“の”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:
語句割合
退14.1%
10.3%
9.0%
7.1%
6.5%
5.8%
5.7%
4.6%
3.6%
3.3%
(他:930)30.0%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
薄赤くなった継子は急にいもとの方へかかって行った。百合子は頓興とんきょうな声を出してすぐそこを退いた。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
その立廻りですもの。あかりが危いからわき退いて、私はそのたびに洋燈ランプおさえ圧えしたんですがね。
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
いつもは規定として三膳食べるところを、その日は一膳で済ましたあと、梅干を熱い茶の中に入れてふうふう吹いてんだ。
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
おどろいて周囲を見まわすと、どうでしょうか、四方にはまだ四ひきの毒蛇がいて、今にも旅人をもうとしています。
般若心経講義 (新字新仮名) / 高神覚昇(著)
第三の車が糸子をせたまま、甲野の門に〓々りんりんの響を送りつつけて来る間に、甲野さんは書斎を片づけ始めた。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
私は看護婦を相手に、父の水枕みずまくらを取りえて、それから新しい氷を入れた氷嚢ひょうのうを頭の上へせた。
こころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
一人ひとりかみの二三ずんびたあたまして、あしには草履ざうり穿いてゐる。
寒山拾得 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
頭髮とうはつ婦人をんなのごとくながびたるをむすばず、かたよりれてかゝといたる。
蛇くひ (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
先に這入つた年上の僧が目食めくはせをすると、あとから這入つた若い僧が五郎兵衛を押しけて戸締とじまりをした。
大塩平八郎 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
その人をけものにしておいて、他人にそのうわさをさせて平気で聞いていることはどうしても彼にはできないと思った。
親子 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
三千代みちよ小供こども着物きものを膝のうへせた儘、返事もせずしばらく俯向うつむいて眺めてゐたが、
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
つなおにのことをくわしくはなしました。おばさんはだんだんひざをしながらいていましたが、
羅生門 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
この町へ帰って来てしばらくしてから吉田はまた首くくりの縄を「まあ馬鹿なことやと思うて」んでみないかと言われた。
のんきな患者 (新字新仮名) / 梶井基次郎(著)
たとえば人間が、不消化物をみ込んだまま眠っていると、その間に、胃袋の細胞だけが眼を醒ましてウンウンと労働している。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
チンとはなをかんで物をも云わず巻煙草に火を移し、パクーリ/\とみながらジロリ/\と怖い眼で治平の顔を見るばかり
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
卓隣りの秋野は其煙草入を出して健にすすめたが、渠は其日一日まぬ積りだつたと見えて、煙管も持つて来てゐなかつた。
足跡 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
ちょうど、国境こっきょうのところには、だれがえたということもなく、一株ひとかぶばらがしげっていました。
野ばら (新字新仮名) / 小川未明(著)
やまや、や、たにべるものがなくなってしまうと、人間にんげん村里むさざとおそってきます。
おおかみと人 (新字新仮名) / 小川未明(著)
と、渓川崖たにがわがけきわへ、それをべて、母子おやこを誘い、自分もともに、かての包みを解きはじめた。
私本太平記:02 婆娑羅帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
多勢の眼は、平次の指先の荒神箒から辰巳の方角へ動きます。其處は眞直ぐに門口で、闇の中には廣々と畑がべられて居るだけ。
かれはただ、がまなかて、沢地たくちみずむのをゆるされればたくさんだったのです。
あにきの子丈あつて、中々なか/\けないな。だから今チヨコレートをましてるからいぢやないか」
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
しばらくして思い切ったというように、新しい教師は顔をあげた。髪のびた、額の広い眉のこいその顔には一種の努力が見えた。
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
たゞ結婚に興味がないと云ふ、自己にあきらかな事実をにぎつて、それに応じて未来を自然にばして行く気でゐる。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
「一代男」其他で、諸国の女や、色町の知識をべてゐるのは、季題や、故事の解説を述べ立てるのと、同じ態度なのである。
○つい愚にもつかぬ回旧談にのみふけりて申訳なし。さて当今大正年間諸人の洋服姿を拝見していささか愚論をぶべし。
洋服論 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
襟の中へ顔を入れて深く物を案じるような塩梅で、紙入を出して薬をみますから、兼松が茶碗に水を注いで出すと、一口飲んで
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
私は雑誌の主幹R先生の情にすがり、社に居残つて生活費まで貰ひ、処方による薬をんで衰へた健康の養生に意を注いだ。
途上 (新字旧仮名) / 嘉村礒多(著)
ぬるい風にって、春はいっさんに駈けつけて来たかのように、すべての植物の芽をあざらかにふくらませていた。
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
