『蜜柑（みかん）』

或曇つた冬の日暮である。私は横須賀發上り二等客車の隅に腰を下して、ぼんやり發車の笛を待つてゐた。とうに電燈のついた客車の中には、珍らしく私の外に一人も乘客はゐなかつた。外を覗くと、うす暗いプラットフォオムにも、今日は珍らしく見送りの人影さへ …

著者	芥川竜之介
ジャンル	文学 > 日本文学 > 小説 物語
初出	「新潮」1919（大正8）年5月1日
文字種別	旧字旧仮名
読書目安時間	約7分（500文字/分）
朗読目安時間	約11分（300文字/分）

作品に特徴的な語句

弟（をとうと） 生（しやう） 埋（うづま） 下（おろ） 關（かかは） 象徴（しやうちよう） 切（さい） 上（うへ） 下（さが） 側（がは） 冷（ひやや） 旒（りう） 客車（きやくしや） 逆（ぎやく） 藏（ざう） 彼女（かのぢよ） 聲（こえ） 永久（えいきう） 前（まへ） 大（おほ） 好（この） 頬（ほほ） 頓著（とんぢやく） 面（おも） 間（あひだ） 通（とほ） 了解（れうかい） 小（ちひ） 仰（あふ） 脅（おびやか） 僅（わづか） 光景（くわうけい） 抛（はふ） 理由（りいう） 方（はう） 明（あかる） 切符（ぎつぷ） 刷（すり） 暗（ぐら） 上（あが） 鮮（あざやか） 埋（うづ） 害（がい） 起（おこ） 貧（まづ） 今日（けふ） 幾分（いくふん） 蓄（たくは） 何（なに） 著（き） 後（うしろ） 來（こ） 咽喉（いんこう） 俄（にはか） 窓側（まどがは） 祝儀（しうぎ） 抱（かか） 溶（とか） 新郎（しんらう） 方向（はうかう） 殆（ほとんど） 朗（ほがらか） 珍（めづ） 始（はじ） 娘（むすめ） 室（しつ） 將（まさ） 帶（お） 後（のち） 徐（おもむろ） 意外（いぐわい） 感情（かんじやう） 慌（あわただ） 憂鬱（いううつ） 投（な） 抱（だ） 新婦（しんぷ） 日暮（ひぐれ） 昂然（かうぜん） 暇（ひま） 暖（あたたか） 踏切（ふみき） 等（とう） 聞（きこ） 脊（せい） 腹（はら） 落（おと） 蕭索（せうさく） 行（い） 赤帽（あかばう） 足（た） 音（おと） 齊（せい） 黒（ぐろ） 頻（しきり） 頭（あたま） 車掌（しやしやう） 躍（をど） 突然（とつぜん） 返（かへ）

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