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可悲
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かなし
可悲い、
可恐い、滅亡の運命が、人たちの身に、
暴風雨と成つて、天地とともに
崩掛らうとする前の
夜、……風はよし、
凪はよし……船出の祝ひに酒盛したあと、船中残らず
彼はその酒を取りて、
吉き事積りし後の凶の凶なる今夜の
末期に
酬ゆるの、
可哀に余り、
可悲きに
過るを観じては、口にこそ言はざりけれど、玉成す涙は
点々と散りて
零れぬ。
可悲い、
可恐い、
滅亡の
運命が、
人たちの
身に、
暴風雨と
成つて、
天地とともに
崩掛らうとする
前の
夜、……
風はよし、
凪はよし……
船出の
祝ひに
酒盛したあと、
船中殘らず