“旒”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
りゅう81.8%
すじ6.1%
なが3.0%
ながばた3.0%
はた3.0%
りう3.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
龍泉寺の樹々も、ここの草木も、焚物たきものとして焚き尽し、立っているのは、風雨に黒くよごれた幾十りゅうかの菊水の旗ばかりであった。
日本名婦伝:大楠公夫人 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
誇らしげに、偽の錦旗二たすじひるがえしてゆく一船こそ、尊氏がす親船。——以下、千余艘とみゆるあの大兵が、わが後ろへ上陸あがったら、味方は窮地におちいるほかないぞ。
私本太平記:12 湊川帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
するとこの時山つづきの、横手の森から鬨の声が起こり、赤き旗三ながれひるがえり、七百あまりの将卒つわものが、騎馬、徒歩かちにて走り出して来た。
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
会衆の動揺は一時にしずまって座席を持たない平民たちは敷石の上にひざまずいた。開け放した窓からは、柔かい春の光と空気とが流れこんで、壁に垂れ下った旗やながばたを静かになぶった。
クララの出家 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
庭先に立てられた「祝出征……」のはたを、彼はつくづくと見上げていたが、やがてまた、袖と袖の間に顔を埋めてさめざめと泣きはじめた。
一老人 (新字新仮名) / 犬田卯(著)
踏切ふみきりのちかくには、いづれもすぼらしい藁屋根わらやね瓦屋根かはらやねがごみごみと狹苦せまくるしくてこんで、踏切ふみきばんるのであらう、ただりうのうすしろはたものうげに暮色ぼしよくゆすつてゐた。
蜜柑 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)