“愁”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
うれ46.5%
うれい14.3%
うれひ10.4%
9.6%
つら9.1%
かな3.5%
いた2.2%
うれへ1.7%
うる0.4%
うれはし0.4%
かなし0.4%
こわ0.4%
さび0.4%
しゅう0.4%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
身も魂も投げ出して追憶の甘きうれいにふけりたいというはかない慰藉なぐさめもてあそぶようになってから、私は私にいつもこう尋ねるのであった。
山の手の子 (新字新仮名) / 水上滝太郎(著)
無論現実的の憂愁ではなく、青空に漂う雲のような、または何かの旅愁のような、遠い眺望への視野を持った、心の茫漠ぼうばくとしたうれいである。
郷愁の詩人 与謝蕪村 (新字新仮名) / 萩原朔太郎(著)
しばらく楽まされし貫一も、これが為に興冷きようさめて、にはかに重きかしらを花の前に支へつつ、又かのうれひを徐々に喚起よびおこさんと為つ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
お前の父さんは馬だねへと言はれて、名のりやらき子心にも顏あからめるしほらしさ、出入りの貸座敷いへの祕藏息子寮住居に華族さまを氣取りて
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
そこまでがほんとの話で、突然いきなり、まつはつらいとみなおしゃんすけれどもなア——とケロケロとうたいだすのだった。そして小首をかしげて
だんだん彼女の何時も深いかなしみに隈どられた面輪が、頭の中のスクリインに大写しのようにいっぱいに映ったまま消えなくなったのである。
アンドロギュノスの裔 (新字新仮名) / 渡辺温(著)
かくて曹彰はただ一人になって宮門に入り、兄の曹丕そうひに対面すると、共に手をとって、父の死をいたみかなしんだ。
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
歌はざりしとがめか、みのりなき冬の日にもうれへは照りしかど。
白鳥 (旧字旧仮名) / ステファヌ・マラルメ(著)
うるわしい調子で古いスペインの小唄こうたガレガを歌った、おそらく二本の木の間の綱の上に勢い込めて揺られてる美しい娘から感興を得たのであろう。
おのづかうれはし底寂そこさびしきと、えりの細きが折れやしぬべく可傷いたはしきとなり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
あどけないかなしみをする
山羊の歌 (新字旧仮名) / 中原中也(著)
口の中へ一ぱいに大福餅だいふくもちを押込まれたり、あの肥った体で踏んまたがれて、青坊主にりたてられるのがこわいのだった。
そのとき麗姫の顔にはさびしいとも恥かしいとも云い切れない複雑な表情が走った。支離遜はかつて彼女にこんな表情の現れたのを見たことが無かった。
荘子 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
しゅうと云う字 その字
新版 放浪記 (新字新仮名) / 林芙美子(著)