地獄の使者じごくのししゃ
その朝、帆村荘六が食事をすませて、廊下づたいに同じ棟にある探偵事務所の居間へ足を踏み入れたとき、彼を待っていたように、机上の電話のベルが鳴った。 彼は左手の指にはさんでいた紙巻煙草を右手の方へ持ちかえて、受話器をとりあげた。 「ああ、そうで …