老人と老馬は安全を得るということに就ては賢いものであるから、大抵の場合に於て老人には従い、老馬にはるのが危険は少い。
蒲生氏郷 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
さうすると卯平うへい與吉よきちあたまうへつて菓子くわしあたまおとされる。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
おな汽車きしやつたひとたちが、まばらにも、それ/″\の二階にかいこもつてるらしい
雪霊続記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
又十郎は、ほっと胸をなでた。父のかわりに、兄から脂をしぼられるのかと、実は、返辞にも気がびなかったのである。
柳生月影抄 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
なぜなら、彼は生活の自由を知らず、世界への自分の関係がびのびしたひろがりであることを生きた意味として理解できないからである。
美学入門 (新字新仮名) / 中井正一(著)
天明てんめい淺間噴火あさまふんかける泥流でいりゆう被害ひがいまへべたとほりである。
火山の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
まへべたやうに七ぐわつ爲替相場かはせさうばが一わりさがつてつたが
金解禁前後の経済事情 (旧字旧仮名) / 井上準之助(著)
いくんでもはぬさけに、便所べんじよへばかりつてゐたが、座敷ざしきもどたび
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
かれはさうしてさらあとの一ぱいきつしてその茶碗ちやわんんでんだ。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
我が母は何もらさね、子のわれも何もきこえね、かかる日のかかる春べに、うつつなく遊ぶ子供を見てあれば涙しながる。
観相の秋 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
我が母は何もらさね、子のわれも何もきこえね、かかる日のかかる春べにうつつなく遊ぶ子供を見てあれば涙しながる。
雀の卵 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
人殺しの罪はがれられないとは云いながら、年は若し、出世の見込みのある相撲を、こんなことで殺すのは可哀そうでした。
半七捕物帳:67 薄雲の碁盤 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
すかして見ると春の日影は一面にし込んで、射し込んだまま、がれずるみちを失ったような感じである。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
不満の情をべるのではないという事を明らかにするために、自分は、夫の学識は、世俗の尊重する冠冕かんべん爵位にも優って
法窓夜話:02 法窓夜話 (新字新仮名) / 穂積陳重(著)
宋主が寂照を見たまうに及びて、我が日本の事を問いたもうたので、寂照は紙筆を請いて、我が神聖なる国体、優美なる民俗を答えべた。
連環記 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
――こんなことがあってよいものだろうか! 母はその子に殺されるかのように、こう大声に助けを呼んで、縁から庭へがれようとした。
十二神貝十郎手柄話 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
ヤマハハはどけえ行ったとてがすものかとて、沼の水に娘の影のうつれるを見てすぐに沼の中に飛び入りたり。
遠野物語 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
振りかぶった刀の下に、お梅は肩先から乳の下にかけてザックと一太刀、虚空こくうを掴んでけぞると息はもろくも絶えた。
そうしてその瞬間に吾れにもあらず眼を開いた時に、女は丸卓子テーブルから離れて弓のようにっていた。
暗黒公使 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
○十月、明治座にて松居松葉の史劇「悪源太」を初演。劇場以外の文士の作を舞台にせたる嚆矢にて、左団次が悪源太に扮す。
明治演劇年表 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
涙は流れ、笑はこぼれ、いのちの同じりつつて、底知れぬ淵穴ふちあな共々とも/″\落込んで了ふのである。
落葉 (旧字旧仮名) / レミ・ドゥ・グルモン(著)
佳き文章とは、「情こもりて、ことばび、心のままのまことを歌い出でたる」態のものを指していうなり
苗のまだびない花畑は、その間の小径も明かに、端から端まで目を遮るものがないので、もう暮近いにも係らず明い心持がする。
百花園 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
「首がうても、当節の役人は、袖の下で、何とでも成る。殺しておけば、津軽も、命には代えられんと思うから、檜山を返すであろう」
三人の相馬大作 (新字新仮名) / 直木三十五(著)
上「ヘエ、これがうなってはならんと大層心配して居りました、ヘエ有難うござります」
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
万民にべた言で個人に述べた言でないからして、とかくわれわれ凡人ぼんじんの頭には入っても腹の底にみることがうすい。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
ただ数箇所、開港の事をほどよく申べて、国力充実の後打攘しかるべしなど、わが心にも非ざる迂腐うふの論を書付けて口書とす。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
その頃西洋の詩を訳して『国民友』へ寄せることになって、お兄様が文字と意味とをいって、それぞれにお頼みになります。
鴎外の思い出 (新字新仮名) / 小金井喜美子(著)
――此表このへう、十四五日うち、世上物狂ものぐるひも、酒酔之しゆすゐのさめたるごとくに(後略)
随筆 宮本武蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
居士の肺を病んだのは余の面会する二、三年前の事であったので、余の逢った頃はもう一度咯血かっけつしたちであった。
子規居士と余 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
舎弟は四肢しし凍傷とうしょうかかり、つめみな剥落はくらくして久しくこれに悩み、ち大学の通学に