“乘(の)” の例文
新字:乗
何(なに)も下品(げひん)に育(そだ)つたからとて良人(おつと)の持(も)てぬ事(こと)はあるまい、殊(こと)にお前(まへ)のやうな別品(べつぴん)さむではあり、一足(そく)とびに玉(たま)の輿(こし)にも乘(の)れさうなもの
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
濁(にご)れる水(みづ)も色(いろ)を添(そ)へて極彩色(ごくさいしき)の金屏風(きんびやうぶ)を渡(わた)るが如(ごと)く、秋草模樣(あきくさもやう)に露(つゆ)敷(し)く袖(そで)は、丈(せ)高(たか)き紫苑(しをん)の梢(こずゑ)を乘(の)りて、驚(おどろ)き飛(と)ぶ蝶(てふ)とともに漾(たゞよ)へり。
婦人十一題 (旧字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
空(から)になつた渡船(とせん)へ、天滿與力(てんまよりき)は肩(かた)をいからして乘(の)つた。六甲山(ろくかふざん)に沈(しづ)まうとする西日(にしび)が、きら/\と彼(か)れの兩刀(りやうたう)の目貫(めぬき)を光(ひか)らしてゐた。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
此日(このひ)も宗助(そうすけ)は兎(と)も角(かく)もと思(おも)つて電車(でんしや)へ乘(の)つた。所(ところ)が日曜(にちえう)の好天氣(かうてんき)にも拘(かゝは)らず、平常(へいじやう)よりは乘客(じようきやく)が少(すく)ないので例(れい)になく乘心地(のりごゝち)が好(よ)かつた。
門 (旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
何れも大作(たいさく)だ。雖然何を見たからと謂つて、些とも興(きよう)が乘(の)らぬばかりか、其の名畫が眼に映つると、寧(むし)ろ忌々(いま/\)しいといふ氣が亢じて來る。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
馬(うま)に乘(の)るか、籠(かご)に乘(の)るか、さもなければ歩(ある)いて旅(たび)をした以前(いぜん)の木曾街道(きそかいだう)の時分(じぶん)には、父(とう)さんの生(うま)れた神坂村(みさかむら)も驛(えき)の名(な)を馬籠(まごめ)と言(い)ひました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
兎角(とかく)する程(ほど)に結(むす)びの綱(つな)は解(と)かれて、吾等(われら)兩人(りやうにん)を乘(の)せたる輕氣球(けいきゝゆう)は、遂(つひ)に勢(いきほひ)よく昇騰(しようたう)をはじめた。櫻木大佐等(さくらぎたいさら)は一齊(いつせい)にハンカチーフを振(ふ)つた。
「鴉(からす)の鳴(な)かない日(ひ)はあれど、草葉(くさば)の陰(かげ)で……」婆(ばあ)さんが自分(じぶん)の聲(こゑ)に乘(の)つて來(き)た時(とき)勘次(かんじ)はぼろ/\と涙(なみだ)を零(こぼ)した。おつぎもそつと涙(なみだ)を拭(ぬぐ)つた。
土 (旧字旧仮名) / 長塚節(著)
特(とく)に國府津(こふづ)止(どまり)の箱(はこ)が三四輛(りやう)連結(れんけつ)してあるので紅帽(あかばう)の注意(ちゆうい)を幸(さいはひ)にそれに乘(の)り込(こ)むと果(はた)して同乘者(どうじようしや)は老人夫婦(らうじんふうふ)きりで頗(すこぶ)る空(すい)て居(ゐ)た、待(ま)ち疲(くたび)れたのと
湯ヶ原ゆき (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
こゝは釜山(ふざん)から京城(けいじよう)へ行(ゆ)く汽車(きしや)に乘(の)つて、一時間(いちじかん)ばかりで大邱(たいきゆう)に着(つ)き、そこで下車(げしや)して自動車(じどうしや)で東(ひがし)の方(ほう)へ三四時間(さんよじかん)も走(はし)るとすぐ行(ゆ)かれる所(ところ)です。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
實際(じつさい)、運(うん)のつかない時(とき)と來(き)たらこれほど憂欝(いううつ)な遊(あそ)びはないし、逆(ぎやく)に運(うん)の波(なみ)に乘(の)つて天衣無縫(てんいむほう)に牌(パイ)の扱(あつか)へる時(とき)ほど麻雀(マージヤン)に快(こゝろよ)い陶醉(たうすゐ)を感(かん)じる時(とき)はない。
麻雀を語る (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
この歌(うた)はどうかすれば、馬(うま)に乘(の)つて旅(たび)をしてゐて、それをすぐさま枕詞(まくらことば)として、鞍(くら)の高(たか)ねといつたようにも思(おも)はれるが、さう考(かんが)へてはいけません。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
