叔父と甥とおじとおいと――甲字楼日記の一節――
大正九年十月九日、甥の石丸英一逝く。この夜はあたかも嫩会の若き人々わが家にあつまりて劇談会を催す例会の夕なりしかば、通知するまでもなく皆々来りあつまる。近親の人々もあつまりて回向す。英一は画家として世に立つべき志あり。ことしの春に中学を卒え …