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初は『自作自評』と題して旧作の一篇ごとに執筆の来由をべ、これによって半面はおのずから自叙伝ともなるようにしたいと考えた。
正宗谷崎両氏の批評に答う (新字新仮名) / 永井荷風(著)
祭神は倉稲魂神となっているが、之は式内社の伊氐波神社であるから、前にべたようにイチハノ神を祀ったものと思うのである。
二、三の山名について (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
この書にあつめたものは私が従来しばしばべ来ったものをまた言を改めて繰り返したものに過ぎぬ。私の俳句に対する所信に変りはない。
俳句への道 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
木島が中央委員でなく、ピケにすぎなかったのに様々に見ないことをべていることの不合理を指摘。大泉がスパイ関係を自白したこと。
さあそこで、君は、この家の主人をどうして毒殺して去ったか、それについて実行した通りをべなければならない。さあどうだ
地獄の使者 (新字新仮名) / 海野十三(著)
其の話や其の後私の仕た事をべれば、幾等貴方が疑い深くとも疑う事は出来ません、成るほど夏子と秀子とは同人だと信じます
幽霊塔 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
マントといへり、多くの國々をたづねめぐりて後わが生れし處にとどまりき、されば請ふ少しくわがこゝにぶることを聞け 五五—五七
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
その時虹汀、大勢に打ち向ひて慇懃いんぎんに一礼を施しつゝ、咳一咳がいいちがいしてべけるやう、は御遠路のところ、まことに御苦労千万也。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「一代男」其他で、諸国の女や、色町の知識をべてゐるのは、季題や、故事の解説を述べ立てるのと、同じ態度なのである。
「君の厚志こうしなくば、あに、今日の事あらんや。いまその功を口にべ、労を謝せんとするも、思いきわまって、いわんと欲するも語極まる……」
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
すると妓夫ではなくて此の家の亭主が側へ来て、文明な露国ではとても聞かれぬ尾陋びろう千万な事を野蛮な日本人だから平気でべて遊興を勧める。
露都雑記 (新字旧仮名) / 二葉亭四迷(著)
やはりカリフォルニア・シナ間の汽船定期航路を開始するためには米日間に通商条約を締結する必要があるゆえんを
会の趣が趣であるから、わざと遠慮をしたらしい。が、ちょうど発起人を代表して、当夜の人気だった一俳優あるやくしゃが開会の辞をべ終った処であった。
露萩 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
をはりて姫は衆人に向ひて謝辭をべ、再びこゝに來んことを約せり。姫はこよひもあまたゝび呼出されぬ。歸途に人々の車を挽けるも亦同じ。
それより情死の事由をつらね、更に一転してその苦痛と応報とをぶ。「あやなき闇に凄然すさまじや、閻羅えんらと見ゆる夏木立」。
前にもべた通り私は体が至って健康な故に、別に養生訓というものに、ついぞ注意を向け心を労した事がありません。
『二年前生捕られて散々なぶりものにされた上、役人に引渡されたうらみをべ、此の妄執まうしふを晴らすため、成瀬屋の者を一人々々、殘らず殺してやる』
急ぎ礼にゆかんとて、ちとばかりの豆滓きらずを携へ、朱目がもとに行きて、全快の由申聞もうしきこえ、言葉を尽して喜悦よろこびべつ。
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
翌朝御託おわびに出て昨夜は誠に失礼つかまつりましたとべるけにも行かず、到頭とうとう末代まつだい御挨拶なしにすんで仕舞た事がある。是ればかりは生涯忘れることが出来ぬ。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
つ十五周年の祝典をも同時に挙行するというこの喜ぶべき式場に臨んで、卒業生諸君に向って一言ぶることを得るは私の大いに喜ぶところであります。
かえりてその師に向い、具さにこの事をぶるに、この薬満ち足りて七十種あり、名字・両数皆その方のごとし。
人々は巨勢に向ひて、はるばるぬる人と相識あいしれるよろこびをべ、さて、「大学にはおん国人くにびとも、をりをり見ゆれど、美術学校に来たまふは、君がはじめなり。 ...
