“紫苑”のいろいろな読み方と例文
読み方(ふりがな)割合
しおん78.1%
しをん21.9%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
かのかけいの水のほとりには、もう野菊と紫苑しおんとが咲きみだれて、穂に出た尾花の下には蟋蟀こおろぎの歌が手にとるようである。
駅夫日記 (新字新仮名) / 白柳秀湖(著)
几帳のぎぬが一枚上へ掲げられてあって、紫苑しおん色のはなやかな上に淡黄うすきの厚織物らしいのの重なった袖口そでぐちがそこから見えた。
源氏物語:52 東屋 (新字新仮名) / 紫式部(著)
——押入なんかにしまっておくより、昼間はちょっと秋草に預けて、花野をあるく姿を見ようと思いますとね、萩もすすきも寝てしまう、紫苑しおんは弱し。
白花の朝顔 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
四日の大暴風雨の後なので、荒れ、まだ紫苑しおんなども咲かないので大してよくはなかったがお成の間の上からの眺望一寸よかった。
横に落した紫の傘には、あの紫苑しおんに来る、黄金色こがねいろの昆虫のつばさの如き、煌々きらきらした日の光が射込いこんで、草に輝くばかりに見える。
春昼後刻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
犬芥いぬがらし、「約百ヨブなみだ」、紫苑しをん、どんなに血のれる心よりも、おまへたちのはうがわたしはすきだ。ほろんだ花よ、むかしの花よ。
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
紫苑しをん基督キリスト御最後ごさいごのおんかたどるせつない花。
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
O君は返事をする前にちよつとまゆをひそめるやうにし、縁先えんさき紫苑しをんへ目をやつた。何本かの紫苑はいつのにかこまかい花をむらがらせたまま、そよりともせずに日を受けてゐた。
O君の新秋 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
「あながち岸といふ詞にこだはる必要はありますまい。私は紫苑しをんか何かの……」
そこに紫苑しをんの花びらが羽虫のやうにむらがり飛びかすかに光って渦を巻いた。
花椰菜 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)