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飛乘
疾風の
如く
駈けて
來た
件の
狂人が、
脚から
宙で
飛乘らうとした
手が
外れると、づんと
鳴つて、
屋根より
高く、
火山の
岩の
如く
刎上げられて、
五體を
碎いた。
手前は
姫さまが
御親類がたのお
廟所へ
入らせらるゝを
見るや
否や、
驛馬に
飛乘ってお
知らせに
參りました。
此樣な
惡しいお
使も
命置かせられた
役目ゆゑでござります、
御免なされませい。
逃したが又儀左衞門殿も
一體白妙が
馴染の客にて是も其夜白妙を
阿部河原まで
追駈來られ重五郎と
問答中白妙は
船に
飛乘柴屋寺まで參りしなり其後樣子を
怪敷思はれし故なりとぞ
其頃海賊二人召捕れ
詮議有しに是等は八
艘飛の
與市と云ふ者の子分にて海賊となりし由申ける故其與市は
何方に
住居致すやと
糺されしに海賊共七八年以前
泉州堺又は
安藝の
宮島阿州尼子の
浦に
相住海中にて西國大名の荷物船へ
飛乘賊を