
幽愁
離愁
暗愁
愁嘆
居愁
御愁歎
不語似無愁
愁夜曲
...