『今頃(いまごろ)は馬車(ばしや)にでも乘(の)つて、郊外(かうぐわい)へ行(い)つたらさぞ好(い)いでせう。』と、イワン、デミトリチは赤(あか)い眼(め)を擦(こす)りながら云(い)ふ。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
その月毛(つきげ)に乘(の)つてゐた女(をんな)も、こいつがあの男(をとこ)を殺(ころ)したとなれば、何處(どこ)へどうしたかわかりません。差出(さしで)がましうございますが、それも御詮議(ごせんぎ)下(くだ)さいまし。
藪の中 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
初(はじ)め、愛(あい)ちやんは兎(と)に角(かく)海(うみ)の中(なか)へ落(お)ちたんだと思(おも)つて、『そんなら汽車(きしや)へ乘(の)つて歸(かへ)れるわ』と獨語(ひとりごと)を云(い)ひました
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
その時(とき)、空(そら)から雲(くも)に乘(の)つた人々(ひと/″\)が降(お)りて來(き)て、地面(じめん)から五尺(ごしやく)ばかりの空中(くうちゆう)に、ずらりと立(た)ち列(なら)びました。
竹取物語 (旧字旧仮名) / 和田万吉(著)
打製石斧は最初先づ漬(つ)け物の重し石の如き物を採(と)り、之を他の石と打(う)ち合はせ數個の破片を作り、其中(そのうち)より石斧とするに適(てき)したる形のものを撰(えら)み出し、臺石(だいいし)の上に乘(の)せ
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
強盜(がうとう)と間違(まちが)へられた憤慨(ふんがい)紛(まぎ)れに、二人(ふたり)はウン/\汗(あせ)を絞(しぼ)りながら、一里(り)餘(よ)の道(みち)を境(さかい)の停車場(ていしやば)に出(い)で、其夜(そのよ)の汽車(きしや)に乘(の)つて、品川(しながは)まで歸(かへ)つたが、新宿(しんじゆく)の乘替(のりかへ)で、陸橋(ブリツチ)を上下(じやうげ)した時(とき)の苦(くる)しさ。
私(わたし)はそれに從(したが)はないではゐられなかつた。手(て)をのべて、しかしなか/\屆(とゞ)きさうもなかつたので半身(はんしん)を乘(の)り出(だ)して、それでも駄目(だめ)だつたのでたうとう起(お)き上(あが)つてまで、障子(しやうじ)を左右(さいう)に開(ひら)いた。
日の光を浴びて (旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
閭(りよ)は衣服(いふく)を改(あらた)め輿(よ)に乘(の)つて、台州(たいしう)の官舍(くわんしや)を出(で)た。從者(じゆうしや)が數(すう)十人(にん)ある。
寒山拾得 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
乘(の)り、宙(ちゆう)を飛(と)ぶこと西遊記(さいいうき)の繪(ゑ)のごとく、一晝夜(いつちゆうや)にして
鬼桃太郎 (旧字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
尊(たふと)いあすこの水盤(すゐばん)へ乘(の)つてみたなら嘸(さぞ)よからう。
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
乘(の)りては赤毛(あかけ)の
赤い旗 (旧字旧仮名) / 槙本楠郎(著)
初更(しよかう)に至(いた)るや、病(や)める妻(つま)なよやかに起(お)きて、粉黛(ふんたい)盛粧(せいしやう)都雅(とが)を極(きは)め、女婢(こしもと)をして件(くだん)の駿馬(しゆんめ)を引出(ひきいだ)させ、鞍(くら)を置(お)きて階前(かいぜん)より飜然(ひらり)と乘(の)る。
唐模様 (旧字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
分(わ)けられぬ身(み)なれば恩愛(おんあい)の重(おも)きに引(ひ)かれて、車(くるま)には乘(の)りけれど、かゝる時(とき)氣樂(きらく)の良人(おつと)が心根(こゝろね)にくゝ、今日(けふ)あたり沖釣(おきづ)りでも無(な)き物(もの)をと
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「賑(にぎ)やかだよ。一寸(ちよつと)行(い)つて御覽(ごらん)。なに電車(でんしや)に乘(の)つて行(い)けば譯(わけ)はない」と勸(すゝ)めた。さうして自分(じぶん)は寒(さむ)さに腐蝕(ふしよく)された樣(やう)に赤(あか)い顏(かほ)をしてゐた。
