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悲
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かなし
ふりがな文庫
“
悲
(
かなし
)” の例文
聞て
狂氣
(
きやうき
)
の如く
悲
(
かなし
)
みしかども又
詮方
(
せんかた
)
も非ざれば無念ながらも
甲斐
(
かひ
)
なき日をぞ送りける其長庵は心の内の悦び大方ならず
猶
(
なほ
)
種々
(
さま/″\
)
と辯舌を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
それを聞いた哀れな街子は、人の影へかくれるようにしながら、
家
(
うち
)
の方へ
駈
(
か
)
け出しました。それが街子の最初の
悲
(
かなし
)
みでありました。
最初の悲哀
(新字新仮名)
/
竹久夢二
(著)
網で
捕
(
と
)
ったと、釣ったとでは、
鯛
(
たい
)
の味が違うと言わぬか。あれ等を
苦
(
くるし
)
ませてはならぬ、
悲
(
かなし
)
ませてはならぬ、海の水を酒にして泳がせろ。
紅玉
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
さしも遣る方無く
悲
(
かなし
)
めりし貫一は、その悲を
立
(
たちどこ
)
ろに抜くべき
術
(
すべ
)
を今覚れり。
看々
(
みるみる
)
涙の
頬
(
ほほ
)
の
乾
(
かわ
)
ける
辺
(
あたり
)
に、
異
(
あやし
)
く
昂
(
あが
)
れる
気有
(
きあ
)
りて青く
耀
(
かがや
)
きぬ。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
梅
(
うめ
)
が
枝
(
え
)
の
手洗鉢
(
ちょうずばち
)
じゃあるまいし、乃公を叩いたって森川さんが帰って来るものか。けれども此は一の
悲
(
かなし
)
む
可
(
べ
)
き過失に外ならない。
いたずら小僧日記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
▼ もっと見る
取残されたる叔父の
悲
(
かなし
)
み、なかなかにいい尽すべくもあらず。
小林蹴月
(
こばやししゅうげつ
)
君も
訃音
(
ふいん
)
におどろかされて駈け付け、左の
短尺
(
たんざく
)
を霊前に供えられる。
叔父と甥と:――甲字楼日記の一節――
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
そうして
置
(
お
)
いて、
何
(
なん
)
の
容赦
(
ようしゃ
)
もなく、この
憐
(
あわ
)
れな
少女
(
むすめ
)
を、
砂漠
(
さばく
)
の
真中
(
まんなか
)
へ
連
(
つ
)
れて
行
(
い
)
って、
悲
(
かなし
)
みと
嘆
(
なげ
)
きの
底
(
そこ
)
へ
沈
(
しず
)
めてしまいました。
ラプンツェル
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール・グリム
、
ヴィルヘルム・カール・グリム
(著)
長吉は自分とお糸の間にはいつの
間
(
ま
)
にか
互
(
たがい
)
に疎通しない感情の相違の生じている事を
明
(
あきら
)
かに知って、更に深い
悲
(
かなし
)
みを感じた。
すみだ川
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
其
(
そ
)
れぢや
基督
(
ハリストス
)
でも
例
(
れい
)
に
引
(
ひ
)
きませう、
基督
(
ハリストス
)
は
泣
(
な
)
いたり、
微笑
(
びせう
)
したり、
悲
(
かなし
)
んだり、
怒
(
おこ
)
つたり、
憂
(
うれひ
)
に
沈
(
しづ
)
んだりして、
現實
(
げんじつ
)
に
對
(
たい
)
して
反應
(
はんおう
)
してゐたのです。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
その音の卑しく、其響の険なるは、幾多世上の趣味家を泣かすに足る者あるべし。紳士の風儀久しく
落
(
おち
)
て、之を救済するの道未だ開けず。
悲
(
かなし
)
いかな。
秋窓雑記
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
廉直
(
れんちよく
)
の・
(五三)
邪枉
(
じやわう
)
の
臣
(
しん
)
に
容
(
い
