可悲かなし)” の例文
可悲かなしい、可恐おそろしい、滅亡の運命が、人たちの身に、暴風雨あらしと成つて、天地とともに崩掛くずれかからうとする前のよる、……風はよし、なぎはよし……船出の祝ひに酒盛したあと、船中残らず
印度更紗 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
彼はその酒を取りて、き事積りし後の凶の凶なる今夜の末期まつごむくゆるの、可哀あはれに余り、可悲かなしきにすぐるを観じては、口にこそ言はざりけれど、玉成す涙は点々ほろほろと散りてこぼれぬ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
可悲かなしい、可恐おそろしい、滅亡めつばう運命うんめいが、ひとたちのに、暴風雨あらしつて、天地てんちとともに崩掛くづれかゝらうとするまへよる、……かぜはよし、なぎはよし……船出ふなでいはひに酒盛さかもりしたあと、船中せんちうのこらず
印度更紗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)