門 (旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
猫(ねこ)が死人(しにん)を越(こ)えて渡(わた)ると化(ば)けるといつて杼(ひ)は猫(ねこ)の防禦(ばうぎよ)であつた。杼(ひ)を乘(の)せて置(お)けば猫(ねこ)は渡(わた)らないと信(しん)ぜられて居(ゐ)るのである。
土 (旧字旧仮名) / 長塚節(著)
愕(おどろ)いて頭(つむり)を上(あ)げると、今(いま)しも一個(いつこ)の端艇(たんてい)が前方(ぜんぽう)十四五ヤードの距離(へだゝり)に泛(うか)んで居(を)る、之(これ)は先刻(せんこく)多人數(たにんずう)が乘(の)つた爲(ため)に、轉覆(てんぷく)した中(うち)の一艘(いつさう)であらう。
斯(か)う狐(きつね)は言(い)ひました。狐(きつね)は調戯(からか)ふつもりでわざと桃林和尚(たうりんをしやう)の機嫌(きげん)を取(と)るやうにしましたが、賢(かしこ)い和尚(をしやう)さんはなか/\その手(て)に乘(の)りませんでした。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
平凡(へいぼん)な會話(くわいわ)じやアないか。平常(ふだん)なら當然(あたりまへ)の挨拶(あいさつ)だ。併(しか)し自分(じぶん)は友(とも)と別(わか)れて電車(でんしや)に乘(の)つた後(あと)でも氣持(きもち)がすが/\して清涼劑(せいりやうざい)を飮(の)んだやうな氣(き)がした。
湯ヶ原ゆき (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
鈴生(すゞな)りに人(ひと)を乘(の)せた舟(ふね)が、對岸(たいがん)に着(つ)くまで、口惜(くや)しさうにして突(つ)つ立(た)つた天滿與力(てんまよりき)の、大(おほ)きな赤(あか)い顏(かほ)が、西日(にしび)に映(うつ)つて一層(そう)赤(あか)く彼方(かなた)の岸(きし)に見(み)えてゐた。——
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
當別岬(たうべつみさき)から再び小蒸汽船に乘(の)つて函館へ歸(かへ)る私は、深い感動をうけたあとの敬虔(けいけん)な沈默(ちんもく)の中にあつた。
処女作の思い出 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
それから愛(あい)ちやんは、それをするには何(ど)ういふ風(ふう)にしたら可(い)いだらうかと工夫(くふう)を凝(こら)し初(はじ)めました、『それには乘物(のりもの)へ乘(の)つて行(ゆ)かなければならない』と思(おも)つたものゝ
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
旅裝束(たびしようぞく)をとほして、寒(さむ)さが身(み)に應(こた)へると思(おも)つてゐたが、なるほど冷(ひ)やついたはずだ。あの向(むか)うに見(み)える、乘(の)るこまの鞍(くら)といふ名(な)まへの乘鞍(のりくら)の高山(たかやま)に、雪(ゆき)が積(つも)つてゐる。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
自分(じぶん)で籠(かご)に乘(の)つて、綱(つな)で高(たか)い屋(や)の棟(むね)にひきあげさせて、燕(つばめ)が卵(たまご)を産(う)むところをさぐるうちに、ふと平(ひら)たい物(もの)をつかみあてたので、嬉(うれ)しがつて籠(かご)を降(おろ)す合圖(あひず)をしたところが
竹取物語 (旧字旧仮名) / 和田万吉(著)
窓(まど)から半身(はんしん)を乘(の)り出(だ)してゐた例(れい)の娘(むすめ)が、あの霜燒(しもや)けの手(て)をつとのばして、勢(いきほひ)よく左右(さいう)に振(ふ)つたと思(おも)ふと、忽(たちま)ち心(こころ)を躍(をど)らすばかり暖(あたたか)な日(ひ)の色(いろ)に染(そ)まつてゐる蜜柑(みかん)が凡(およ)そ五(いつ)つ六(むつ)つ
蜜柑 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
その歸(かへ)りがけ、それは月夜(つきよ)の晩(ばん)のことでありましたが、あの應神天皇(おうじんてんのう)(伯孫(はくそん)の時(とき)から百年(ひやくねん)ほど前(まへ)に當(あた)る)の御陵(ごりよう)の前(まへ)を通(とほ)りかゝると、非常(ひじよう)に立派(りつぱ)な赤(あか)い馬(うま)に乘(の)つてゐる人(ひと)に出會(であ)ひました。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