)
れられざるを
悲
(
かなし
)
み、
(五四)
往者得失
(
わうしやとくしつ
)
の
變
(
へん
)
を
觀
(
み
)
る、
故
(
ゆゑ
)
に
(五五)
孤憤
(
こふん
)
・五
蠧
(
と
)
・
内外儲
(
ないぐわいちよ
)
・
説林
(
せつりん
)
・
説難
(
ぜいなん
)
、十
餘萬言
(
よまんげん
)
を
作
(
つく
)
る。
国訳史記列伝:03 老荘申韓列伝第三
(旧字旧仮名)
/
司馬遷
(著)
わたくしはこの年の地震の事を語るに
先
(
さきだ
)
って、台所町の渋江の家に
座敷牢
(
ざしきろう
)
があったということに説き及ぼすのを
悲
(
かなし
)
む。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
彼が教壇の上に立って、讃美歌を捧げる時のその声は、高い、太い声だけれど、また
傷
(
いたま
)
しい、
悲
(
かなし
)
みを
帯
(
お
)
んだ
何処
(
どこ
)
やら人に涙を催させるような処があった。
点
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
と
馳
(
は
)
せ寄って文治に抱き付き、胸に顔当てゝ、よゝとばかりに泣き
悲
(
かなし
)
んで居りまする。文治も
拳
(
こぶし
)
にて涙を払いながら、
左手
(
ゆんで
)
に
確
(
しっ
)
かりとお町の首を抱えて
後の業平文治
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
親譲りの山も林もなくなりかゝってお吉心配に病死せしより、
齢
(
とし
)
は
僅
(
わずか
)
に
十
(
とお
)
の冬、お辰浮世の
悲
(
かなし
)
みを知りそめ
叔父
(
おじ
)
の
帰宅
(
かえ
)
らぬを困り
途方
(
とほう
)
に暮れ居たるに、近所の人々
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
為めに頭を
冷
(
ひ
)
やさんとするも
悲
(
かなし
)
いかな水なきを如何せん、鹽原君
帯
(
お
)
ぶる所の劔を
抜
(
ぬ
)
きて其顔面に
当
(
あ
)
て、以て多少之を
冷
(
ひや
)
すを
得
(
え
)
たり、朝に
至
(
いた
)
りて
少
(
すこ
)
しく快方に
向
(
むか
)
ひ来る。
利根水源探検紀行
(新字旧仮名)
/
渡辺千吉郎
(著)
また「かかる者は死を望むなれども
来
(
きた
)
らず」とあるは彼が自然死を求むれど得ざるを
悲
(
かなし
)
みし語であって、自殺という観念が彼の心に全然なかったことを示すのである。
ヨブ記講演
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
パパもママも煙のように消えてしまった
悲
(
かなし
)
みをも知らぬ顔の無邪気の後ろ姿が涙ぐましかった。
最後の大杉
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
予は何となく故団蔵の
俤
(
おもかげ
)
を
思
(
おもひ
)
出すのであつた。予は
此
(
この
)
人が近く更に演じやうとするロスタンの「シラノ・ド・ベルジユラツク」を観ずして東に帰らねば成らないのを
悲
(
かなし
)
む。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
すべての
怨
(
うらみ
)
、すべての
憤
(
いきどおり
)
、すべての
憂
(
うれい
)
と
悲
(
かなし
)
みとはこの
怨
(
えん
)
、この憤、この憂と悲の極端より生ずる
慰藉
(
いしゃ
)
と共に九十一種の題辞となって今になお
観
(
み
)
る者の心を寒からしめている。
倫敦塔
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
それはそれは急にお顔色が変ったこと、ワットお泣なさったそのお声の
悲
(
かなし
)
そうでしたこと。
忘れ形見
(新字新仮名)
/
若松賤子
(著)
ちっとも勢が衰えず、ひっきりなしに揺れる地震の脅威に、
悲
(
かなし
)
む余裕さえないのであった。
九月一日
(新字新仮名)
/
水上滝太郎
(著)
と
宥
(
なだ
)
めて家に入らしめんとすれどお登和嬢は心の
悲
(
かなし
)
みに堪えずして思わず
出
(
い
)
ずる
怨
(
うら
)
みの言葉
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
十四日の午後、
御船
(
みふね