うたかたの記 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
青年はべ終ると、近眼鏡をはずして涙を拭いた。汗の雫が顔を伝わり、歯の根ががたがたふるえた。
無駄骨 (新字新仮名) / モーリス・ルヴェル(著)
世間並のお世辞上手な利口者なら町内の交際つきあいぐらいは格別つらくも思わないはずだが、毎年の元旦に町名主まちなぬしの玄関で叩頭おじぎをして御慶ぎょけいべるのを何よりも辛がっていた
思想ある者は必ず之を正当に言顕はすべき言語を求めずんばあらず。上来べ来りしが如き新日本に生じ来れる思想は数年間之を発表すべき文学を求めつゝありしなり。
明治文学史 (新字旧仮名) / 山路愛山(著)
彼らは大統領が教書を以てする場合の外に全然議会に出てその意見をべる事すら許されてない。
げもせずかくられもせず、よくかしらねどぬすみましたと白状はくぜうはしましよ、伯父樣おぢさま同腹ひとつきだけを何處どこまでもべて、かれずば甲斐かひなし其塲そのばしたかみつてんだなら
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
四つの椅子いすが、それぞれ前脚を中心にして前後に揺れる。議論をしているのだ。で、にんじんは、ルピック夫人がそこにいない間に、自分一個の意見をべるのである。
にんじん (新字新仮名) / ジュール・ルナール(著)
倉皇そうこう土倉氏の寓所に到りて、その恩恵に浴するの謝辞をべ、旅費として五十金を贈られぬ。
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
煩悶している間に今日の場合は寧ろ潔く事実をべ、妻子が無関係であるのに再三再四裁判所へ呼出されて迷惑する事のないようにした方が宜しいと決心がつきましたから
支倉事件 (新字新仮名) / 甲賀三郎(著)
この点もなお詳しく考えてみたいのだが、資料も整わず、且つあまりに長々しくなったので、始めの計画をかえて、ただ大体の輪廓をべ、残りを次の機会に譲ろうと思う。
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
通辞がいないとすれば、ひそかに乗り付けて、事情をべて、便乗することは、絶対に不可能である。二人は、ペリーが乗っている将艦が入港するのを待つよりほかはなかった。
船医の立場 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
他の二つの場合(前にべたるものをす)も今おもひ出だし候てだに心をどりせらるゝ一種の光明、慰藉ゐしやに候へども、先日御話いたしし実験は、最も神秘的にしてまた最も明瞭に
予が見神の実験 (新字旧仮名) / 綱島梁川(著)
いふまでもなく孫生、快生へ当てた第二便なので今度は恨みをべた後に更に何か別に良手段はあるまいか、もし余の身にかなふ事ならどんな事でもするが、とこまごまと書いて
病牀六尺 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
などゝ、まことしやかにべて、検使の方は済みましたが、今年五十八になります、指物屋の岩吉が飛んでまいり、船上忠平という二十三になる若党も、織江方から飛んでまいりました。
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
右エナ大学植物学研究室へ御寄贈きそう下さつたに就きましては厚くお礼をまをべます。
則ちしかいうといえども、国王の忠告誠意に至っては、則ち我もまた深く感銘し、敢て疎外せざるなり。因って今、臣らをして具さにべしむ。言は意を尽くさず、千万諒察せよ。不備。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
『僕は又、高橋君が何とか意見をべてくれるぢやらうと思うとつた。』
我等の一団と彼 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
余いずくんぞ一言なきを得んや。古人初めてぶるに臨まば奇功多からざらんを欲す。その小成に安んずるをおそるるなり。今君は弱冠にして奇功多し。願わくは他日れて初心を忘るるなかれ。
将来の日本:02 序 (新字新仮名) / 田口卯吉(著)
平ヶ岳に関しては前章に於て長々とべたが、まだ嫌焉あきたらぬからこの章の前叙としてもう少し記する、この山は深山中の深山であって普通の道路から見えぬから、容易に瞻望せんぼうすることが出来ないし
平ヶ岳登攀記 (新字新仮名) / 高頭仁兵衛(著)
不幸にしてお沙汰さたに接しないとしたならば、そのときこそ最後の奉公にたねばならぬと思った。家臣こぞって、主家百年の安泰のため、死をしてこの情をべねばならぬと敦圉いきまくのであった。
石狩川 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)
(八〇)ことしたがぶれば、すなは怯懦けふだにしてつくさずとひ、ことはかること(八一)廣肆くわうしなれば、すなは(八二)草野さうやにして(八三)倨侮きよぶなりとふ。(八四)ぜいかたき、らざるからざるなり
あだかも我名の出でしままに、男はこれより替りてべぬ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
迷亭は何喰わぬ顔でべ続ける。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
狭き書斎にべたる
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
ついでに水源地の林相をべて見ると、この地方では秩父などで見るように喬木帯が闊葉、針闊混淆、針葉という順序に判然と認められない。
利根川水源地の山々 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
写生文の三つであった事は前回にべた通りであったが、その他居士は香取秀真かとりほずま君の鋳物いものを見てから盛にその方面の研究を試み始めたり
子規居士と余 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
後期の優美歌になると、具通の美と官覚とはべられてゐるけれど、個性の影は技巧の片隅に窺はれるばかりになつた。
大塔ノ宮の旗上げ、その吉野城と、金剛山との結びつき、四国九州にわたる宮方の危険なきざし、それらを、茂時は事務口調で、吶々とつとつと申しべた。
私本太平記:06 八荒帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
予は始め世界の竹類を四族に大別すべきをべたり。今刺竹属、メダケ属、マダケ属ならびに麻竹属を取って以てこれに配せばすなわち次の如し。
植物記 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)