幻花子(げんくわし)は、此土瓶(このどびん)を布呂敷(ふろしき)に包(つゝ)み、背(せ)に斜(はす)に掛(か)けて負(お)ひ、自轉車(じてんしや)に反身(そりみ)で乘(の)つて走(はし)らすのを、後(うしろ)から見(み)て行(ゆ)く佛骨子(ぶつこつし)が、如何(どう)かして自轉車(じてんしや)から落(お)ちて、土瓶(どびん)を破(こは)したら面白(おもしろ)からうと呪(のろ)つたといふ。
乘(の)るのがうまいと言(い)ふ下(した)から、落(お)ちることもよく落(お)ちた。本郷(ほんがう)の菊坂(きくざか)の途中(とちう)で徐々(やは/\)と横(よこ)に落(お)ちたが寺(てら)の生垣(いけがき)に引掛(ひつかゝ)つた、怪我(けが)なし。
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
「さうですな、拜見(はいけん)に出(で)ても可(よ)うがす」と輕(かる)く受合(うけあ)つたが、別(べつ)に氣(き)の乘(の)つた樣子(やうす)もないので、御米(およね)は腹(はら)の中(なか)で少(すこ)し失望(しつばう)した。
門 (旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
此纎弱(このかよわ)き娘(むすめ)一人(ひとり)とり止(と)むる事(こと)かなはで、勢(いきほ)ひに乘(の)りて驅(か)け出(いだ)す時(とき)には大(だい)の男(をとこ)二人(ふたり)がゝりにてもむつかしき時(とき)のありける。
うつせみ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「おつぎも能(よ)く働(はたら)けるやうに成(な)つたね、それだが此(こ)の間(あひだ)のやうな處(ところ)を見(み)ると死(し)んだお品(しな)が乘(の)り移(うつ)つたかと思(おも)ふやうさね」
土 (旧字旧仮名) / 長塚節(著)
十四日(か)の朝(あさ)僕(ぼく)は支度(したく)も匆々(そこ/\)に宿(やど)を飛(と)び出(だ)した。銀座(ぎんざ)で半襟(はんえり)、簪(かんざし)、其他(そのた)娘(むすめ)が喜(よろこ)びさうな品(しな)を買(か)ひ整(とゝの)へて汽車(きしや)に乘(の)つた。
湯ヶ原より (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
それから父(とう)さんは伯父(をぢ)さんや吉(きち)さんや友伯父(ともをぢ)さんと一緒(いつしよ)に東京行(とうきやうゆき)の馬車(ばしや)に乘(の)りまして、長(なが)い長(なが)い中仙道(なかせんだう)の街道(かいだう)を晝(ひる)も夜(よる)も乘(の)りつゞけに乘(の)つて行(い)きました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
おゝ、お皈(かへ)りになりましたとも、そして今頃(いまごろ)は、あの保姆(ばあや)や、番頭(ばんとう)のスミスさんなんかに、お前(まへ)が温順(おとな)しくお船(ふね)に乘(の)つて居(を)る事(こと)を話(はな)していらつしやるでせう。
『同船(どうせん)許(ゆる)す、みんな乘(の)れ。』と、天滿與力(てんまよりき)に舟(ふね)から引(ひ)きおろされた百姓(ひやくしやう)町人(ちやうにん)の群(むれ)に向(むか)つて聲(こゑ)をかけた。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
「あら、着物(きもの)なんかいらなくつてよ。——さうね、あたしの今一番欲(ほ)しいのは上等(とう)の乳母車(ぐるま)よ。ほらキルビイさんのお宅(たく)にあるやうな。あたし䴡(れい)子をあんなのに乘(の)せてやりたいわ。」
夢 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
あの車(くるま)に乘(の)つて、百人(ひやくにん)ばかりの天人(てんにん)に取(と)りまかれて、空高(そらたか)く昇(のぼ)つて行(ゆ)きました。
竹取物語 (旧字旧仮名) / 和田万吉(著)
それはちょうど今日(こんにち)ボルネオのパプア人(じん)やシンガポールあたりの海岸(かいがん)で見(み)かけるのと同樣(どうよう)、陸地(りくち)との交通(こうつう)はたいてい小舟(こぶね)に乘(の)つたものです。(第二十七圖(だいにじゆうしちず))なぜこんな所(ところ)に住(す)むのでせうか。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
あの男(をとこ)は馬(うま)に乘(の)つた女(をんな)と一しよに、關山(せきやま)の方(はう)へ歩(ある)いて參(まゐ)りました。女(をんな)は牟子(むし)を垂(た)れて居(を)りましたから、顏(かほ)はわたしにはわかりません。見(み)えたのは唯(ただ)萩重(はぎがさ)ねらしい、衣(きぬ)の色(いろ)ばかりでございます。
藪の中 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)