)
附近の戦争で、父親は胸に
弾丸
(
たま
)
を受けて、
死屍
(
しゝ
)
となつて野に
横
(
よこた
)
はつたのである。十四日
晴
(
はれ
)
——と書いて、
後
(
あと
)
が何も書いてないといふことが少なからず人々を
悲
(
かなし
)
ませた。
父の墓
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
二郎次は、知らぬ
間
(
ま
)
に、盗坊の
手下
(
てした
)
になっていたことを心から
悲
(
かなし
)
みました。
三人兄弟
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
本当に愛したり欲したり
悲
(
かなし
)
んだり憎んだり、自分自身の偽らぬ本心を見つめ、魂の
慟哭
(
どうこく
)
によく耳を傾けることが必要なだけだ。自我の確立のないところに、真実の道義や義務や責任の自覚は生れない。
咢堂小論
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
この
悲
(
かなし
)
むべき殺人事件の経過は、大体次の様なものであった。
孤島の鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
いくたびも、いく時も、我が夢を
悲
(
かなし
)
み痛みて
エロディヤッド
(旧字旧仮名)
/
ステファヌ・マラルメ
(著)
「愛」は
悲
(
かなし
)
み
堪
(
た
)
へ難く、いらつめたちの
泣けよ恋人
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
千々の
悲
(
かなし
)
み、身をば 乗せて。
黒き素船
(新字旧仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
二
患難
(
くわんなん
)
に
向
(
むか
)
ふとも
悲
(
かなし
)
まず。
命の鍛錬
(旧字旧仮名)
/
関寛
(著)
汚
(
けが
)
れず、病まず、
悲
(
かなし
)
まず
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
悲
(
かなし
)
びな
來
(
き
)
そ、
天
(
あま
)
つ
日
(
ひ
)
の
白羊宮
(旧字旧仮名)
/
薄田泣菫
、
薄田淳介
(著)
悲
(
かなし
)
いことです。
小酒井さんのことども
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
網
(
あみ
)
で
捕
(
と
)
つたと、
釣
(
つ
)
つたとでは、
鯛
(
たい
)
の味が違ふと言はぬか。あれ
等
(
ら
)
を
苦
(
くるし
)
ませては成らぬ、
悲
(
かなし
)
ませては成らぬ、海の水を酒にして泳がせろ。
紅玉
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
長吉
(
ちやうきち
)
は自分とお
糸
(
いと
)
の
間
(
あひだ
)
にはいつの
間
(
ま
)
にか
互
(
たがひ
)
に
疎通
(
そつう
)
しない感情の相違の生じて
居
(
ゐ
)
る事を
明
(
あきら
)
かに知つて、
更
(
さら
)
に深い
悲
(
かなし
)
みを感じた。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
この夜叉王は
徹頭徹尾
(
てっとうてつび
)
芸術本位の人で、頼家が亡びても驚かず、娘が死んでも
悲
(
かなし
)
まず、悠然として娘の
断末魔
(
だんまつま
)
の顔を写生するというのが
仕所
(
しどこ
)
で
修禅寺物語:――明治座五月興行――
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
離
(
はな
)
るゝは
悲
(
かなし
)
けれど是も
修行
(
しゆぎやう
)
なれば決して
御案
(
おあん
)
じ下さるなとて
空々敷
(
そら/″\しく
)
も
辭儀
(
じぎ
)
をなし一先感應院へ歸り
下男
(
げなん
)
善助に向ひ
明朝
(
あした
)
早く出立すれば何卒
握飯
(
にぎりめし
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
それじゃ
基督
(
ハリストス
)
でも
例
(
れい
)
に
引
(
ひ
)
きましょう、
基督
(
ハリストス
)
は
泣
(
な
)
いたり、
微笑
(
びしょう
)
したり、
悲
(
かなし
)
んだり、
怒
(
おこ
)
