“かなし”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
69.1%
21.6%
可悲3.1%
悲哀2.1%
悲嘆1.0%
哀哭1.0%
1.0%
歎悲1.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
それを聞いた哀れな街子は、人の影へかくれるようにしながら、うちの方へけ出しました。それが街子の最初のかなしみでありました。
最初の悲哀 (新字新仮名) / 竹久夢二(著)
声のないかなしみをたたえた君のこの頃に心を引かれないものが有ろうか。君の周囲にあるものは何事なんにも知らないものばかりだと君は思うか。
桜の実の熟する時 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
彼はその酒を取りて、き事積りし後の凶の凶なる今夜の末期まつごむくゆるの、可哀あはれに余り、可悲かなしきにすぐるを観じては、口にこそ言はざりけれど、玉成す涙は点々ほろほろと散りてこぼれぬ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
これはやつぱり戯曲作家の悲哀かなしさだよ。(笑声)
対話 (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
ただ夢中です、身も世もあられぬ悲嘆かなしさを堪え忍びながら如何いかにもしてもとの通りにたいと、恥も外聞もかまわず、出来るだけのことをしたものです。
恋を恋する人 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
いいえ、憎らしいとその時思うことが出来るならまで苦しくは無いのです。ただ悲嘆かなしかったのです。」
恋を恋する人 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
それからのちの私たち二人は、肉体からだ霊魂たましいも、ホントウの幽暗くらやみい出されて、夜となく、昼となく哀哭かなしみ、切歯はがみしなければならなくなりました。
瓶詰地獄 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
あどけないかなしみをする
山羊の歌 (新字旧仮名) / 中原中也(著)
女房 (背をさする)若様は、歎悲かなしむのがおきらいです。御性急でいらっしゃいますから、御機嫌に障ると悪い。ここは、楽しむ処、歌う処、舞う処、喜び、遊ぶ処ですよ。
海神別荘 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)