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飛乘
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とびの
疾風の
如く
駈けて
來た
件の
狂人が、
脚から
宙で
飛乘らうとした
手が
外れると、づんと
鳴つて、
屋根より
高く、
火山の
岩の
如く
刎上げられて、
五體を
碎いた。
手前は
姫さまが
御親類がたのお
廟所へ
入らせらるゝを
見るや
否や、
驛馬に
飛乘ってお
知らせに
參りました。
此樣な
惡しいお
使も
命置かせられた
役目ゆゑでござります、
御免なされませい。
後とになし渡り求むる阿部川の此方の岸へ
着船へ
飛乘る
機會に
後からヤレ
待居らう重五郎と
追駈來るは別人ならず
江尻の宿の
落破戸儀右衞門と云男なり
最も白妙が
馴染客にて是迄多くの金銀を
飛乘る
瞬間に
見た
顏は、
喘ぐ
口が
海鼠を
銜んだやうであつた。