ったり、
憂
(
うれい
)
に
沈
(
しず
)
んだりして、
現実
(
げんじつ
)
に
対
(
たい
)
して
反応
(
はんのう
)
していたのです。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
夫婦は心を
協
(
あは
)
せて貫一の災難を
悲
(
かなし
)
み、何程の
費
(
つひえ
)
をも
吝
(
をし
)
まず
手宛
(
てあて
)
の限を加へて、
少小
(
すこし
)
の
瘢
(
きず
)
をも
遺
(
のこ
)
さざらんと祈るなりき。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
ところが街子にとって、容易ならぬ
悲
(
かなし
)
みが一つ出来たのであります。それは稲荷様の祭の日のことでありました。
最初の悲哀
(新字新仮名)
/
竹久夢二
(著)
と泣き
度
(
た
)
い程
悲
(
かなし
)
いのを
耐
(
こら
)
えて砂利の処へぺたぺたと坐りました。
明奉行
(
めいぶぎょう
)
だから早くもそれと見て取って
政談月の鏡
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
氷山の上で
悲
(
かなし
)
みながら
吼
(
ほ
)
えているのを月がながめた時、この世の中の、
沢山
(
たくさん
)
な
悲
(
かな
)
しみに慣れてしまって、さまで感じなかった月も、心からかわいそうだと思いました。
月と海豹
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
燕王範を垂れて反を
敢
(
あえ
)
てし、身
幸
(
さいわい
)
にして志を得たりと雖も、
終
(
つい
)
に域外の
楡木川
(
ゆぼくせん
)
に死し、愛子高煦は焦熱地獄に
堕
(
お
)
つ。
如是果
(
にょぜか
)
、
如是報
(
にょぜほう
)
、
悲
(
かなし
)
む
可
(
べ
)
く
悼
(
いた
)
む可く、驚く可く嘆ずべし。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
とかかる事を言われてはお登和嬢いよいよ悲しさに堪えず「運命の決したとおっしゃるのはいよいよお代さんと御婚礼なさるのですか」大原も今まで
耐
(
こら
)
えし
悲
(
かなし
)
みを包み切れず
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
時には死と死後の有様について高壇より公衆に
向
(
むかっ
)
て余の思想を
演
(
の
)
べたり、人の死するを聞くや、或は
聖経
(
せいきょう
)
の章句を引用し、或は英雄の死に際する時の
状
(
さま
)
を
語
(
かたっ
)
て、死者を
悲
(
かなし
)
む者を慰めんとし
基督信徒のなぐさめ
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
夫
(
おっと
)
は
女
(
おんな
)
を
杜松
(
としょう
)
の
根元
(
ねもと
)
へ
埋
(
う
)
めました。そしてその
時
(
とき
)
には、
大変
(
たいへん
)
に
泣
(
な
)
きましたが、
時
(
とき
)
が
経
(
た
)
つと、
悲
(
かなし
)
みもだんだん
薄
(
うす
)
くなりました。それから
暫
(
しばら
)
くすると、
男
(
おとこ
)
はすっかり
諦
(
あきら
)
めて、
泣
(
な
)
くのをやめました。
杜松の樹
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール・グリム
、
ヴィルヘルム・カール・グリム
(著)
「
良人
(
おっと
)
の後を
恋慕
(
こいした
)
い、石になったる
松浦潟
(
まつらがた
)
、
領巾振山
(
ひれふるやま
)
の
悲
(
かなし
)
みも……」
ぐうたら道中記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
こんな
悲
(
かなし
)
い話を、夢の中で母から聞いた。
夢十夜
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
二
患難
(
くわんなん
)
に
向
(
むか
)
ふとも
悲
(
かなし
)
まず
命の鍛錬
(旧字旧仮名)
/
関寛
(著)
悲
常用漢字
小3
部首:⼼
12画
“悲”を含む語句
悲哀
悲愁
悲劇
悲痛
慈悲
悲惨
悲愴
悲嘆
悲歌
御慈悲
慈悲心鳥
悲歎
悲壮
悲慘
悲観
慈悲深
悲傷
可悲
歎悲
悲鳴
...