“咽”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
むせ57.5%
21.1%
のど19.3%
のんど1.0%
いん0.2%
くれ0.2%
0.2%
0.2%
むせび0.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
つい先夜は、べつな場所で、久しぶり尾崎士郎の手に杯を見たが、かの莊重なる浪花ぶしがむせび出るにいたらぬまに別れてしまつた。
折々の記 (旧字旧仮名) / 吉川英治(著)
野毛橋のげばしは、通せんぼをして、彼を通さなかった。彼は、せるような匂いに包囲されて、軽々と、河岸の暗い所へ運ばれてしまった。
かんかん虫は唄う (新字新仮名) / 吉川英治(著)
老人は、のどから絞り出すような声で私を叱った。そして、ひったくるように私の手から竿を取ったのである。何と憎々しい爺だろう。
想い出 (新字新仮名) / 佐藤垢石(著)
嬉しさはことばに尽し難し。水なるかな、水ありて緑あり、水はのんど湿うるほし、緑は眼を潤す。水ありて、人あり、獣あり、村をなす。
しばらくありて、右の小鳥は辺およびいん部に爪牙の跡を得、血を垂れ、来たりて小生に向かい哀を請うがごとし。
妖怪報告 (新字新仮名) / 井上円了(著)
御助け下されるのみならず往々ゆく/\落付おちつきまで御世話下さるとは誠に冥加みやうが至極しごく有難き仕合なりと繰返々々くりかへし/\夫婦の者は伏拜ふしをがうれし涙にくれたりけり是より半四郎は國元へ出立の用意よういに及び日々ひゞ土産みやげなど調へしが彌々いよ/\明日は出立せんとわかれを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
加代姫は急にきあげ、その涙のひまひまに
そなわし、時わかずこれを試み給うや、いつまで汝われに眼を離さず我がむ間も我を捨て置き給わざるや
ヨブ記講演 (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
かはよろこなみだむせびけりしばらくして馬士まご云樣話はうちで出來るから日のくれぬ中うまのらつせへいや伯父をぢ樣と知ては勿體もつたいない馬鹿ばか
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)